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2015中学受験生のために【070】女子校アンサンブル 伝統校の良質教育の意味(2)

グローバル教育で人気の実践女子の校長の話は、際立って迫力があり、明治近代社会の中でいかに女性が生き抜くか、創設者下田歌子の理念を現代化していると語り尽くした。

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他校に比べ、グローバル化の波をしっかり認識し、社会に翻弄されない実践女子の教育を高らかに謳った。内向きの若者が多くなっていると言われるが、我が校の生徒の積極的な留学へのチャレンジ精神をみていると、本当にそうであるのかと疑いたくなると強気の姿勢。こんなタフな交渉術をもっている校長尾は、受験生の保護者には魅力的だろう。

しかし、この実践女子の理念の現代化も、恵泉や香蘭と比べ、結局は新しくはないと感じてしまう。それは自ら伝統校と称して誇りを持っている学校が集まっているから、当然ではないかといわれるだろう。

いやたしかにそうだ。ただ、私が不思議に思うのは、グローバル教育を行っているにもかかわらず、伝統的な雰囲気を濃厚に感じるのである。

プロテスタントの学校は、そのルーツからして、国際教育を行っている。渋沢栄一がコーディネートして創設された東京女学館にしても国際教育先進校だ。

6ヵ年のキャリア教育のみならず、大学に入ってからも社会に出てからも、面倒をみていくのであるという新しいキャリア教育を実践する覚悟も、アンサンブル校はみな共通している。

25年後、今の仕事はほとんどなくなっている。そのような大激変の中でも、たくましくやさしく生き抜いていけるように生徒の教育に責任をもっているというのである。

グローバル教育、デューク大学のキャシー・デビッドソン氏のワークシフトの予測を受けた新しい教育という点で、これだけ新しい試みを行っているにもかかわらず、不易流行ではなく、不易不易を感じてしまうのはなぜか。

それは、安田教育研究所の安田代表のスピーチを聞いて合点がいった。安田先生は、アンサンブルの基調講演の位置づけだから、当然、アンサンブル校のフレームを前提に話される。安田先生ご自身の考えではなく、アンサンブル校の枠組みを映し出す役目を担っている。

最後の部分しか聞けなかったが、なるほどと思ったのは、20世紀資本主義の枠組みを、アンサンブル女子校は前提にしていたのである。ワークシフトの話を情報収集していながら、その背景にある産業構造の変化を捉え損なっているのである。

ワークシフトの背景には、いわゆる第一次産業、第二次産業どころか、第三次産業も危機に瀕するという時代文脈が横たわっている。クリエイティブクラスが第四次産業として新たに勃興しているからだ。

それなのに、第一次産業、第二次産業は衰退し、第三次産業が残るから、そこでいかにたくましくやさしくサバイブできるかを新しい教育のゴールにしている。

東京女学館の校長も、インクルーシブリーダーシップという新しい概念を持ち出すが、そもそもその概念は、産業構造の転換の中で生まれてきたこキーワードで、20世紀型産業構造を前提にそのリーダーシップを発揮しようとすると、21世紀型産業のイノベーターではなく、まったく逆説的だが、20世紀型産業構造を強化する側に立ってしまう。

経済社会は、必ずしもお金社会ではない。極端なファイナンシャルな市場はたしかにそうであるが、すべてがそういう市場ではない。経済社会は生活社会そのもの。未来の生活社会を支える新しい経済社会を前提にすることのない、時代の表層的な変化のみをとらえて、グローバル教育や新しいキャリア教育を実践しても、アンサンブル女子校の6年間の教育は楽しいだろうが、社会に出てからは郷愁に過ぎなくなる。

それを原点に帰る青春時代の思い出があるとするならば、未来の生徒の生活に責任をもつと言えるかもしれない。しかし、それはイリュージョンに過ぎないのではないか。

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