半沢直樹と嘉悦孝の対話はあるか?かえつ文化フェスタ
☆9月28日・29日、かえつ文化フェスタ開催。今年110周年を迎えたかえつ有明は、この日、さらに大きく飛躍する企画を練っている。
☆その一つが、創設者嘉悦孝子の新しい物語の中間発表。その名も「新★嘉悦孝子伝」ということのようだ。サイエンス科の方法論の1つ情報リテラシーをつかって、中2生が取り組んでいるという。
☆嘉悦孝子は、あの山本八重と世代こそ違うが、同時代人。激動の時代を生きた。また、日本資本主義の父渋沢栄一とも同時代人。実際、嘉悦孝子が学校をつくるときに、渋沢栄一は支援しているぐらいだ。
☆何せ嘉悦学園は、日本初の女子のための商業高校、つまりビジネスを学ぶ学校から出発している。
☆おそらく、中2の生徒は、明治の近代国家ができる様子を山本八重のドラマをみて、親近感を覚えているだろうし、渋沢栄一がその構築に尽力した日本の銀行のことを、大人気ドラマ「半沢直樹」を見て、自分事のように思いを巡らしているだろう。
☆嘉悦孝子は、日本という国造りを、アダム・スミスの経済論と道徳感情論によって考えていた節がある。
☆山本八重とは違い、キリスト教の近代国家を目指しはしなかったが、アダム・スミスという啓蒙思想、つまりキリスト教倫理を実用化した近代市民社会を思い描いていたのではないか。
☆勤労と勤勉そして倹約というマックスウェーバーのプロテスタンティズム的資本主義論にも通じていたかもしれない。ウェーバーの対極にいたゾンバルトの恋愛と贅沢が資本主義を生んだという考え方はとらなかっただろう。
☆それは嘉悦孝子の言葉「怒るな働け」が教育理念になっているところからもわかる。
☆嘉悦孝子の時代は、ウェーバー型資本主義かゾンバルト型資本主義か、すでに世を二分していたし、それは今も変わらない。もっと変わらないことは、戦争やテロが、明治以来、今も世界から消えているわけではないということだ。
☆そしていまだに、アダム・スミス的経済社会は、訪れていない。アダム・スミスの考えは、ウェーバーのでもゾンバルトのでもない。なぜか?彼らの理論では、「夜と霧」を解決できないからだ。
☆第二次世界大戦になってそのことが明らかになったのだが、それ以前に、嘉悦孝子はアダム・スミスに触れていた。見えざる手が働く健全な経済社会が成立するには、アダム・スミスは「胸中の公平な観察者」を育成しなければと考えていた。
☆こんな観察者が、現在のビジネスマンの胸中に存在しているだろうか。
☆アダム・スミスと同時代人のイマニュエル・カントが、平和はお金でボソッと言ったとき、それは公平な観察者によって見えざる手が働く社会が平和だということだったのかもしれない。
☆はたして、半沢直樹の百倍返しという発想と実行を、胸中の公平な観察者はどう評価するのだろうか。つまり、「新☆嘉悦孝子」は、半沢直樹という人材をどのように評価するのだろうか。
☆大人気ドラマの視聴率を支えるB層のハートを、新☆嘉悦孝子はどう射止めるのか。
☆かえつ文化フェスタ。この日かえつ有明は大きく飛躍する機会を手にすることができるだろうか。実におもしろい。
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