富士見丘 海外大学の道
☆実におもしろかったのは、そのプレゼンのシナリオ。日本人の海外大学留学生の数が多くならない現状について、参加者と問答しながら、問題の所在を共有するところから始まった。
☆そして、国内留学と海外留学の差異、留学と海外旅行の差異、様々な留学間の差異を語りながら、どうしてそのような差異があるのか理由を参加者と考えていった。
☆徹底的に差異と理由を多角的に論証していく方法は、イギリス経験主義のセオリーだし、法学的な分析哲学の手法で、吉田成利氏の学問の最前線が、中高生の心に響くように生かされているのは驚きだった。
☆日本の教育では、大学の学問と中高の勉強の間には断絶があるのが一般的だからである。この溝が、日本の大学入試対策の受験勉強が、その先の探究活動の場である大学そして社会で役に立たないとよく指摘される大きな理由だろう。
☆参加者には卒業生もいて、講演会が始まる直前に、富士見丘の英語教育は、大学に行ってから大いに役に立つ、むしろすでに超えているとしみじみ語ってくれたが、それは、同校の学びが、中等教育と大学を結ぶ架け橋になっているということを示唆していたのだと吉田成利氏のプレゼンを聞いて合点がいった。
☆さて、差異の積み重ねは、思考のジャンプを用意していた。シナリオのクライマックスは、世間の「留学に対する偏見」を打ち砕くシーン。ふだんは留学と外国に行くほかの行為と区別することのない漠然とした感覚しかもっていないものだが、差異化によって明確に留学という行為を意識したところで、「偏見」を、参加者といっしょにクリティカルシンキング。
☆他人事の話が、留学について意思決定をする自分事の思考に見事に転換した。私事の自己決定とはなんてイギリス市民社会的なのだろう!
☆講演会の最後では、質疑応答。ネイティブスピーカーの教師と吉田校長と成利氏の3人が英語でやりとりする場面も。会終了後も氏は生徒から質問攻めにあっていた。
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