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公立トップ6校連携 私立に対抗 旧国家エリートの崩壊 

☆うーむ。この国はどうなるのだろう?国家のあり方を問う人材が、広域で輩出される時代に突入したようだ。毎日新聞 2月22日(土)15時0分配信 によると、

1都3県の都立、県立トップ高校長が「首都圏公立進学校校長会」を結成し、公立校復権に力を入れている。地域を代表する公立進学校が都県を越え、こうした会を作るのは異例。互いの学習状況、部活動、学校行事など情報交換しながら「文武両道」を生かした「更なるエリート校作り」を目指す。副校長・教頭の会合も開始し、生徒同士の交流や共同研究もしたいという。進学面など、首都圏で顕著な私立中高一貫校優位とされる状況に対抗したい考えだ。

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☆県立トップ校というのは、「日比谷、西、湘南、県立千葉高、県立船橋高、浦和」。このうち日比谷、西、浦和は、スーパーグローバルハイスクール(SGH)申請校でもある。

☆したがって、「更なるエリート」なるものは、本当は、従来の近代官僚型エリート、つまり旧国家エリートを目指しているわけではない。SGHの要項の核であるグローバルリーダーということになる。

☆だが、文科省の目差すグローバルリーダーは、あくまでも日本の国益を保守する国家エリートである。

☆日比谷、西、浦和もそれ以上を考えていないだろう。いやトップ公立高校は国家エリートの養成準備教育を行っているという認識はあまりないかもしれない。もう戦争は終わったし、戦後民主主義以降の公立学校だからと思っているだろう。

☆というのも、基本的には社会進化論的発想が文科省の理念で、啓蒙主義的発想のグローバルスタンダードとは異なるローカルスタンダードである認識は、学習指導要領にはないし、自民党に代表される保守政治は、人類普遍の原理を無視しているという歴史認識もないだろう。自民党の改正憲法案では、前文からユートピアにすぎないからとこの言葉は削除されているぐらい。

☆つまり、公立と私立の相克は、この日本流の社会進化論と普遍的理念を目指す啓蒙主義的社会構造論の相克の歴史であったし、今も連綿と続いているということは忘れられている。

☆ただ、パラドキシカルなのは、たしかに、トップ校は、東大に何人入れるかがグローバル教育だと思っているが、一度、生徒がグローバルスタンダードに触れるや、クリティカルシンキングやメタ認知を体得するから、たちまち自分たちが、いかにローカルルールで縛られてきたかを了解してしまうのだ。

☆記事には、たしかに、こうある。

西高の宮本校長は「どこも部活動や行事に力を入れる『文武両道』校。受験指導だけに特化せず各界で活躍できるリーダー育成の理念も一緒。部活動と学業の両立の難しさなど悩みも共有でき、心強い」と効果を話す。他校も▽「公立高の良さを広く知ってほしい」(浦和高・杉山剛士校長)▽「交流でさらに高めあいたい」(千葉高・高岡正幸校長)▽「進学実績をさらに上げるうえでも他校の良い点は参考になる」(湘南高・羽入田眞一校長)--と意気盛んだ。

☆文武両道といえども、部活のありかたが、実は法治国家的なルールでできていない曖昧な活動であること(手続き論的には合法的であるが、自然法論的な議論ができていないのであるというのが本当なのかも知れない)を明快に論議せずに、称揚しているから、やはり、旧国家エリート観を継承しているのである。結局は大学進学実績を上げることが目的であるというのは、明白。

☆しかしである、片方で、宮本校長は「生徒同士の交流や共同研究も考えたい」と語る。これによって、生徒の中で自然法論的な発想が開く。ローティやハーバーマス、ロールズ、サンデル・・・といった思想が流れ込む。

☆彼らにとって「更なるエリート」は、グローバルスタンダードな意味でのリーダーとなる。パンドラの箱が開くのである。

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