« 『ベネッセHD純利益48%減 4~6月、「進研ゼミ」不振』の背景 | トップページ | イノベーションなきキャリア教育 キャリア教育のないイノベーションの不思議 »

帰国生大学入試 小論文対策講座を通して

☆毎年この時期、帰国生の小論文対策講座を3時間くらいワークショップ型で行う機会がある。

☆3時間だから、小論文を書くことが目的ではなく、第一部では、小論文とは何なのか、一般受験生と帰国生の小論文との差異は何か、小論文の問題はいかにして作られるか議論する。

☆第二部では、自分がどんな価値観で世の事象を判断するか、サンデル座標系で立ち位置を確かめる。もちろん、いきなり、ポジショニングを書き込もうではなく、トリガークエスチョンを投げかける。

Photo
☆今回は、ロールズ問題を出した。有名なケーキの切り分け問題をアレンジしたもの。資源や税金の配分をどうするのか、弱者と強者の関係をどうとらえるのか、要するに民主主義と経済の問題を考えるプロトタイプ問題である。

☆例によって、個人ワーク、ペアワーク、チームワークに持ち込み、プレゼン。ここでは合意形成体験のプログラムも入っている。

☆これによって、互いに考え方が違うことが明確になるから、立ち位置を書き込むのはすぐにできる。

☆帰国生は、それぞれ学んできた国が違うから、そこの影響も少なからずあり、本当に価値観が多様。10人もいれば、サンデル座標は、どの象限にもポイントが刻まれる。

☆すでに帰国生の大学入試は始まっており、決まっている生徒もいるが、9月の早慶上智、来春の国立大学が控えていて、まだまだこれから。

☆「一般受験生の小論や早稲田の小論」と「東大、一橋、医療系を除く大学の小論」は、二元論で解けるので、それほど対策は難しくないが、上智や東大、一橋は、多元論(とはいえ、一橋はアダム・スミス。ただ、アダム・スミスはとらえ方によっては多様なのである)だから、サンデル座標のトレーニングは面白いのである。

☆第一部の中で、今回の麻生氏の失言問題も、大学入試で直接出題されはしないだろうが、民主主義のすべての条件を満たすと独裁政治になるというパラドクスをどう解くかという古典的問題として出題されてもおかしくないなどの議論も出て、おもしろかった。

☆経済に関しては、ケインズをめぐる諸説を、サンデル座標系でとらえ返してみるのもおもしろいのだが、ここは時間切れだった。モモの経済はコミュタリアニズムで可能。20世紀型資本主義でも社会主義・共産主義でもない新たな経済を模索できる。

☆それはともかく、最後は、入試問題のメタ次元の問いかけを議論し、サンデル座標系の分類そのものが柔軟すぎて難しいことにいきつく。結局、座標系を当てはめるのではなく、座標系を構成する軸という基準の正当性、信頼性、妥当性をどう自分なりに作り上げるかであるということになる。

☆そこがオリジナリティ。しかし、独りよがりなものは困る。独創と独断の境界線をめぐり、1人思い悩むのでなくは、帰国生の小論文はチームワークでいかなくてはというところで終わった。

☆心理学を学びたいという帰国生は、結局自分とは何かというワークショップでしたねと。すでに自分の座標メガネがある。それをどう磨いていくか。ぜひ頑張ってほしいものである。

☆毎年それぞれの道を進む帰国生であるが、21会の取材や新しい学びのワークショップのチュータなどのサポートをしてくれる帰国生も多い。知的好奇心旺盛だし、議論は好きだし、ノートテーキングがしっかりしているから、彼らからグローバル人材育成のヒントをいつももらっている。

|

« 『ベネッセHD純利益48%減 4~6月、「進研ゼミ」不振』の背景 | トップページ | イノベーションなきキャリア教育 キャリア教育のないイノベーションの不思議 »

21世紀型教育」カテゴリの記事