東大合格発表の季節【04】 国立大学入試始まる
☆毎日新聞 2月25日(火)12時46分配信 によると、
国公立大の2次試験が25日から始まった。大学受験は「就職に強い」とされる理系学部の志願者が今年も増えており「理高文低」の傾向が続く。理化学研究所の小保方晴子さんが「STAP細胞」の研究で脚光を浴びるなど「リケジョ(理系志望や活躍する女性)」が注目を集めており、理系を目指す女子受験生が増加中だという。
☆この記述は実におもしろい。「就職に強い」理系と理化学研究所小保方さんロールモデルのリケジョという2つは、同じことなのか違うことなのか。
☆「就職」というのを、2025年の未来の仕事(何せそのころには、アメリカでは今の仕事の65%はなくなると言うのだから、日本も同じだろう)ととらえれば、同じである。
☆しかし、「就職」を今の仕事ととらえるのなら、違う。理化学研究所のような仕事は、今もあるメーカーやサービス業、金融とは違って、理系に行ったからといって、誰でも行けるわけではないからだ。
☆ところが、目を近未来に向ければ、理系に進まざるを得ない。というのも、文系はなくなるからだ。
☆「理高文低」というのは、一時の流行ではなく、時代が変わる兆し。「文低」は「文滅」になるのである。
☆そんな極端なと思われるかもしれない。もっとも、「文滅」になれば「理滅」になる。理系文系は、今のところ対概念だから、片方がなくなると意味がなくなる。
☆要は「文理融合」になるのは、学際的、教科横断的な時代にあって、当然の流れであろう。
☆制度的には、SGH(スーパーグローバルハイスクール)の動向をみていると、文理融合を高校時代に前倒しにしてくる。つまりリベラルアーツということ。ここで真正(オーセンティックな)数理ベースの思考力を身につけ、大学からは数理思考を専門領域に高次思考としてシフトしていくことになる。
☆そのことを見越して、中学入試でも、麻布や開成ばかりでなく、多くの中学で「思考力」試験を開発している。公立中高一貫校の適性検査問題がPISA型を模倣しているのもその流れである。
☆そして高校入試も、都立のグループ作成型入試で「思考力」入試にシフトしているのは、すでに述べた。
☆次の問題を見てみよう。慶応の入試問題。
☆この問題自体は、知識を想起するしかないのだが、知識を定着させるときは、真正の「思考力」を活用している。動物の身体のしくみの比較をするときに解剖、観察もしているだろうからだ。ここではカテゴライズ(分類)の基本的な思考が必要だ。
☆ちなみにこの問題は、慶応義塾大学の今年の医学部の生物の問題である。
☆中学受験から学ぶのであれば、従来のような暗記中心の勉強で終わらせるのではなく、「思考力」を養成する学びを行うことだ。
☆15校の私立中高一貫校が集まってグローバル教育、イノベーション教育、リベラルアーツを協働で研究している21会学校は、「思考力問題」も開発している。
☆麻布や開成、栄光がそうであるように、思考力型の大学入試問題を研究している。20世紀末から大学も変わろうとして、思考力問題を作成してきた。そこにつながるような問題を麻布や開成、栄光は作成してきた。
☆そして、今までは、そのような偏差値の高いところが思考力問題を出題し、そうでないところは暗記問題を出題するという、人権を無視するような幻想があった。
☆しかし、これは学校側にも責任がある。中学受験塾は、大学入試をあまり研究しない。それゆえ、麻布、開成、栄光の問題は、それらの学校を志望する受験生には対策をするが、そうでない受験生には、模擬試験対策をすることになる。
☆模擬試験は最大公約数の一般化された、しかも大量に採点するから、正解が決まっている問題。
☆そして学校もその問題を参考につくっていく。なぜなら塾側から、模擬試験の対策をやっている受験生には、そんな考える問題は解けないから出題しないでほしいとクレームをうける。とんでもはっぷんぷんで、業界の外の人にとっては、アンビリバボー!!だろう。
☆エッ!「考える」ことはやめてくれというクレームは、人間のクリエイティビティという活力を削除する行為じゃないかと。
☆これに私学側は、対応すべく、特にリーマンショック以降、イノベーションを重視るような父親のニーズもあって、一般テストに「思考力型」問題を挿入していった。しかし、その問題ができなくても他の問題ができれば合格する割合しか出さないから、受験対策で「思考力型」問題は捨ててしまうということになっていた。
☆それでは、実質は何も変わらない。そこで、さらに「思考力テスト」という、真正「思考力」の問題を開発し、複数回数の入試の中に「思考力テスト」という科目の入試を開発した。
☆この問題を開発するときに、21会学校の先生がたは、麻布や栄光の問題、高校入試の思考力問題、大学入試の思考力問題、そして大学入学後学ぶ、思考の方法をリサーチし、そうそう忘れてはならないのは、IB(国際バカロレア)のエッセンスもリサーチし、そこに真正の「思考」の方法の一貫性を見出した。
☆この真正の「思考」の方法の一貫性を小学校時代から体験しておけば、未来の人生においても、目の前の受験、6年後の大学入試においても、新しい仕事に満ちている未来においてもサバイブできるだろう。
☆小学校低学年はどうするのだと尋ねられることもある。そこで、「本と絵」という言語と空間と身体感覚(パステルを使うので)と美的感性を楽しむワークショップも開発している。つまりクリエイティビティということ。
☆これは、慶応幼稚舎のような、ペーパー試験のないお受験にもつながるプログラム。
☆理数教育は、思考の一貫性あるいは平衡感覚を養うリベラルアーツがベースになる。この文理融合が求められる時代がやってきたのである。
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