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2015中学受験生のために【054】 偏差値に負けてはいけない

☆中学受験の偏差値は、あくまでも模擬試験に参加した時に、その参加者の得点の分布と自分の得点の位置づけがわかるだけで、学校の価値を評価しているものではない。

Sapix

☆しかしながら、その母集団の中で高い偏差値の生徒が固まって受験する学校の場合、偏差値の位置づけがその集団から離れているとき、目先の合理性で考えれば、躊躇してしまう気持ちはよくわかる。

☆しかし、偏差値はあくまでその模擬試験が要求する学力における位置づけに過ぎない。

☆この意味が実感できるのは、今ではSAPIXに通っている生徒に限られるかもしれない。というのも、たとえば、受験生が1クラスの生徒ぐらいしかいない小さな塾では、偏差値の幅も大きく、全員で開成や麻布を受けようという話にはめったにならない。

☆偏差値に従って、受験相談はなされるだろうからだ。それに小さな塾は、多くの場合、模擬試験という標準的な学力を上げようとする指導をするから、偏差値という枠の中にしっかりおさまってしまい、偏差値が受験学力の唯一の尺度になる。

☆しかし、優れたリーダーのいる小さな塾は、偏差値が模擬試験にしか基づいていないということは、模擬試験の学力をはみ出る学力を要求する学校の入試問題を見出し、偏差値に関係なく、その学校の受験対策をする。そういう真正の塾があれば、ぜひどなたか教えてほしい。インタビューしに行きたい。まっ、断られるかもしれないがA^^;。

☆ともあれ、これが「偏差値に負けない方法」なのである。まとめると、

①模擬試験と入試問題の違いを把握する。

②その違いの対策をする。

③すると模擬試験の学力も向上する。

☆この違いは、サンプル数の多いSAPIXのデータをみるとわかる。上記のグラフは、SAPIXが発行している「合格力判定資料」から作成。今年のSAPIX生の偏差値別合格率のグラフ。

☆端的な違いは、麻布と開成である。麻布は、偏差値44から72の間で、合格のチャンスがあるのに、開成では54から72の間でしか合格のチャンスがない。

☆この違いは、それぞれの入試問題を見てもらえばわかるが、麻布は模擬試験の学力の枠組みを超えた問題が多数出されているが、開成は模擬試験の学力に収まった問題が多数出題されている。

☆国語の問題は一見すると、麻布も開成も記述式で、同じように見える。しかし、開成は情報整理要約能力を記述させているに過ぎない。麻布は、自分の感じ方をいかに一般化して記述するか思考の葛藤がある。

☆当然このような麻布の問題は、模擬試験で出題するわけにいかない。アルバイト学生では採点することはできないからである。偏差値と合格率を麻布と開成で比較する簡略図をつくってみた。

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☆ベルカーブである偏差値の正規分布のグラフに、上記の麻布と開成の合格率グラフを重ねてみた。明らかに差があるだろう。この違いは、あくまでこの正規分布を形成している模擬試験の力の違いにすぎず、物語創作力の違いなど表現していない。

☆いや、偏差値40台で合格している生徒は、むしろこの力があったということを表現している。まったくもってルビンの壺である。

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☆壺を図として注目いしているときは、地の2人の横顔には気づかない。しかし、図と地を転換して、2人の横顔を図にすれば、壺は地に退いてしまう。

☆私たちは偏差値をみるとき、実際には、自分の偏差値の数字しかみない。図は、上記のベルカーブの中の位置づけしかみない。しかし、その背景に麻布や開成のような入試問題の質の違う学校を補助線として引いてみたら、自分の偏差値の意味が転換していまう。

☆逆に65の偏差値の生徒も合格しない場合がある。これから何がわかるのか。すでに説明したが、これは図3のような枠組みの中での競争が行われているからそうなるのである。

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☆ここでは、ミスの勝負で合否が決まる。では偏差値40台で合格するとはどいうのはどういうことか。それは図1のような力の付け方ができているということ。

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☆模擬試験では、図1の力も図2の力も差がつかない。

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☆しかし、本人は図1のような才能を身につけているとしたら、まずは縦の軸にそって学んでいく。するとやがてそれが横に流れていくだろう。

☆逆に図3で発展部分の領域に到達した生徒は、横の軸だけで、縦の軸の力を持っていない。それでも偏差値72は72である。

☆実は、麻布に入る生徒は、極端な話、図4のようになっている。

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☆これは筑駒も同じ。開成は図3のようなエリアを完璧にしていれば入れるのだが、筑駒は図4の領域の力が充実しいる生徒が入る。開成だって、合格している生徒の中には、当然図4の生徒もいる。しかし、図3でも入るということを強調しているだけである。

☆いずれにしても、模擬試験では図3と図4の違いは分からないのである。小学校6年生になって、図2の場合、図1になるにはどうしたらよいのか模擬試験もテキストもないから、図3のように横に力を伸ばしていこうとしてしまう。そして、中学に入ってから上の推進力を伸ばそうと。

☆しかし、現状では、慶応以外は、実は東大でさえも、図3の力で入ってしまう。ところが海外の大学は、図4でなければならない。2018年大学入試改革の本意はここにあるのだが、まだまだ世間は気づいていない。

☆子どもの才能は、図4のように果てしなく広がっていくのに、それをいつの間にか図3の領域に閉じ込めてしまっているからである。

☆偏差値に負けないというのは、自らを図3の領域に閉じ込めずに、図4の広がりに目を向けようということだ。 まして図2に閉じ込めて抑圧するようなことはしてはいけない。実際には、世間はそうしているよ!注意されたし。

☆先ほど、縦軸に上昇する力をつけるテキストや模擬試験はないといったが、麻布の過去問や最近増えつつある「思考力テスト」は好材料である。適性検査は記述力が必要でも図3の領域にすぎないから、縦軸の推進力は鍛えられないので、要注意。

☆麻布に行くのなら、偏差値が低くても、縦軸の推進力があるかどうか確認し、麻布の併願校を麻布のような思考力問題を出題する学校を選択すると、2018年以降の道は格段に変わる。

☆開成に行くのなら、筑駒の国語をじっくり思考し、縦軸の推進力もつけておくことである。開成自体が、今年から海外大学進路にも目を向けるようになっている時代である。高偏差値でも、図3のような力をつけていたのでは、偏差値に負けたということになるのだから。子どもの才能をなんだと思っているのか!実は現行の学習指導要領がそうなっている。

☆中学受験で、学習指導要領準拠のテキストを使っているところがあるとしたら、そうは思っていなくても、偏差値至上主義に陥っているのである。

☆公立学校で起こっている学力格差の問題は、学習指導要領のプランが必然的にそうしているのであるが、世の社会学者は富裕層云々と話をすり替えている。分析する対象が違っているのであるが、彼らもまた学習指導要領の枠組みの優等生だからしかたがない。高偏差値でも偏差値に見事に屈しているのだ。

☆しかし、文科省も教育委員会もそのことに気付き始め、学習指導要領を逸脱した発展的領域をマニュアル化し、奨励しはじめた。教育学者の話を鵜呑みにしていたら、とんでもないことになる。現実は機を見るに敏である。目立たないところで変わっている。その情報をキャッチしたものが優位に立つ。

☆それでは困る。だから、本ブログでは、一笑に付されようとも、そういうところを発信しているのだ。

☆いずれにしても、自分で判断して選択できる真正の思考力こそ身につけなければならない時代なのである。

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