21会校の挑戦 偏差値すら伸ばすことができる
☆21会校の先生方と協働探究する過程で、思わぬ発見があった。その発見は現状偏差値というものが低いと悩んでいる生徒にとって朗報かもしれない。
☆21会校は、基本的には、偏差値を学力指標の一つではあるが、今の中高生が世に出る時には、今のように注目されなくなるだろう、新たな学びのグローバルスタンダードが日本の教育でも活用されるようになっているだろうと予測している。
☆実際、グローバル人材育成、大学入試の改革、日本語IB、留学という話題が頻繁に出てくるようになっている昨今、その要諦は世界標準の評価ということなのである。
☆21会は3つのコンセプトと3つの探究活動をビジョンとしている。3つのコンセプトとは、
・グローバル教育
・イノベーション教育
・リベラルアーツ
☆3つの探究活動とは
・思考力テストの確立
・新しい授業(PIL×PBL)の確立
・グローバル進路指導の確立
☆そして、この探究活動のために、3つの部会が活発に動いている。思考力テスト部会、学習理論部会、グローバル教育情報部会がそれだ。
☆この探究活動の過程で、おもしろいことに気づいたのは、偏差値とは別の尺度を議論して、実際に生徒たちに協力してもらってワークショップリサーチを行っているうちに、「考えるコトを学ぶ力」と「読解方法を学ぶ力」「論述の方法を学ぶ力」や「科学的なものの見方を学ぶ力」「発表する方法を学ぶ力」「知識を学ぶ力」などは共通点もあるが相違点もあるということ。
☆偏差値は、ある程度「読解方法を学ぶ力」「論述の方法を学ぶ力」や「科学的なものの見方を学ぶ力」「発表する方法を学ぶ力」「知識を学ぶ力」の優劣を測ることができる。
☆しかし、「考えるコトを学ぶ力」を測るのは相当不得意である。
☆このことは今までも言われてきたことではあるが、では「考えるコトを学ぶ力」を測るにはいかにしたら可能かということについて、文科省が具体的に開発してきたということはなかった。
☆だから、「考えるコトを学ぶ」ための学びのプログラム=授業がなかったのである。このような授業を「思考力授業」と呼ぶとすると、はじめて「思考力テスト=思考力評価」なるものが出現することになる。
☆ここの部分は、今まで「地頭」と称されてきた部分である。「地頭」が鍛えられなければ、「偏差値」が高くても、将来伸びないと。優秀だけれど賢くない人間に育つと言われてきた。
☆そこで、「地頭」を鍛えるために、英才教育だとか、体験授業だとか、読書だとか、言われてきた。しかし、そのプログラムは、基本「読解方法を学ぶ力」「論述の方法を学ぶ力」や「科学的なものの見方を学ぶ力」「発表する方法を学ぶ力」「知識を学ぶ力」のアレンジに過ぎず、「考えるコトを学ぶ力」を養うプログラムではなかった。
☆だから、結局は偏差値を伸ばすための先取り教育にすぎず、「地頭」と称されてきた「考えるコトを学ぶ力」を養ってきたのは偶然性や家庭環境ということになってきた。
☆ところが、いや、だからこそ、21会校は、この「考えるコトを学ぶ力」そのものに着目している。それゆえ、今偏差値が低くて、模擬試験を受けるたびに自己肯定感がゆらいでいる生徒にとって、そんなものに惑わされる必要はないと言いたい。
☆今でも「考えるコトを学ぶ力」が潜在的にあるのに、形式知化していないために、その力が、「読解方法を学ぶ力」「論述の方法を学ぶ力」や「科学的なものの見方を学ぶ力」「発表する方法を学ぶ力」「知識を学ぶ力」にリンクしていないために偏差値が低いという生徒がいる。
☆このような生徒は6年後、よく「あの生徒が!」(まったく不遜ないいかただ!)と言われるような成果をあげるものである。しかし、そのような生徒は、まだまだいるにもかかわらず、選択した学校が偏差値学力を伸ばすことしかやらないものだから、芽が摘まれている生徒もたくさんいる。
☆もったいない。「考えるコトを学ぶ力」をトレーニングしてくれる21会校のような学校を探すと、将来偏差値でさえも伸ばすことができる。
☆生徒が自らの「考えるコトを学ぶ力」の潜在力を形式知に転換した時、一気呵成に、「読解方法を学ぶ力」「論述の方法を学ぶ力」や「科学的なものの見方を学ぶ力」「発表する方法を学ぶ力」「知識を学ぶ力」がすべてリンクしはじめるからだ。
☆そんなバカな!ユートピアだろうという人もたくさんいるだろう。しかし、イギリスのAレベルやIBのTOK、そして米国のAPコースは、すでに「考えるコトを学ぶ力」そのものを学ぶプログラムなのである。
☆では21会は、その真似をしているのかと言われるかもしれない。もちろん、大いに学んでいるが、Aレベルは分析哲学がベースだし、IBのTOKは伝統的な弁証法哲学がベースだし、APコースはプラグマティズムがベース。
☆これらの問題点はエスタブリッシュや知識人の問題点を克服できていない。つまり20世紀型ということである。
☆では21世紀型の「考えるコトを学ぶ力」とは何か?それは実は≪私学の系譜≫の発想にある。つまり19世紀末に生まれたウィーン世紀末かつジャパノロジー的関数主義的発想。これは≪官学の系譜≫によって、すぐに要素分解主義の発想によって捨て去られてしまって今日を迎えている。もっとも新学習指導要領は、この関数主義的発想をルーツとする構成主義的学習観がベースだと言われているが^^)。
☆たしかに、19世紀末から20世紀初頭を席巻したユートピアエコ都市や丸の内駅舎設計者辰野金吾の師匠であるジョサイア・コンドルの発想も、今や復権している。トヨタが、ヤンキーピンクのクラウンの宣伝で「権力より愛だ」としているのは、その影響。だと勝手に思っている^^)。
☆とにかく、21会校は、そこをどうジャンプするか考えることも忘れていないということ。本当の学びのイノベーションが起こる拠点で「考えるコトを学ぶ力」を顕在化しようではないか。トヨタの宣伝は、そういうタイミングが熟している世の流れをつかんでいるとみなしてみてはいかがだろう。
| 固定リンク
「21会校」カテゴリの記事
- 富士見丘 最良の女子校<03>受験知ではなく探究知へ(2017.03.01)
- 進撃の21会【01】 UCLと21会校の対話はじまる グローバル維新2089に向けて(2015.03.26)
- 第18回 21会定例会 議論 about 2015年21会ビジョン(2014.12.05)
- 聖徳学園 「ジグソー法×ICT」授業(2014.11.07)
- 工学院 脱フレームイノベーション(2014.11.06)
最近のコメント