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共立女子 教師力 破壊と創造 [2]

☆私学展で、共立女子の渡辺校長とほんの少し会えた。私学展直前に書いていた「最適比較優位の座標系」の話についてコメントをもらった。

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「GG型は目的合理主義とあるけれど、要素還元主義のパラダイムということだねと。そして共立女子が位置するLL型は関係総体主義だよね」と。

☆渡辺校長とは、20世紀末、先生が広報部長のころからご教示いただいているから、だいたいのことはわかるつもりでいるのだが、会うたびに、いつも発見がある。

☆つまり、広報部長の当時から、共立女子は「図書館―デジタル―芸術―読書―探究」という一連の活動があり、その活動の諸関係は「問答」による「関係総体主義」パラダイムを基盤としているといつも話していたからであるが、次の渡辺先生のコメントには、ハッとした。

「関係総体主義のパラダイムは、うちの場合は、結局授業の中に生きているし、ここ数年、教科横断型のコラボレーションが進化しているから、暗黙知のままでむしろよい」

☆というのである。どういうことかというと、広報部長→教頭→校長になっていくにつれて、共立女子の拠って立つパラダイムは変わらないけれど、それを現実化する活動は、かなり変化してきている。

☆いろいろやってきたけれど、今はシンプルに授業や学びの活動の中にそのノウハウは埋め込まれた。すなわち、校長になるにいたるまでに、暗黙知をいったん形式知化したけれど、再び暗黙知にしていると。

☆関係総体主義のスパイラルが回転していることを示唆していたのである。

☆今や共立女子は、1つひとつの授業の中に

パラダイム―関係総体主義

授業方法―問答型・対話型・体験型

イノベーション―記号論としてのデータベース編集

☆の要素が暗黙知として稼働しているのである。しかも、実におもしろいのは、この3つをビジョンとして明快に掲げて行うのではない。体験の積み上げと、その振り返りという「反照的均衡」の絶えざる繰り返しが、ビジョンや理念を教師に内なる判断基準として形成するという、まさに学びの組織のプロデュースの中から生まれてきたものでる。

「こっちの方向に行くんだよでは、リベラルアーツとは言えないからなあ」と。

☆15年前の渡辺先生は、むしろリベラルアーツそのものを語っていただろう。しかし、今でもそのこと自体を言い続けていたら、リベラルアーツの物象化になってしまう。関係総体そのものがリベラルアーツを語っているという目に見えない暗黙知化が再び起こってこそリベラルアーツなのだと。

☆共立女子のこの暗黙知→形式知→暗黙知のスパイラルのシステムこそ人類普遍の原理ということになる。物象化された普遍主義にならないようにという助言だったのである。

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