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シンガポールの21世紀型教育モデルに追いつけない日本の教育改革

☆「反転授業の研究–思索と実践の記録」のサイトやFacebookの主宰者田原真人さん(物理の研究家で著者多数。最先端のICT教育を追求し、ネット上で多くの人と新たな試みを行っている)が、「シンガポールのトップ高を視察してきました」という記事を掲載している

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☆詳細なレポートがゆえ、ぜひ本文を読んでいただきたい。ここでは、田原さんご自身が最後にまとめている要約部分をご紹介する。

3時間にわたる視察を終えて、「ノートPCなどを学校に持ってきて、プロジェクト型学習を行う」ということが最初にあって、それが効果的に行えるように、Wifi設備や、図書館のデザイン、スペースの設計などが行われているという印象を受けました。

また、LMSが、ICTを使った教育の中心にあり、大きな役割を果たしていることも印象的でした。

また、それらを使いこなすための研修制度も充実していて、教師が創造性を発揮する環境が整っているように感じました。

目からうろこだったのは、LMSにWebアプリケーションをインストールし、それらを使って学習することにより、端末は何でもよくなるということです。学習環境をそろえるために、タブレット端末などに同じソフトをインストールして配布するというのも一つの方法ですが、端末は生徒が自分自身のものを使い、もっていない生徒には学校側が貸し出し、Webアプリケーションで環境を統一するという方法であれば、反転授業などを行う環境構築のコストを下げられるのではないかと思いました。

☆キーワード、キーフレーズに分解してみよう。

①「ノートPCなどを学校に持ってきて」

②「プロジェクト型学習を行う」

③「Wifi設備や、図書館のデザイン、スペースの設計などが行われている」

④「LMS(Learning Management System)が、ICTを使った教育の中心にあり、大きな役割を果たしている」

⑤「研修制度も充実していて、教師が創造性を発揮する環境が整っている」

⑥「LMSにWebアプリケーションをインストールし、それらを使って学習することにより、端末は何でもよくなる」

⑦「学習環境をそろえるために、タブレット端末などに同じソフトをインストールして配布するというのも一つの方法ですが、端末は生徒が自分自身のものを使い、もっていない生徒には学校側が貸し出し、Webアプリケーションで環境を統一する」

☆日本の学校で、この7つの項目のうちどれくらいクリアできるだろうか。①はなんとかクリアしている先進的学校はある。⑦は、Webアプリケーションで環境を統一するには、LMSが前提だから、実は簡単にできない。

☆ということはLMSを前提にする③、④、⑤、⑥はクリアできない。②は、ICTを使わなないプロジェクト学習は可能であるが、まだまだ一斉授業が多い。

☆お金をかければLMSはできるかというと、日本でも大学で導入しているが、これが授業には使えない。履修や出席、成績などの手続き的データの集積をしているだけで、学びの過程のログ(記録)を集積してしかも共有しているわけではない。

☆≪学びの過程のログをデータにするには、コーディングが必要で、ただログをとればよいというものでもない。そのためにタキソノミーだとかCEFRが必要。これらをルーブリックという表現で使っている学校もあるが、まだコーディングにまでは到っていない。≫・・・A

☆しかし、問題なのは、このAの部分がわかる教育関係者があまりにも少なすぎるということなのである。教育政策者に関しては皆無。だから日本における、21世紀型スキルベースの教育改革は絶望的なのである。

☆ではどうするのか?中高時代から海外の先進的な中高に留学したり、高校卒業後海外大学に留学することが必要で、破格の骨太の英語教育を行っている学校を国や自治体が支援するのは論理的必然なのである。

☆しかし、留学できない生徒がほとんどである。ではどうするか?実は、①が可能であれば、生徒は自分でクリアできる。学校制度が絶望的でも、自己実現は絶望ではない。そこに気づくかどうかだ。タキソノミーやCEFRの発想はコミュニケーション誕生以来、暗黙知として人間本来のマインドとして存在してきた。

☆カントがカテゴリー発見などと言っていたものもその一種に過ぎない。IBやPISAは、このタキソノミーやCEFRをクライテリアと表現し直して活用している。そうしなければ、あのようなリサーチも評価もできないのだから当然だ。

☆そして、このクライテリアは教師と生徒が共有するものである。この生徒の側から、シンガポールのようなモデルを簡単にクリアしようとチャレンジしている学校は唯一聖学院である。ハードが完璧に揃っていないから、外から見ていてそれがわからないだけである。おそらく見学に行ってもその先進性、いや先見性に気づく人は、わずかだろう。

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☆伊藤先生も大野先生も聖学院の教師。それぞれ、タイ研修と日本史の授業で具体的なプログラムは違うが、デザインあるいは構造は同じである。質が同じと言ってもよい。

☆電子ボードかタブレットを活用しているし、プロジェクト型学習(PBL)を行っている。学びのスペースもデザインしている。電子ボードやPBLの研修やミーティングも充実している。ここまでは、他校でも実践しているところはある。しかし、ここまでだと、聖学院とは似て非なるプログラムなのである。

☆たしかに、聖学院もLMSのシステムはない。しかし、LMSに必要なルーブリックは伊藤先生も大野先生も共に考えていて、生徒にも共有している。ここが他校にはない先見性である。

☆ハード面はまだまだ先進的ではない(それでもほぼすべての教員が電子ボードを活用できるし、中学のクラスには電子ボードがすべて設置されているという意味では相対的に先進的。ただシンガポールやオーストラリアに比べるとという意味)が、プログラムの先見性は抜群である。

☆日本の教育の絶望的な事態を打開するのは、このように学習者側から創意工夫をする教師によって可能になる。簡単に言うと、ソフトパワーに溢れている聖学院の教師と生徒の「関係モデル」が絶望を反転させる。

☆これが本当の反転授業である。

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