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順天 グローバルシチズンを育てる拠点

☆11月23日・24日の両日、順天中学・高等学校王子キャンパス本館で、「第16回日本ボランティア学習学会」が開催。私は24日の第2分科会「ワークショップで描こう!ギャップイヤーの未来」に参加した。

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☆2時間半の滞在だったが、順天の中原晴彦先生のコーディネートで、様々な方とつないでいただいた。順天の大塚博司先生は、日本ボランティア学習協会の理事で、40年も前から国際ボランティア教育を順天につなぎながら、世界のボランティア活動グループのプラットフォームをつくってきた。

☆その全貌を知りたいと思ったが、予習はいらないよ、まずは感じて頂ければと大塚先生はニカッと笑った。それもそのほずである。学会の最中の数分の出会いの中で、この間口が広く奥行きが深い活動を教えてくださいという質問ほど無知なことはないし、そもそも知りたければ自分で動けばよいわけだ。

☆しかし、さすがに戸惑っている私に、昨日の基調講演を聞いていれば、少しは理解できたかもしれないのにとサポートしてくださったのは、順天の三井田真由美先生。コンセプトは、アレック・ディクソンですよ。帰ったらホームページで検索すれば、情報はたくさん得られますよと。

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☆そして、大塚先生や長塚先生がアレック・ディクソンに会いに行き、そこで書いてもらったというメッセージを見せてくださった。さらに、順天のグローバル教育は国際教育とボランティア教育が交差しているという情報も提供してくださった。iPhoneで検索すると、同協会の代表興梠寛氏の文科省での講演録にすぐにアクセスできた。

私の師匠である、アレック・ディクソンというイギリスの先生は、「紙の上に記事を書くだけがジャーナリストの仕事ではない。」とおっしゃっています。ディクソン先生は、特に、第2次世界大戦以降のボランティアの世界を築いていった人です。皆さんがご存じである「青年海外協力隊」は、1965年に生まれたのですが、そのベースになったのは、1961年にジョン・F・ケネディがつくった「平和部隊」です。ケネディは大統領選挙に立つときに、イギリスのジャーナルであり社会運動家であった、アレック・ディクソンからアドバイスを受けて「平和部隊」をつくったそうです。「ボランティア活動を推進していくための」とか、「市民活動」でも良いのですが、そういったことをサポートしていく「中間支援機関」をつくり上げていった方です。ディクソンは、1994年に80歳で亡くなったのですが、戦前、「ディリーテレグラフ」の記者をやっておりまして、第2次世界大戦が終わると同時にボランティア推進機関をつくり、イギリスのコミュニティもしくはグローバルな社会の中で、特に若者たちが中心になってボランティアをしながら育っていく社会、といったシステムをつくり上げました。彼は私に「ジャーナリストは紙の上に記事を書くだけが仕事ではない。人間の心に記事を書くのが真のジャーナリストである。目を見開いて世界中の草の上を歩いてみよ。ボランティアという名のジャーナリストがいる。」と言われました。

☆この段階で、自分がこうしてブログを書いているのもボランティアなのかもしれないと気づかされて、目に見えないリンクがあるかもしれないと思いつつ、分科会に参加。

☆そこには、NPO法人GOOD!の代表磯田浩司さんをはじめ、ボランティアのコーディネートを実際にしている方やその精神が芽吹いている方々が集まっていた。燈影学園の相大二郎先生もいらしたのには驚いたが、日本ボランティア学習協会の理事でもあり、実際にギャップイヤーを利用して日本でボランティアをするイギリス人を学園で受け入れているから当然だったのであるが。

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☆さて、ギャップイヤーを利用して海外でボランティア活動をするイギリスの学生を支援するProject Trustのスタッフとの情報交換もあった。

☆恥ずかしながら、ギャップイヤーとは、イギリスの大学進路コースの教育システムのパーツだとしか思っていなかったから、ここでも自分の無知に恥じ入るばかりだった。

☆もちろん、大学への進路コースのシステムとしても働いているのだが、それはギャップイヤーの精神の実践の1つに過ぎない。むしろスタッフがギャップイヤーを「イヤーアウト」と呼んでいたところに、大きな存在理由があったのである。

☆Project Trustのダグ・ヤングさん(日本担当責任者)は、日本ばかりでなくイギリスも、良い高校、良い大学、良い企業へという考えはある。しかし、そのようなレールの上だけを歩く生き方が、自分を知ることにはならないということは理解されている。そう思ったら活動すればよい、チャレンジすればよい。

☆レールから外れて、日常では経験できない世界を学んでくることは、イギリスでは尊敬されることでもあると。だからそのサポートをする社会奉仕の一環としてProject Trustは存在していると。

☆一瞬、アーサー王物語、ネバーエンディングストーリー、ハリポタ・・・のファンタジーの世界が広がった。本や映画の世界だけではなく、こころに描いた自分のファンタジーを実際に体験することをサポートする。

☆しかも、その成長物語のおわりは、グローバルシチズンの騎士として成長して帰還してくるという。もちろん、おわりははじまりで、今度はグローバルシチズンとして社会に貢献していく冒険の道を歩いていく。

☆物語には、妨害者ばかりではなく、パートナーや友人、先輩、導師がいる。そのネットワークを提供しサポートするのがProject Trust。実際にそこでのトレーニングを受け、クリアしてきた2人のイギリスの学生が、ギャップイヤーの間、順天で英語を教えるボランティアをしている。

☆彼女たちは、このプログラムの挑戦で、勇気と自信とモチベーションを抱くことができたし、そのしっかりとした内面の意志があるからこそ、順天での生活が一層充実できハッピーだと語っていた。

☆順天が40年かけて大切にしてきた教育力の1つは、この勇気と自信とモチベーションという内面の意志を、生徒1人ひとりが持てるコトだったのだ。

☆そしてそれには、中高時代に、イヤーアウトの体験学習をしておこうということだったのだ。ギャップイヤーは、なにもイギリスだけの精神ではない。形を変えていろいろな種類があることは、ギャップイヤー・プラットフォーム(GP)が編集した「ギャップイヤー白書2013」でも報告されている。イヤーアウトという精神は、いろいろな時期に可能である。

☆順天はそれを多様な海外研修やボランティア体験に埋め込んでいるのである。なるほど長塚校長が、J.J.ルソーの言葉をかく引用するわけである。

「一国民(自分の仲間)しか見ていないのは、人間というものを知ることにはならないで、一緒に暮らしてきた人々を知っているにすぎない」

☆今回のプログラムで、議論された「順天が拓くコミュニティ・キャンパス」とは、グローバルシチズンが集積するプラットフォームという意味だったのではあるまいか。

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