土浦日大中等教育学校のクオリティスコアが最高なわけ(1)
☆「好き勝手学校選択論(12)気になる共学校QS」で気になる共学30校のクオリティスコア(QS)をつけた。№1は土浦日本大学中等教育学校だった。
1:土浦日大中等教育学校
2:かえつ有明
2:工学院
2:公文国際
2:茗溪学園
6:順天
6:広尾学園
8:渋谷教育学園渋谷
9:春日部共栄
10:桐光
10:明治大付明治
12:玉川学園
12:桜丘
12:渋谷教育学園幕張
15:桜美林
・・・・・・・
☆その理由について、10月26日・27日に行われたオープンスクールで開講された「教育セミナー」で考えてみたい。
☆数学、社会、物理の3教科によるセミナーだった。しかし、21世紀型教育を推進している同校の「授業論」だけに、他校には見られないプレゼンテーションだった。
☆いわゆる教科の授業やセミナーではなく、教科横断的。しかし、この横断する意味がまた他校と全く違う。一般に教科横断的というと、たとえば「エコ」を英語でも数学でも社会でも国語でも家庭科でも・・・とにかく多くの教科で共通テーマを教えることができる程度の話になる。
☆しかし、土浦日本大学中等教育学校では、数学はとことん数学、社会はとことん社会、物理はとことん物理なのである。
☆エッ!教科横断的ではないじゃないかと言われるだろう。その通りである。生半可に教科横断的な授業を行うと、生徒は結局何を学んでいるのかわからない。教師は教科横断的にシラバスを組んでいるつもりになるが、生徒は教科混乱的な学びを行うことになる。
☆つまり、多くの場合、教科横断的という授業は生徒不在の場合が多いのである。この一貫性のなさが、生徒の理解をさまたげ、モチベーションを下げ、目的が見えなくなり、自信喪失につながり、自己否定感が増し、不安症候群を生み出し、それゆえ勉学ではなく、部活に行事に塾に逃走する生徒を増やし、そのいずれにも逃走できない生徒はいじめという逃避口を掘り出してしまう。
☆ところが、土浦日本大学中等教育学校のような徹底した教科授業で体得した真剣な思考力そのものが、生徒自らいろいろな対象、たとえば自分て何か、人生とは何か、社会とは何か・・・など教科横断的に思考を延長・適用・応用していくのである。要するに思考の自由の翼を獲得できるのだ。
☆21世紀型教育における徹底した教科授業で体得する思考とは、OECD/PISAやIB(国際バカロレア)DP、CEFR、21世紀型スキル、次期学習指導要領などがベースにしているクライテリア、つまりブルームやマルザーノのタキソノミーで言えば、」レベル6までの思考力を育成するということを示唆している。
☆従来型の教育では、レベル4までしか授業展開していないから、生徒は国語は国語、数学は数学、物理は物理・・・となる。レベル5のメタ認知やレベル6の自己決定システムについては、各教科で行われることはなかった。つねに教科の壁内で思考は制限されていたのである。
☆もちろん制度上の話で、レベル6まで行っている教師もいるし、生徒もレベル5と6は暗黙知としてすでに身につけ、東大にいきながらも、何かが足りないと編入で米国のアイビーリーグ系の大学に脱出する学生もいるぐらいだ。思考の牢獄から思考の自由へ!と。要するに学問の自由へと。
☆しかし、土浦日本大学中等教育学校のように、学校全体で取り組んでいる、つまり学校のシステムとしてできあがっている学校はそうは多くない。クオリティスコアで2.7以上ないと、学校のシステムとしては稼働していないだろう。
☆それでも、生徒の才能が開花しているところは、何人かの教師が挑戦しているか、生徒の暗黙知が豊かかどちらかあるいはその両方だろう。
☆土浦日本大学中等教育学校のように21世紀型教育を学校の教育システムとして構築しているところと開成のように学校の幾人かの教師や生徒の暗黙知によってなんとか成立しているところとでは、学校全体の学びのパフォーマンスに大きな違いが出てくるのは言うまでもない。
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