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2015中学受験生のために【079】千葉国際倒産の意味

☆産経ニュース2014.5.12 17:31 によると、

千葉県君津市の私立千葉国際高校などを運営する学校法人千葉国際(大谷晋示理事長)は12日、民事再生法の適用を東京地裁に7日付で申し立てたと発表した。同法人は「学校運営の継続を前提とした手続きで、授業はこれまで通り継続する」としている。

☆今春時点での生徒数は高校が436人、中学が136人であるから、生徒からの収入は5億円弱はあるだろう。負債総額約30億円がなぜ支払えないのだろうと思うかもしれない。

☆私たちは、学校経営を企業経営と同じだと考えてはいけないところが、ここのところ。企業だと、借金が支払えるように利益を考える。その利益の推計が借金を返せるだろうという予測可能性の確信があれば、銀行はお金を貸すだろう。

☆だから、そのために人件費を抑え、経費を抑え、企業経営者は、イノベーションで当たるまで苦心惨憺たる思いなのである。

☆学校だってそうだろうと思うかもしれない。しかし、生徒数は決まっているから、実は借金が増えても、収入は一定なのである。これが企業と決定的に違う。カリキュラムイノベーションをしても、教育の質は上がるが、利益は出ない。

☆だから、寄付が重要になってくるのだが、その前に企業と同じように努力すればよいではないかと思うかもしれない。

☆ところがだ。生徒からの収入の半分以上は、人件費という企業では考えられない状況。どうしてそんなことわかるのか。たとえば、千葉国際の場合、専任教育が50人くらいいるだろう。その年収総額を常識の範囲内で考えても、3億弱。補助金が必要なのはそういうわけだが、ホームページをみて、施設を眺めると、年間光熱費や維持費が相当なものだろう。

☆まして、同記事にはこうある。

平成4年の開校時に施設建設費を借入金で調達した関係で、巨額の長期債務が現在も残り、遅延損害金が発生しているという。・・・・・・千葉国際高は、運動部の活動が盛んでプロ野球やサッカーJリーグの選手なども輩出している。

☆つまり、もうおわかりのように、学校法人は、法人型のNPO的経営構造であるが、そこにかかわるのはゼネンコンやJリーグなどのように経済活性化をねらう企業のネットワークがとぐろをまいているわけだ。

☆この領域を生徒収入でカバーすることはできない。しかし、だからといって授業料を上げればよいかというと、今度は生徒が集まらない。痛し痒し、ジレンマなのである。

☆だから、学校の授業以外の活動は、積み立てて、保護者が支払うようになっているし、施設などについては、理事長の私財とそれを補うステークホルダーからの寄付が重要になってくる。

☆ということは、入学金や授業料は、授業と最小限の教育活動以外には支払われていないと厳しく考えて保護者は学校を選ばなければならない。つまり、授業に魅力を感じないが、部活や模擬国連などのきらびやかな活動に魅力を感じて学校を選ぶ場合は、積極的に寄付を覚悟することである。

☆しかし、ここでよく考えてみよう。今まで授業の質をだれが論じてきただろうか?大学進学実績がよければ、授業の質もそれなりにあるという神話を信じてきたに過ぎない。

☆今の大学受験は、予備校に通って1人で格闘して入れるようなシステムである。授業は暗記中心で一方通行型講義でよかった。

☆だから、学校側もPRするのは、部活しかなかったのである。開成や麻布、武蔵は、部活は盛んだがPRの対象になるような活動はしていない。もっとも、これらの学校は同窓力が強いから、経営手腕はまた別なのであるが、ともあれ、入学金や授業料は、日々の授業に投入されているのである。その授業が暗記しなさいでは困る。暗記するのは生徒である。教師は何もしないでよい。これは契約違反ということにならないのか?

☆20世紀型教育から21世紀型教育にシフトするというのは、授業をめぐる経営手腕ということであり、千葉国際倒産のニュースは、そのパラダイムシフトの訪れの強烈な亀裂の音だったのである。

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