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2014中学受験【003】 麻布学園創立120周年記念「連続教養講座」 

☆先日2日(土)、第3回目の麻布学園創立120周年記念「連続教養講座」があった。「どうなる日本、どうする日本――日本の若者・教育、その未来について語る――」という演題で、氷上信廣前校長(1963年卒)と宮台真司さん(首都大学東京教授、1977年卒)が対談した。

Azabu

☆開会宣言は平校長から。2年後迎える創立120周年記念事業の一環として、新体育館の起工式を行ったばかりだし、麻布100年史の続編を出版する予定もあるが、ハード面だけではなく、麻布らしいソフトの部分、教養の部分である連続教養講座も行っているのだと。

☆たしかに、この連続教養講座は、すべて有名有識者ばかりで構成されている。もちろん、みな麻布卒業生である。これができる中高一貫校は数えるほどしかないだろう。

☆しかし、その中でも麻布は別格である。その理由は、講演者の学問水準に合わせて、麻布の教師が対等に対話できるからである。

☆師弟愛からそうなるというような話ではない。専門的な話は、もちろんもはや教師はかなわないだろう。しかし、それを教養という規準に合わせて想定しながら対話ができるし、その規準によってさらにおもしろい興味深い話を引き出すことができるのである。

☆有識者である講演者、とくに宮台真司さんの著書は、大学受験でも話題になる。現代思想である。もし他の中高ならば、宮台さんの著書は読書の対象か、受験の対策問題の対象だろう。

☆しかし、麻布では違う。宮台さんがリサーチし考え抜いている問題は、世界の問題であり、社会の問題であり、学校の問題であり、家族の問題であり、生徒自身の問題である。

☆だから、世界に翻弄される教育現場がある。そういう世界認識、人間認識がリベラルアーツである。

☆宮台さんは、日本が終わっている問題の1つに、たとえばミソジニーの話をする。すると在校生が、麻布というう男子校におけるミソジニーと自分が愛する女性をいかに幸せにするかという話を結び付けて宮台さんに質問する。

☆日本が終わっているという絶望から、希望を見いだす試行錯誤は何か、ネットワークだよね。そのネットワークの一環として、性愛ということがある。もう君は、そのことお気づいているじゃないか。

☆もちろん、恋愛は挫折もするだろう、切望もするだろう。そのとき君がどういう行動をとるかだよ。それによってネットワークに貢献できるか裏切るかが決まる。

☆1人の女性を幸せにすることを考えることは、家庭や社会や世界のネットワークに貢献することに結びついていくことであることも語られていく。

☆麻布のミソジニーの問題は、もちろん麻布だけの問題ではない。日本の世界の歴史認識から、相対化して指摘していることについて、エールを送る。

☆また、通常性の持続を保守し、その中で所属すること、そこであたかも貢献して承認されることに邁進することが貢献することであるかどうかにちて相対化することも説く。

☆在校生や卒業生は、現状の家族や企業のネットワークのしがらみについてどう考えるかもなげかけてくるからだ。

☆そのとき宮台さんは、相対化するために、歴史認識や世界認識を自在に使う。

☆同じ血縁でも、このグローバル社会におけるユダヤ系と中国系の血縁というネットワークと、今の日本の血縁や企業の組織というネットワークの違いを考えてごらんと。

☆ユダヤ系も中国系も母系と父系という違いはあるが、そのグローバルに広がったネットワークに貢献してさらにグローバル社会に根をはやして分厚いホームベースを造っていくのと、今の日本のネットワークのように、国内だけにしか広まっていないで、世界にはばたくグローバル人材には、何のサポートもないまま、強い自己責任を発揮する人材になってがんばってこいと言われるだけなのとはどう違うのだろうと。

☆そのうえで、自分たちに貢献せよというのは、鬱になるのはわかるだろうと。

☆その絶望から希望は生まれる。通常性という絶望状況から距離をあける祭りの空間へ冒険する自由を内側にもつこと。そこから燃え上がる動機こそ麻布で体験したことだと。その冒険こそ通常性を越境するネットワークに貢献することなのだと。

☆グローバル社会におけるっそのようなネットワークを、日本は近代化以降ロストしている。しかし、そのしがらみがないという絶望状態こそ、新しいネットワークをデザインするチャンスがあるのではないか。今の通常性に絶望することは希望のネットワークを生み出す土壌なのだと。

☆氷上先生は、それをうけて、麻布のネットワークは、つまり同窓力は、君たちにとって分厚いホームベースでありたいし、そうしていこうと。

☆氷上先生と宮台さんの師弟関係については、お2人は多くの場所で語っているし、著書の中でも随所で語られているから、ここでは省略しよう。また肝心の講演内容も、氷上先生のおススメする宮台さん自身の本「14歳からの社会学」「日本の難点」を読んでいただいた方がよいだろう。というか私の力では語れないので。

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☆それにしても対話とは「胸をうつ語りを共有することだ」と宮台さんは語る。氷上先生や自分が神様だと思う各界の先達者(ロックンローラーも含め)との対話を思い出しながら、そのような体験があるからこそ、幸せをつくれるといったとき、麻布創設者江原素六の「青年即未来」を思い出した。

☆氷上先生は、今麻布はこの通常性の社会の中でよいポジショニングを得ているが、それが絶望的状況なのである。この麻布の絶望的状況をなんとかすれば、社会は幸せになると締めくくるや否や、聴衆者から拍手喝采がしばらく続いた。

☆もちろん、参加者は麻布の同窓生がほとんどだろう。自らをも相対化する同窓力。「青年即未来」は生きているし、間違いなくその未来のグローバル社会を新しくデザインする高邁な精神をもった勇気ある江原素六ミームを有する人物が輩出され続けるのだろう。

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