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国際バカロレアの日本の教育への影響

☆2011年6月22日、グローバル人材育成会議の中間まとめで、「高校卒業時に国際バカロレア資格を取得可能な、又はそれに準じた教育を行う学校を5 年以内に200 校程度へ増加させる」と発表されて以来、今や日本語IB校を200校つくるという話になり、今年10月、来年4月に認定候補校を募るところまできた。

☆また、この夏多くの日本の学校の先生方が、IB研修・ワークショップ(IB ASIA PACIFIC REGIONAL WORKSHOPS)に参加するなどムーブメントが起きている。

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☆日本におけるIBの牽引者といえば、大迫弘和先生。ご自身で千里国際学園や同志社国際学院などで校長に就任しながら、IBコーディネートもしてきた。

☆現在はIB校であるリンデンホールスクール中高学部の校長を務めつつ、広島女学院で国際バカロレア調査研究室室長にも就任している。

☆同学院の大学の客員教授もされているし、IB JAPAN Advisory Committeeの委員もされている。IBの第一人者である。

☆その大迫先生の話をお聴きする機会があった。幾つもの学校のIBの実践を積んできただけあって、日本の教育政策論者とは違い、制度論的な話だけではなく、IBの教育の内容や背景思想の話にまで及んだ。

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☆ご自身の著書でも提唱しているように、熱く「インターナショナルスクール革命」についてや「デュアルランゲージDP」が、従来型の欧米価値観のIBと日本を代表とする多くの国々の価値観を融合して最適化していくことを語られた。

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☆IBのDPは、質も高く、その評価も従来の日本の教育では思いもよらない方法論。生徒も教師も10の学習者像を目指して、学んでいく。

☆学びの構造は立体的でかつらせん状になっているから、ここで説明するには筆者の力では無理。先生の著書をお読みいただきたい。

☆いずれにしても、21世紀型教育を創る会と共通する部分もあり、21会校の中から日本語IB認定校になるところも出現してくる可能性もみえた。

☆ただし、その思想的背景は、実は日本の教育のベースでもある、J.S. ミルやエマニュエル・カントの発想で、どちらかというとコンサバティズム。融合は意外と簡単にいくのではないか。

☆とくに10の学習者像を、認知科学や脳科学あるいはプレイフルラーニングのような観点からではなく、道徳主義的観点で置き換えていくとすると、より拍車がかかる。

☆構成主義的発想やブルームのタキソノミーの発想もあり、ハーバーマスやローティのような発想はない。

☆しかしいずれにしてもIBOの世界観に変化が表れ、実際には20世紀型経済社会の延長上に拠って立ちながらも、その中での21世紀型教育をと、2012年に新しいDPにそのコンセプトは変わったようだ。

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☆10の学習者像も見直しが提案されているようだが、新しい資本主義社会のイメージがあるわけではなく、世界を変えるほどのグローバル人材が輩出されるかは、定かではない。

☆金融経済、IT産業社会、ビッグデータ世界で勝者になるグローバル人材はたくさん輩出されるだろうが、このプログラムからは、パラダイムをチェンジするプログラムは見いだせなかった。

☆HLの数学では、デンジャラス・ナレッジというカントールやゲーデルの話もでてくるし、宗教と数学の結びつきについてディスカッションするプログラムもあるようであるが、存在の存在を問うプログラムにはいきつかないだろう。

☆そして、中等教育レベルでは、そこまで到達する必要はないのだから、IBでよいのかもしれないが、IBを導入していなくても、すでにサンデル座標系でディスカッション授業をしている学校もある。

☆そういう学校は、IBは必ずしも是としないかもしれない。IBが多様性を謳う以上、そういう学校がでてくることはやむを得ないし、そうでなければ世の教育は切磋琢磨されない。

☆これで、はっきりしたことは、「高校卒業時に国際バカロレア資格を取得可能な、又はそれに準じた教育を行う学校」の出現は、「IB以上の教育を行う学校」の出現を可能にするということだ。

☆教育の初期設定のレベルがあがるから、こういうことが起こるのは、不確実性の確実性である。したがって、IB200校の設定は歓迎すべき教育政策なのである。

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