« いじめ防止基本方針 個人と社会の再編必要 | トップページ | 2014中学受験【022】 新しい中学入試「思考力テスト」の3校に注目集まる背景 »

2014中学受験【021】 新しい中学入試「思考力テスト」ラインナップ揃う

☆来春の中学入試で新しい入試を設定する学校が揃った。かえつ有明、工学院大学附属中、聖学院。数年前から、それぞれの学校が試行錯誤で試みてきたが、名前を「思考力テスト」と揃えて、これからの受験や入試、そして学びについて提言することとなった。

かえつ有明 思考力テストで"Think Different"
工学院の思考力セミナーがすごい IBの第1ゲートをくぐる(1)
聖学院 「思考力セミナー」進化する

☆もちろん、それぞれ独自の問題であるが、3校は多様な機会で情報交換をし、以下の点で共通認識にいたっている。

1)知識偏重型のテストではなく、思考の過程をオープンにした思考力テストをつくる。

2)思考力の過程で活用する思考のスキルは、BIG6(米国の図書館情報リテラシーモデル)、ブルーム型のタキソノミー、IB(国際バカロレア)のTOK(知の理論)のスキルを研究し、参照する。レベルは1~6まですべてにチャレンジすることができるようにする。

Photo

3)生徒自身の関心を引き出すために、生徒の体験や感性も客観的な情報につなげて考えられる問題を作成する。

4)言うまでもなく、正解は1つではない問題の作成がポイントであるが、そこに到るプロセスも多様であることも評価できる問題を作成する。

5)入試問題全体が思考力問題で、一般にある入試問題の最後の設問に応用問題として織り込む形式にはしない。

☆よく「思考力テスト」と公立中高一貫校の「適性検査」の違いがわからないと言われる。この質問は非常に重要である。というのも、20世紀型学力観というメガネで覗いた場合、「思考力テスト」の仕組みが見えないのは当然だからである。

☆もし、その違いを知りたければ、まず今話題のグローバル人材育成について調べる必要がある。

☆そして、先進諸国のグローバル教育が目指しているグローバルシチズンシップとどう違うかも調べる必要がある。

☆それらを調べていく過程で、必ず、IBのTOK、ブルーム型のタキソノミー、BIG6という世界標準の思考の枠組み、つまり21世紀型学力観のメガネをつくることができるだろう。

☆そんなメガネをつくっても役に立たないのではないかと思うかもしれない。しかし、来年の中学受験に臨む小学校6年生が大学受験をするときには、大学入試自体が、21世紀型の学力観にパラダイムシフトしているのだから、今まさに準備しておかねばならないのである。

☆上記3校は、時代を読み、その準備に力を注いできた。このような学校を選択すれば、今はかりに偏差値的に伸び悩んでいても、6年後、大きく才能は開花し、結果的に大学入試でも成功を収めるだろう。

☆すでに3校は、そのような可能性を実現し始めているし、その期待は高い。そのような状況でカリキュラムイノベーションに果敢に挑戦しているのである。

☆ここで大事なことは、生徒1人ひとりの才能を開花する環境こそ、勇気と自信をもった自己肯定感に満たされた人間力を形成できるのである。

【補説Ⅰ】

従来型の受験だと、偏差値の高い生徒は、いわゆる御三家のような学校やそれに準じる学校に入る。しかし、この偏差値が高いというのは、学び方を生徒自身が認識するわけではなく、知識の量を憶える努力の結果であることがほとんである。

もちろん、中には家庭環境のおかげで、地頭がいつのまにか身につき、学び方が暗黙知になっている子がいるだろう。そのような生徒はたしかに、ハーバードやオックスブリッジのようなレベルの大学に入る(③)。

21

しかし、たいていは、中学受験の時と変わらない知識定着の勉強をするから、とにかく覚えるだけでなんとかなる今日の大学入試では、知識の定着度に従って、つまり偏差値順に東大ピラミッドはなんとかなる(①)。

そうはいっても、勉強しなくなると、うまくいかない生徒が御三家のような学校にもたくさんいることは明らかである(②)。

ところが、中学受験のとき偏差値が伸び悩んでいた生徒も、6年間でグンと伸びる。学びの方法は多様なのに、自分の得意でない知識を憶えるという方法のみを押し付けられていたのが、思考力型授業で、別の学び方を知るや、実は偏差値も伸びるが、それ以上に東大以上の世界の大学への道が開けてくるほど成長するのである(④)。

そのような潜在的才能を持っている生徒が、偏差値によって自己否定感を積もらせてしまうことが多い。というよりもどんなに頑張っても、偏差値は序列をつくるから、抜け出せない。

ところが、このような序列は、世界標準ではない。そんなものに悩まされるのは、バカバカしい。

だから、3校は思考力テストのように考える方法をテストでオープンにして、その方法を使って考えて行けばよいのだというテストを作ることにしたのだ。

思考力テストは新しいがゆえに、学校説明会などで、「思考力セミナー」を開いている。参加した多くの生徒が、200字ぐらい書くのは簡単じゃないか。考えるコトってこんなに楽しいとはと自信を胸に抱いている。

【補説Ⅱ】

では、「思考力テスト」と「適性検査」の違いを念のため説明しておこう。3校が「思考力テスト」で合意している5つの条件を、すべて満たしていないのが「適性検査」であるといえば、以上おしまいである。

1)知識偏重型のテストではなく、思考の過程をオープンにした思考力テストをつくる。

→「適性検査」は思考の過程をオープンにしていない。

2)思考力の過程で活用する思考のスキルは、BIG6(米国の図書館情報リテラシーモデル)、ブルーム型のタキソノミー、IB(国際バカロレア)のTOK(知の理論)のスキルを研究し、参照する。レベルは1~6まですべてにチャレンジすることができるようにする。

→「適性検査」はこのような理論に準拠していない。学習指導要領準拠なので当然である。したがって、レベルも4までである。

3)生徒自身の関心を引き出すために、生徒の体験や感性も客観的な情報につなげて考えられる問題を作成する。

→「適性検査」はあくまで「客観的」な知識を扱う。生徒の「体験」という主観を活用することは、現状の評価システムでは無理なのである。

4)言うまでもなく、正解は1つではない問題の作成がポイントであるが、そこに到るプロセスも多様であることも評価できる問題を作成する。

→「適性検査」は生徒1人ひとりのプロセスを診断する問題にそもそもなっていない。

5)入試問題全体が思考力問題で、一般にある入試問題の最後の設問に応用問題として織り込む形式にはしない。

→「適性検査」はそもそもこのような発想はない。

|

« いじめ防止基本方針 個人と社会の再編必要 | トップページ | 2014中学受験【022】 新しい中学入試「思考力テスト」の3校に注目集まる背景 »

中学入試」カテゴリの記事