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2014中学受験【011】 工学院の社会言語力 内的足場づくり

☆facebookで、工学院のブログ記事に遭遇。「本校では毎年現代社会の授業の一環として、『新聞切り抜き作品』の作成に取り組んでいます。」という文を読んで、アッと思った。前回の東京新聞主催の「新聞切り抜きコンクール」で、工学院の高校生2名が入選していたことを思いだしたからだ。

☆各学校を訪問したときに、気になるシーンは写真に収めている。同校の図書館に貼ってあった切り抜きの写真があるはずと思い、ファイルを探した。果たしてあった。

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☆読んでみて、改めて驚いた。1つは認知領域の世界標準の段階――次期学習指導要領の教育課程編集の基準――がすべて実践されていたからだ。

☆この認知領域の世界標準はタキソノミーと言われ、実はこの名前こそ表面に出されていないが、一足先に、昨年春に国立高専機構が、タキソノミーで構成したモデルコアカリキュラム(試案)を公開している。

☆このタキソノミーが明快に意識されていることが、工学院の新聞切り抜き作品の取り組みの紹介文から伝わってきた。

新聞記事を切り抜くことで情報を収集し、記事を読み取り内容を調べ深化させることで事実を明確にして内容を分析します。そして自分の伝えたい内容を創造しそれを模造紙に表現することで、作品を完成させていきます。とにかく自ら意欲的に思考を湧き起こさせること(=学ぼうとする力)がこの取り組みの狙いなのです。

☆この文章を次のようにすると、タキソノミーに準拠していることがわかる。

(レベル1知識・情報の取出し)新聞記事を切り抜くことで情報を収集し、

(レベル2理解)記事を読み取り

(レベル3応用)内容を調べ深化させることで事実を明確にして

(レベル4分析)内容を分析します。

(レベル5総合)そして自分の伝えたい内容を創造しそれを模造紙に表現することで、作品を完成させていきます。

(レベル6評価・自己決定)とにかく自ら意欲的に思考を湧き起こさせること(=学ぼうとする力)がこの取り組みの狙いなのです。

Taxonomy☆そしてもう1つ驚いたことは、2013年2月26日の東京新聞に掲載されている同校の松山修悦先生の文章。

新聞は生き方を考える読み物であり、記事には人が生きていた証明、そこにしかない花のようなものがある。そんな宝のような花を生徒に探してほしい、探し出せる力をミニつけてほしいと願っている。切抜き作品作りには、集中力と丁寧な物の見方が不可欠だ。・・・・・・・新聞切抜き作品コンクールは、教材として活用できる貴重な機会というだけでなく、可能性を限りなく広げることができる優れた手法ともいえる。言葉を丁寧に選び、対話する。読み取る力、イメージする力、そして判断力が必要だ。生徒が変容する姿を楽しみにしている。

☆この文章も、タキソノミーに収まる書き方になっているのに驚いたが、それ以上に、驚愕したのは、情報を取り出す知識の場が、「生き方を考える読み物であり、記事には人が生きていた証明、そこにしかない花のようなものがある」と表現されているところである。

☆一般に、知識や情報というと冷たく客観的で、それゆえ心揺さぶられことは期待されないものだが、工学院の生徒は、そこに自分の思いや想像を重ね、息を吹き込み、世界を立ち上げることができるように育てられているということが了解できる。

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☆世界標準、タキソノミーも確かに大切である。しかし、何より大切なのは、世界を生き生きと立ち上げる内的足場である。

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