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2015中学受験生のために【001】 真正中学受験の誕生

☆2014年中学入試は、大きな転機だった。これほど私立学校がそれぞれに改革の旗を掲げて受験生を迎え入れた入試はなかったのではないか。

☆従来、受験業界では、入試改革というと、入試要項変更のことを指した。教育の内容よりも、入試日変更や科目変更、入学金の延納など、受けやすさ、支払いの合理性が追求された。

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恵みあふれる聖マリア、まだがんばっている中学受験生、2015年新たに挑む新中学受験生に勇気と自分を信じる力と平安を与えたまえ✝

☆ところが、今年は、世の流れがグローバル人材育成に突入しており、世界中で21世紀型スキル、グローバル教育のプログラムがデザインされ実践されているから、それに対応する私立学校が急激に教育の高い質のハードルを自らに課し始めた。

☆もしこの対応力・俊敏力を発揮しなければ、今年の新中1が大学入試に直面するとき、そして社会に出る時に、激変する世の中で、サバイブできなくなるからだ。

☆しかも、自分ひとりサバイブすることなどできる世界ではなく、いかに1人ひとりがリーダーシップを発揮し、協調していけるのか、協調できなければサバイブはできないというような世界になっているからだ。

☆もちろん、公立学校も変わろうとしている。しかし、なかなかそれがうまくいかない。なぜか?それは、最も重要なところに目が向かないからである。

Img057 (「学習する学校」ピーター・M・センゲ他 英治出版2014年1月31日)

☆ピーター・M・センゲといえば、「学習する組織」で有名であるが、その学校バージョンをすでに出版しており、グローバル人材育成学習指導要領にシフトするために、ようやくその資料として邦訳された。

☆この図を見て明らかなように、私立学校であれ、公立学校であれ、学校を取り巻く、環境は複雑で、ダイナミックに影響を受けている。常に社会や世界の動きに翻弄されていることがわかる。

☆これらの複合的な関係を循環するようにマネジメントしていくのが「学習する学校」の使命であるが、そのとき図を見ても明らかなように、根源的に重要なのは、生徒と教師と保護者の相互関係なのである。

☆21世紀型教育は、この相互関係に倫理のみならず学びを求めている。あるいはこういってもよいかもしれない。「学びのコミュニケーション」。

☆20世紀型教育は、倫理と学びとコミュニケーションはすべて要素分解されていて、つながりがなかった。バラバラになっている場合、学びはお勉強であり、お勉強は教えられたものをインプットして、そのまま記憶して、それをアウトプットすればよかった。

☆しかし、21世紀型教育は、インプットされた知識は、すでに体験した自分の知恵と社会の現状をリンクして、新たな知識として創造したものをアウトプットすることが必要となってきた。

☆したがって、保護者は、子どもの体験に多くかかわる必要があるし、子どもは既習の知識と新情報と体験をリンクする必要がある。そして教師は、そのリンクが生徒の独りよがりにすぎない場合、公共的な視野を拓き、新たな地平にリンクするファシリテータでなければならなくなってきている。

☆この三者の行動が、生徒の内側・内面・頭脳で「リンク」し「内生的発展」を遂げる行為のことを「学びのコミュニケーション」という。そして、この「学びのコミュニケーション」を前提にして考えるコトを真正の「思考力」というのである。

☆上記の図は、多様な関係図になっているが、そのコアの部分である「生徒」と「教師」と「保護者」の「学びのコミュニケーション」としてのリンクこそが根源的に重要なのである。

☆にもかかわらず、ここを組み立てることができないのが、公立学校の現場で起こっていることなのだ。それは公立の教師の能力の問題ではなく、現行学習指導要領を活用しなければならないシステムが、それをさせないということなのだ。

☆しかし、2018年大学入試改革が本格化するころに改訂される新学習指導要領は、一転して「学びのコミュニケーション」という真正「思考力」を求めだす。

☆私立学校は、もともと中学入試問題を設計し、その入り口につながるように、カリキュラムを設計しているから、試行錯誤の積み上げがなされている。つまり、本当に生徒にとって必要なインテリジェンスとは何かを、入試問題という生徒の学びの反応をリサーチする質問紙として活用できているのである。

☆それに応じて、カリキュラムイノベーションを起こすことは、私立学校の方が柔軟なのは、学習指導要領を自由に活用できるかどうかのシステムの違いなのである。

☆さて、そのカリキュラムイノベーションとは、「生徒」と「教師」と「保護者」の「学びのコミュニケーション」が核になる。倫理と学びとコミュニケーションの統合が必要となる。

☆多くの私立学校で、カリキュラムイノベーションが行われているが、「学びのコミュニケーション」という真正「思考力」を開発している私立学校のコラボレーションが活発なのが、21会(21世紀型教育を創る会)の学校メンバーである。

☆この21会の学校のメンバーは、実際に会長の吉田晋先生をはじめ、文科省にグローバル教育における真正の学びの環境を直接提言しているメンバーが集結している。

☆最も新しい情報が集まるし、新しい情報を発信できる役割を果たしている。しかも、理念やビジョンを発信するだけではなく、互いに真正「思考力」を育成する授業も開発している。

☆本シリーズでは、21会を中心に収集した情報をご紹介していきたい。2015年の中学受験生には、その新しい情報が確実に必要になるからである。

☆私立学校に入学する前から、「受験生」と「保護者」と「私学教師」の「学びのコミュニケーション」を創っていくことは、変わろうとしている日本及び世界の教育を変えることになる。

☆「受験生」と「保護者」と「私学教師」は、この世界を変えるメンバーとして「学びのコミュニケーション」を積み上げていくことになる。それが大きな転機を迎えた真正中学受験の意味なのである。

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