中学受験市場に支持される「中高一貫校」(4)海城
☆海城は、東大をはじめ大学合格実績が破格によいのは周知の事実である。しかし、さらに伸びる学校として中学受験市場の期待値は高い。
☆サンデー毎日(2013.10.20)ではこんな記事が載っている。
海城は、今年から「グローバル教育部」を立ち上げた。国際社会で活躍できる視野や能力を持った人材の育成を強化するためだ。在校生の留学や海外大学進学の支援を本格的に行う。英語教育や海外研修の充実にも力を入れる。
☆2011年から高校入試を廃して、その分中学から帰国生30人を受け入れる入試を始めた。それから3年。この入試は成功を収めたがゆえに、帰国生の才能をさらに伸ばすカリキュラムイノベーションが内部でおこったわけだ。その一つがというかその結実が「グローバル教育部」なのであろう。
☆これが他校のグローバル教育とどう違うのだろうか?このことを理解することによって、実は、海城が中学受験市場のパワーポジションを変えるということに気づくはずである。
☆受験市場はそういう動きには最前線にある。雰囲気で察知する。それゆえ、大いに海城を支持しているのである。簡単に言うと、駒東より海城の方が開成、麻布と競争関係に入るということである。
☆中学受験市場では、海城は開成、武蔵と同じように「グローバル教育に力を入れている学校」として支持されている。ここに駒東と麻布は入っていない。
☆なぜか?駒東は隠れ帰国生がたくさん一般入試で合格しているが、帰国生入試をことさらやる必要はないとう相変わらずガラパゴスであることは明らかだから、自ずと海城に距離を開けられる。
☆麻布は逆に本物のグローバル教育を行っているため、ことさら海外大学進路指導を組まなくても、海外大学に行ってしまう。ただし、入試制度が日本と海外では違うから、高2でインターナショナルスクールに奨学金をもらって転校し、アイビー大学に進学するケースもあり、中学受験業界的にはそのような実績はカウントしないから麻布のグローバル教育の本質を見える化できないでいるのだろう。
☆しかし、海城はそこは鋭く読み解く人材が豊富だ。開成や武蔵のようにハーバード大学だ、IBだなどというような進路先教育や外注システムをそのまま持ち込むようなことはしない。
☆麻布のように思想としてのかつ活動としてのグローバル教育という世界標準の教育を構築しつつある。
☆麻布は、海城に感謝しなければならないかもしれない。今のままでは本質は見えないから、開成に溝を開けられるままだが、海城が麻布の本質を反射して世に広めるから、麻布、開成、海城、武蔵というAグループが、駒東、桐朋、巣鴨、聖光、浅野というBグループと次元の違うポジショニングになるだろうからだ。筑駒と慶応普通部は、それぞれ独自の次元を確保したまま。
☆さて、すでに海城の帰国生入試問題は、高次思考を求めているし、一般受験も各教科に部分的にではあるが、高次思考力問題が埋め込まれている。そこがBグループと大きく違うところだ。
☆つまり、海城はIBのワークショップに参加しながらもそれはあくまでもリサーチの一環で、独自のグローバル教育を模索している。そして当然ながら一般生と帰国生のシナジー効果を生み出そうとしている。
☆「海城と帰国生が意味するコト(2010.6.27)」の記事で、筆者はこう書いている。
業界でユニクロがパワーポジションを変えたように、大学や教育でもそれは起こるのは必然だろう。どこがそこに着手するかだけだ。
それにしても、最終的には麻布と海城の教育の質の競争になるわけだが、それはそれで私学市場としてはよいことではあるまいか。
☆世の中そういう流れになっていることは確かなようだ。
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