聖学院 同調圧力から解放される学び(了)
☆20世紀型教育は、今となっては中高生にとっては与えられたものである。しかし、与えられたもので甘んじるのは同調圧力が強く、そこに個人のアイデアは育たない。
☆そこで聖学院は、オンリーワン フォー アザーズというビジョンを掲げ、与えられた物から制作する者に変化するように21世紀型教育を進めている。
☆このオンリーワン フォー アザーズとは、別名「絶対矛盾自己同一」という話になる。
☆多くの学びの中で、唯一この「絶対矛盾自己同一」のプログラムに挑んだのが金井先生と佐野先生。
☆ジャズピアノの静かな旋律に乗って、金井先生と生徒たちは静かに話す。金井先生も生徒も常に一つの問いかけるたびに、複数の条件があることを挿入し、どれを選択するか周到に対話していく。
☆すべては矛盾でありそれが同一性にゆらぐがすぐにまた矛盾に進む。自分から発出しているから自分の考えのはずだが、本当にそうなのだろうか。応えている自分ではなく、その自分に寄り添っている仲間や先生、そして自分の情況を疑っている自分を含めて絶対矛盾自己同一的な存在状況がそこに広がる。
☆ここでは、物質は空間に支えられているのではなく、物質は運動によって空間を生み出している絶対矛盾自己同一の関係を巻き込む存在なのである。
☆テーマは「家族」だった。「家族」は絶対的に与えらえた物である。だから、自分にとって尊重するものであり従うものである。しかし、チームで話し合ているうちに、「家族」と「自分」は与えられた物どうしの関係なのではなく、歴史的に制作された世界の痛みの修復点であることに気づく。
☆自分の痛みが、家族が抱え込まなければならなかった世界の痛みであることに気付いた彼らは、もはや家族の中の1つの物ではなく、世界の痛みを修復する戦士として痛みを修復するものを制作する人間として動かざるを得ない状況を目の前に生み出した。
☆その感じたことを粘土で表出即制作という活動になっていった。それは内発的モチベーションが生まれたなどという簡単なものではない。人間存在の逃れられない根源を見たのである。
☆彼らは、もはや絶対矛盾によって、切り裂かられ、どうしようもなくなっている人間が消費社会の中で、いっぱい仮面を買うようには生きて行けないだろう。生きるとは絶対矛盾自己同一のアイデアを紡ぐことなのである。
☆一時間の授業で、一気にその根源に降り、そこの純粋気を口にして飛び立った。根源的な学びこそ真正の21世紀型教育なのである。
☆このことに気づいていたのは金井先生、佐野先生以外に、聖学院の副校長清水先生だけだった。他の方々は、チラッと覗いて他の教室を見に行ったからである。清水副校長は、耳を澄ましてこの授業の空気を身に染みて感じていたのである。
☆世の新しい学びのなんと絶対矛盾を放置したままなのか。そうではない金井先生・佐野先生のプログラム。
☆ここに確かに希望がある。しかし後ろを振り返るとなんて消費だけの学びが多いことか。私自身態勢の立て直しを迫られたような気持ちになった大切な授業体験であった。
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