« 東大合格発表の季節【06】 東大合格数 上位35校で46%シェア | トップページ | 東大合格発表の季節【07】 鴎友学園女子vs豊島岡女子 »

未来授業[001]武雄市の反転授業と三宅なほみ先生の研究

☆武雄市の「反転授業」の話題が高まっている。TBS系のテレビで「市内の全小学校で導入へ、“反転授業”で変わる教育」(2014年3月13日)という題目で放映された番組は、コンパクトでわかりやすい。

☆たしかに、一斉授業よりはるかに子どもたちの理解を促進する学びの環境ができている。大いに歓迎である。まずは、iPadを全小学生が自在に使いこなせるようになる、そのテクノロジーはまさに未来の仕事に有効だろう。

☆また自宅で「動画教材」を見ながら予習し、授業ではいきなり実験や協調学習を行う。これもまた理解を促進する支援環境になっている。それだけではなく、3Rから3X、つまり読み・書き・そろばんから探求・議論・発表というグローバルスタンダードの学びにシフトできる。

☆しかし、「反転授業」のシステムは、「自宅で予習」→「授業で実験・協調学習」というものではない。

☆本来は「反転授業」は、「わかるためのプロセス」×「わかるプロセスの対話支援」というのが肝である。

☆したがって、自宅でやろうが、授業直前でやろうが、授業の導入部でやろうが、iPadに埋め込まれた「動画教材」に「わかるためのプロセス」が織り込まれていなければならない。

☆従来の教科書やテキスト、問題集は、このプロセスは潜在的に生徒1人ひとりの頭の中に可能性としてあるだけで、それを取り出してはいない、見える化していない。反転授業では、そこを「動画教材」で見える化し、生徒と共有できるようになっている必要がある。

☆しかし、「動画教材」の作成過程がテレビで放映されていたが、学校の教師が作成側の塾の講師に、学校のやり方を押し付けていた。円周と中心を結ぶ線を塾側は、円周から中心に向けてアニメーションをつけていた。ところが学校側は中心から円周にアニメーションをつけるように主張。当然契約関係から、オーナー側の意見が反映する。

☆「わかるためのプロセス」を「動画教材」に埋め込むはずが、「教える都合の手続き」が埋め込まれた瞬間だ。ここで未来の授業の希望は絶たれた。

☆ここに「反転授業」が、「わかるためのプロセスを支援する学び」から、「指導するための処理を支援する操作道具」に暗転したからである。

☆こうならないためには、理解を<>にいれるエスノグラフィーや対話分析のためのエスノメソドロジーの文化人類学、社会学の素養が必要になる。

☆これを取り入れながら「わかるためのプロセス研究」「わかるための支援研究」の両方をつなげようとしているのが三宅なほみ先生をはじめとする認知科学的な研究。

1949年 東京都出身
1972年 お茶の水女子大学文教育学部卒業
1982年 カリフォルニア大学サンディエゴ校心理学科博士課程修了
1984年 青山学院女子短期大学助教授
1991年 中京大学 情報理工学部 教授
2008年 東京大学 大学教育学研究科 教授
2013年 東京大学 大学総合教育研究センター 教授
(大学発教育支援コンソーシアム推進機構 副機構長)

☆三宅先生の中京大学で教鞭をとっていた時代に、NHKの「未来を創る科学者達 (8)未来の教室 人の賢さを育てる」というタイトルで紹介されている番組がある。2002年のものだからIPadはでてこない。にもかかわらず、武雄市の「反転授業」を超える質感がある。

☆せっかく「反転授業」に莫大な税金を投入するなら、「指導するための処理を支援する操作道具」から「わかるためのプロセスを支援する学び」に反転させたい。

☆現場では、そんな能書きはいらないと言われるかもしれない。しかし、私立学校の先生方の中に、「わかるためのプロセス研究」「わかるための支援研究」の両方をつなげようとしている取り組みがある。21会(21世紀型教育を創る会)の15校である。

そのセミナーが3月21日に開催される。新6年生はぜひ参加して、未来を創る感覚を感じてほしい。

|

« 東大合格発表の季節【06】 東大合格数 上位35校で46%シェア | トップページ | 東大合格発表の季節【07】 鴎友学園女子vs豊島岡女子 »

21世紀型教育」カテゴリの記事