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アンケートご協力ありがとうございました。(1)

☆昨夕「アンケートを作ってみました」という突然の記事をアップしたところ、100名以上の方にご覧いただき、実際に25名の方に回答して頂きました。この忙しい時期に、ご協力いただき、皆さまに心から感謝申し上げます。そして結果をお知らせします。

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☆グローバル教育において、どの項目も必要不可欠ですが、その中であえて選ぶとしたらという究極の選択をしていただきました。

☆項目の立て方が、セオリー通りではなく、字数の長短があって、申し訳なかったのですが、実験だったので、ご了承ください。

☆回答の結果、グローバル教育には、どれも必要だけれど、洞察力が基礎というコンセプトがはっきりしました。ありがとうございます。

☆さて、コンテンツに関しては、そのようなコンセプトを皆様に頂いたわけですが、今回の実験には、もう一つ確認したいことがありました。

☆それは、ICT技術が、私ぐらいしかない先生方でも(失礼を顧みず相変わらずおせっかいで申し訳ございません)、タブレットや電子黒板を使って、授業の質をあげるには何ができるのかということを知りたかったのです。

☆私自身は、1998年・99年の私学危機をきっかけに、私学の先生方と授業研究会を行ってきました。コミュニティは紆余曲折あって、CAL→THE授業リンク→最高の授業勉強会と変遷しました。

☆その間、私も幾つかの教育研究所を転々としましたから、その当時のサイトは打ち切りになって、、アーカイブが残っていないものもあり残念ですが、幸い現在21会(21世紀型教育を創る会)の先生方と真正「思考力」を生成する授業を実際に行うお手伝いをさせていただいており、私学の生徒募集は、経営と教育は一致するという理念は今も昔も変わっておりません。

☆多様な勉強会があったのですが、その中でもHonda発見体験学習(2泊3日宿泊型探究学習)のプログラムデザインの仕事は、今でいうプロジェクト型学習であり、またそのときの評価はスタンフォード大学のフェッターマン教授のエンパワーメント評価の手法を織り込みました。

☆今なら、ピーター・センゲ教授が、

assessment of learning

assessment for learning

assessment as learning

☆と評価を3つにカテゴライズしていますが、3つめのassessment as learningをやっていたことになります。

☆ネット上で、自己評価をすると、その場でリアルタイムに評価がでます。それを見ながら、学習戦略をチームで考えていくということですね。生徒が寝静まった(かどうかはわからなかったですが。笑)あと、先生方、チューター(ラーニングアドバイザーと呼んでいました)、私たちスタッフで、その評価をプロジェクターで映して、生徒の様子や学びの状態を分析し、次の日のスケジュールというより、生徒の学びをいかにファシリテートしていくか学習戦略について話し合いました。

☆もちろん、今思えば、そんな評価の有効性を先生方がはじめは信じることができず、ずいぶん議論したことを懐かしく思い出します。しかし、そのときの議論こそが、今の21会のような21世紀型教育で何が必要なのか、明快に了解でき、感謝の思いでいっぱいです。

☆さて、しかし、Honda発見体験学習は、当時はHondaさんもバブリーでしたから、随分リソースのご協力をいただいたわけですから、それがない状態で、しかも最近の私の関心は、普段の授業の中でいかに埋め込めるかということですから、コストをかけずに行うにはいかにして可能かということが問題なわけです。

☆まあ、簡単にいうとイノベーションをどう創出するかです。Honda発見体験学習でもそうですが、チームに2台のノートPCとWeb評価システムの環境がなければ、チームビルディング、リサーチ、ディスカッション、プレゼンテーション、なんといってもフィールドワークから究極の問いを立ち上げ編集するというプロジェクト型学習を2泊3日で行うことはできません。

☆Honda発見体験学習の学習環境は、大掛かり過ぎて、予算がどうしても必要になります。ITがイノベーションを生み出し、コストを下げるというビジネスでは当たり前の感覚が、教育の世界では、逆になってしまうのです。それは、ITによって、ますます生徒1人ひとりの才能に合わせることができるからですが、なんとも経営と教育の均衡が崩れてしまうのです。

☆そのパラドクスをどう解いたらよいのか?当時は米国のチャータースクールで、プロジェクト学習(PBL)をやっているところがたくさんあったので、知り合いのネットワークで見に行きました。チャドウィックスクールやエルソールという貧富の格差が大幅にあるプレップスクールとチャータースクールを比較できたのが、大きな確信をもたらしました。

☆全米でもかなりの高級住宅街にあるチャドウィックスクールの週に半分の議論型の授業は、きわめて高度で、知識を掘り下げる議論が展開されていました。要するに、東大の地理や世界史の問題で、いくつかのキーワードをつなげて200字くらいで歴史的認識をまとめるような問題を、1時間の授業の中で10題くらい議論しているという知のボリューム感がありました。

☆それが週に半分のすべての授業で行われているのですから(しかも幼稚園から高校まで。幼稚園の児童もすでに議論するチャンスがあるわけです)、そりゃあ日本の優秀生もかなわないわけです。

☆大学に行くのが珍しいという地域のエルソールでは、やはり、そのような授業は無理のようでした。

☆しかし、チャドウィックが週に半分行っているPBLとエルソールで行っているPBLでは、モチベーションという意味では、差がないのです。エルソールの校長はおばあちゃんでしたが、ニコニコしながら鋭い目で、これでこの地域からもサイエンティストやアーティストが輩出されるからと、エネルギッシュに笑っていました。この校長先生は、ピーター・センゲのいうシステム・シチズンの先駆けですね。

☆それにしてもおばあちゃん校長は、その当時トヨタの学校、つまり海陽の情報を知っていて、どういう学校なのかと質問されました。イギリスのパブリックスクールにヒントを得たようですよと語るや、スーパートラディッショナルだと驚いていたあの表情は印象的でした。

☆そんな出会いもあって、PBLの効果の確信を抱いたのと同時に、日本の学校で、これを導入するには、総合学習や宿泊探求型でやっていては効果が薄いと気づきました。

☆チャドウィックの校長も、PBLは米国でも抵抗がある。しかし、実際に昔からやっていて、ハーバード、スタンフォードに生徒がたくさん進むわけだから、何をいわれてもなんともない。それより、サンタバーバラにある超ハイレベルのケイトスクールは、うちよりもクレージーだよ。すべてPBLだからねと。

☆ケイトスクールと言えば、八雲の姉妹校で、こんなところで、つながるのかと思って、視察に行こうと思っているうちに、果たせませんでした。私のわがままを支えてくれた、NTS前社長の横田社長が亡くなったからです。

☆しかし、PBLの手法はモチベーションを上げる絶大の効果があると確信しました。チャドウィックはディスカッション授業とPBLを週に半分ずつやっていましたが、エルソールとケイトスクールは、PBLが授業の中心でした。エルソールは、チャドウィックのディスカッション授業レベルなしのPBL、ケイトスクールはディスカッション授業とPBLが融合しているということが何を意味するのか、そこにヒントを得たわけです。

☆つまり、Honda発見体験学習のようなPBLを授業化できるのではないかということですね。

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