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私立中高の教育の質の見分け方(1) はじめに

☆6月は、小6の中学受験生は、そろそろ志望校のイメージを固める時期。試験ギリギリまで迷うものであるが、併願戦略は、家庭でも本格的に話題になる時期だろう。

☆そこで、学校選択の一つの視点である「教育の質」の見分け方を考えてみたい。

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☆教育の質は、生徒の学びのシステムがどれほど充実しているかにかかっている。しかし、実際には、この学びのシステムはなかなかわからない。

☆学校説明会にいっても、学びの環境は説明される。ここでいう環境とは、施設やカリキュラム、シラバスというルール系のものである。

☆しかし、そのルールが実際に生徒の学びにどのように影響を与え、成長を促しているかはなかなかわらない。

☆授業体験やオープンキャンパスに行っても、本当のところはわからない。何かを感じることができるだけだ。

☆しかし、その感じるということが重要である。学校に訪れて、あるいは最近では学校のサイトがよくできているから、サイトに訪れて、何を感じるかを振り返ってみよう。

☆生徒がアクティブでインタラクティブでクリエイティブに活動しているかどうかは感じ取ることができるはずだ。このAICという3つの言動が行われているところは、明るく活発で知的で感動的で・・・という気持ちが立ちあがる。教育の質は高いのではないかと思いたくなる。

☆しかし、これはたまたまそこにいた生徒がそのような素質を持っているからに過ぎないのかもしれない。

☆そこで、さらに学び方についてどのように語られ、記載されているか探索してみる。もし調べるとかフィールドワークとか体験という「リサーチ」に関するキーワードが多く語られていれば、生徒がアクティブになるシステムが、その学校にあるということになる。

☆逆にそういうシステムがあるというのに、実際に感じるのはアクティブではなく静かで受動的、つまりパッシブであるということになると、そのシステムは特別な時にしか稼働していなくて、広く恒常的にその学校に浸透していないことになる。

☆議論や学び合い、教え合い、協調学習、PBLなどという「ディスカッション」に関連するキーワードが使われている学校は、生徒がインタラクティブになるシステムが、学校にあるということを示唆する。

☆それなのに、実際には、生徒はインタラクティブでなかったとしたら、やはりそのシステムはあまり機能していない。つまり教育の質は高くないということになる。

☆プレゼン、ギャラリー、合唱コンクール、小論文、科学コンクール、模擬国連などなど「パフォーマンス」に関連するキーワードが飛び交っていれば、クリエイティブな生徒が生まれるシステムがあるということ。

☆にもかかわらず、生徒がクリエイティブな発想を持っていると感じない場合は、システムとしてではなく、一部の教師が一部の生徒をケアしているということだと思って間違いがない。

☆AICという一次元が、RDPという二次元にしっかり支えられているという実感がわいたとき、AICを見て感じた気持ちの確からしさは高いということになる。

☆しかしこれだけでは、グローバルな時代は、サバイブできない。自分を奮い立たせる自己肯定感を持つ必要がある。

☆また、国語や英語をメタ言語として使える言語能力や物事を数理的にとらえなおす数学的能力に裏付けられたディスカッションやインタラクティブな言動が鍛えられているということが肝要である。

☆そして、クリエイティビティやパフォーマンスは、舞台裏で緻密に計算された思考が積み重ねられている必要がある。

☆すなわち第3の次元は、第1・2次元が氷山の一角として、感じたり知ったりすることができるのに対し、暗黙知としてその学校のバックヤード文化を構成している次元である。

☆これは第1・2次元が相互に親密に関連していれば、豊かなバックヤード文化があることがおよそ推察できるが、文化祭実行委員、体育祭実行委員、生徒会、同窓会の動きを追っていくと確からしさがみえてくるときが多い。場合によっては、入試問題に第3の次元が反映している場合がある。

☆部活は残念ながら、学校の文化というよりは、生徒個人の特殊な才能に拠ることが多く、見えるようで見えにくいということもある。部活で活躍しているメンバーが、学習や文化祭、体育祭、生徒会活動でもがんばっているという様子が見えたとき、その部活は学校文化にしっかり立っているといえる。そこの見極めが肝心で、優勝したかどうかだけで、その学校の教育の質を判断するのは避けたほうがよいだろう。

☆次回からは、いくつかの学校の教育の質を、上記のイメージに描いた3つの次元でみてみよう。3つの次元が充実ししていれば、教育の質の高さの確からしさも信頼性を増すはずである。

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