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土浦日本大学中等教育学校 なぜ生徒は伸びるのか

☆先週土曜日7日、土浦日本大学中等教育学校は学校説明会を開催。なぜ生徒は伸び、大学進学実績も出るのか、その教育システムについて披露された。その内容については、山口真生人(東京大学経済学部) 氏が、グッドスクールコミュティサイトでまとめているので、ご覧いただきたい。実にわかりやすくまとまっている。

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☆ここでは、そのシステムを流れる生徒の知的反応について考えてみたい。山口氏は、同校の教育システムを、4つの観点で論じている。

1)品位あふれる生徒像

2)リサーチ学習

3)英国ボーディングスクール英語研修

4)グローバル、イノベーション、リベラルアーツの教育バックボーン

☆この4つの観点からは、1人ひとりの生徒が、グローバル、イノベーション、リベラルアーツという教育バックボーン舞台で凛として世界に立ち臨んでいる姿を想起できる。そして、そのように立ち臨めるのは、リサーチ学習という知の活動があり、英国ボーディングスクールでのグローバル体験学習という精神運動の活動があるからである。

☆この全体システムの中で、生徒は脳中枢と身体感覚全体を使って、精神的反応あるいは思考力を大回転させるわけだが、その反応については、中1のときに受ける校長先生の「未来授業」の振り返り集(上記写真)の中に垣間見ることができる。

☆読み進んで、すぐにわかるのは、すべての中1生が、パラグラフライティングのコツをきちんとつかんでいるということである。

☆トピックセンテンス、理由、具体例、比較対照が織り込まれている。

☆そして、最後に中2にむけての決意が書かれている。トピックセンテンスの段階では、まだオピニオンだが、最後はディシジョンにジャンプする。

☆それから、具体例の挙げ方は、もちろん校長先生が取り上げたものだが、領域が様々。にもかかわらず、それら異なる具体例を通して、エッセンスを取り出している。生徒によっては、校長の授業がメタファに満ちていて、領域横断型であることを指摘している。

☆パラグラフライティングが中1の段階でできているということだけでも、思考のプロセスがフレームによって強化できていることを示唆しているが、さらに領域を横断できるエッセンスとしての共通構造を見出せる精神的活動は、特殊化から一般化、一般化から特殊化を行き来できるクリティカルで創造的な思考のベースができているということを意味するのである。

☆日本の教育は優れて教科専門的であるが、教科の壁をぶち破るパラダイムシフト型の科学思考が育てられていない。

☆残念がら教科というのは、学問領域ではなく、初等中等教育段階で便宜上きめられた学びの領域であり、科学的な検証は一切されてこなかった。にもかかわらず、そんな領域で優劣競争が行われてきたのである。

☆しかし、今やそんな国内事情=国家道徳で学んでいても、世界に通じないことは明らかである。教科横断型の能力というよりも、科学的思考力を養えるかどうかがカギである。

☆しかし、そうはいっても教科中心主義の現状にあって、それを無視するわけにはいかない。その現状のベルリンの壁を自ら崩す以外にほあかるまい。

☆これができる生徒は、自ずと成長するし、いわゆる学力も伸びる。何より未来世界で活躍している自分を描くことができるのである。

☆もちろん、大事なことは未来をバラ色に描くのではない。もしかしたら灰色かもしれない。にもかかわらず、自分は飛翔しなくてはならない。そんな使命を背負い歴史を創るモチベーションが、根っこの授業にはある。そして科学的思考力の端緒が構築されるのである。

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