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小学校の英語教育 国際理解教育から知識基盤社会理解教育へ

☆日本経済新聞 2013/10/23 12:21 によると、

文部科学省は23日、正式な教科ではない「外国語活動」として実施している小学校英語の開始時期を現在の5年生から3年生に前倒し、5年生からは教科に格上げする検討を始めた。早い時期から基礎的な英語力を身につけさせ、世界で活躍する人材を育成するのが狙い。

☆さらに、今回の記事の中に、「来年度以降、中央教育審議会で協議したうえで、学習指導要領の改訂作業に着手。2020年度までの実施を目指す」という一文があるが、これは次期学習指導要領の改訂が着々と進んでいる背景があるということに注意されたし。

☆もちろん、グローバル人材育成時代の到来がその背景のコンセプト。グローバル教育を進めるに当たり、英語でコミュニケーションできなければ、世界においていかれる。

☆英語能力がおいていかれるのではない。何度もしつこく本ブログでも書いているが、イギリス、ニュージーランド、オーストラリア、香港、カナダ、アメリカなどでゆるやかにコラボレーションし、ATC21sという組織が立ち上がっている。21世紀型スキル教育に取り組んでいるが、そこでは英語の能力をアップさせることなど中心テーマでないことは明らかである。

☆この21世紀型スキルと重なり合って進行しているのがグローバル教育である。もはやこの教育は国際理解教育とは色合いが違う。

☆新しい経済社会、それは知識基盤社会が土台になっているというか両者の構造は二重構造なのではなく、表裏一体。

☆新しい経済社会(グローバリゼーションの行方はまだ紆余曲折だが)でサバイブしていくことは、知識基盤社会でサバイブしていくのと同じなのである。

☆知識基盤のワークができなければ、新しい経済社会で生きていけない。というよりも格差の開きの中で、虐げられていくよといこと。

☆そんな格差をつくってはいけない!と言われるだろう。その通りである。では、そうならないためにはどうするのかね。

☆知識基盤社会で理論武装できるように生徒を育てなくてはならないのではないか。これは21世紀型スキルには埋め込まれている。しかし、現状の学習指導要領には埋め込まれていない。だから次期学習指導要領はそれを埋め込もうとしている。今回の小学校の英語の教科化などの話はその一環。

☆日本の子どもたちが英語を使えるようにする目的は、国際理解教育の枠組みではもはや収まりきれない。知識基盤社会理解教育の枠組みにシフトするのがグローバル人材育成時代の本位である。

☆ところが、小学校の英語の教科化やその準備の前倒しの話をすると、必ず「教科化の実現には授業時間の確保や指導体制の整備などの課題もあり、教育関係者には日本語教育を優先すべきだとの意見」がでてくる。

☆目の前の子どもたちが、知識基盤社会の中で、グローバリゼーションの社会の中で生きていけないかもしれない。この期に及んでまだそんな生徒不在の話をしている人の気がしれない。

☆そのようなことを言う有識者は、みずから格差社会を解決する政策を提言すべきだ。相も変わらず同じ批判点をあげつらっているのは、スタンフォード大学のフェッターマン教授のリーダーシップ論を引用するまでもなく、最低のパフォーマンス。

☆改善案、改革案を提示するのがリーダーだろう。そのとき、時代の要請を無視した懐古趣味の提案は最初からノーである。それは提案ではなく、繰り返しに過ぎないからだ。繰り返しを阻止するための改革案なのに、みずから繰り返そうというのは誰でもわかる矛盾である。

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