全国学力テストの不思議
☆日本経済新聞2013/8/28 1:07によると、
文部科学省は27日、小学6年と中学3年を対象に4月に実施した2013年度全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果を公表した。公立小学校では、全国平均と最下位県の正答率の差が07年度の調査開始以来初めて全教科で5ポイント以内に収まった。文科省は「下位の地域で学力の底上げが進んでおり、地域差は縮まっている」と分析している。
☆この最初のパラグラフは、よくわからない?2007年と2013年の結果を比較して、地域差が縮まっているというが、同じテストで比較したわけではないから、本当に縮まったかどうかはわからないはずだが・・・。
☆こんな信頼性のないテスト測定で、学力低下だ学力向上だと、文科省やメディアが平気で言えるところが不思議である。信頼できない測定を税金をつぎ込んでやる価値があるとかないとかいうより、子どもの学びの権利を侵害する行為として、学力テストは違憲の可能性が高いのでは?
応用力をみる問題を中心に、過去4回のテストで正答率が低かった分野から15問を出題したところ、改善がみられたのは2問にとどまった。苦手分野の克服が進んでいない現状も浮かんだ。
☆これは、フクシマ問題と同根。苦手分野の克服が進まない現状を放置しているわけだから。もちろん、同じ問題で測定していないから、放置と言えるかどうかもわからない。
☆それに学力テストの苦手分野を克服する意味は何であるかも明瞭ではない。生きる力にマイナスだというのなら、克服する意味は大いにあるだろうが、たまたまテストの枠組みでできたできないというのなら、克服に駆り立てる必然性がない。
文科省は「自分の知識を日常生活に生かす力に課題のある児童生徒が依然として多い」としている。
☆読み書きそろばんができる事以上に日常生活に活かす力が必要なのか?それをチェックするテストが作られているのか?テストを受けた生徒が大人になるころには、日常生活そのものが変化するが、それに対応する読み書きそろばんの力はいかなるものなのか?何も伝わってこない。
☆一方で文科省は、グローバル人材育成を掲げている。全国学力テストではこの目標を促進する学びをそもそもチェックできない。
全国学力テストと同時に実施したアンケートでは、小6の7割、中3の半数が「英語学習が好き」と答えたが、「海外留学や国際的な仕事を将来したい」との回答はともに3割にとどまった。
☆この書き方は事実を述べただけだということかもしれないが、「~が、とどまった」とあるから、「海外留学や国際的な仕事を将来したい」との回答は3割より多くあってほしいという情緒も含まれている。
☆しかし、3割というのは、すごいことではないか。30%の子どもたちがグローバルな舞台で羽ばたきたいと言っている。すごいじゃないか。なぜそういえるのか?
☆それは日本語IBだとかスーパーグローバルハイスクールの対象校が3%に過ぎないからだ。国は3%の対象にしかグローバル人材育成を奨励していないのに、その10倍返し!を子どもたちは目論んでいる。すごいじゃないかと言う以外に何が言えるのか。
☆全国の公共図書館、学校図書館での探求アクティビティの充実こそ生徒の学びを救うだろう。全国学力テストは、苦手分野を克服することができない無駄な税金の使い道だということが証明されたということなのだから、廃止して、その分を図書館の予算に回した方がよさそうだ。
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