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第2回21会カンファレンスin富士見丘(3)

☆SGHの取り組みも連携やダブルディグリーの取り組みも、外部環境との接続によって、授業やカリキュラムが影響を受けるタイプの学校改革。それとは逆に外部環境の情報をリサーチしながら、内部から独自の改革を行うタイプもある。

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☆前者はネットワーク型改革で、後者はノットワーク型改革。前者は連携する相手を先に決める方法。外延的なビジネスマーケティング手法。後者は、接続点の内包的構築を先に行い、そこに外部が連携を求めてやってくる手法。どちらもありなのだが、それは学内の状況や嗜好性、サブカルチャー的な要因によって違うだろう。

☆工学院の平方校長は、後者の学校改革を選択、授業改革=学校改革という教育の質を真正面から見据える手法をとった。これは非常に強力なリーダーシップが必要で、集まった若手教員たちや協力団体の中には、カリスマ校長の出現は20世紀型ではないかと反応したメンバーもいた。

☆たいへんおもしろい反応で、多くの若手はやはり理念よりも方法論を重視するということだろう。ところが、20世紀型か21世紀型かの本質的違いは、方法論の違いだけではなく、≪私学の系譜≫を保守するかどうかの違いもあるのである。

☆つまり、近代の光と影のうち、20世紀型教育は影の部分が色濃く出てしまった。19世紀末に生まれた私立学校は、近代の光の部分を普遍化しようと理念共同体として動いてきたが、幾度も疎外されてきた。しかし、21世紀はそのような近代の光の部分、つまり自由・平等・友愛の理念が大切にされる時代でもある。

☆この歴史観は、ポストモダンという理念や大きな物語を無化して価値相対主義を推し進めてきた企業人やその時代に生まれた若き教師にはわかりにくいところでもあろう。

☆今回、21会の中における世代間の対話の必要性、価値相対主義を前提としない連携は学校と企業でいかにしたら可能なのかの対話の必要性が明快になったのは、会員校対象のカンファレンスによって発見できた新たな課題である。課題が発見できるコミュニティこそ21世紀型質感である。

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☆そして、この≪私学の系譜≫と授業改革、そして外部環境との接続の統合を果たしたケースメソッドとして、三田国際学園の学園長大橋先生がプレゼンをした。なぜ三田国際学園が誕生できるのかは、工学院のようにカリスマの存在と授業改革なのであるが、さらにその内包的なノットワーキングの完成によって可能になった。

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☆つまり、「問い→情報収集→ディスカッション→(新たな問い)→解決→レポート→プレゼンテーション」という思考のサイクルを、すべての授業に埋め込み、すべての教職員会議に埋め込み、接続結び目Knotの内包的な構造を、共構造として貫徹したのである。

☆最初に問いを立てることは21世紀型ではないかという前衛的な学びもあるが、生まれる前に人間はすでに与えられている(所与)問題で囲まれている。それを開放系でまず受け入れ、対話やリサーチの中で新たな問いを立てるのである。与えられた問いはテーマに過ぎない。それを解くには、自分で新たな問いを立てる必要がある。

☆そして、それはレポートなどのドキュメンテーションにし、プレゼンするという一連の流れこそ21世紀型である。

☆この「問い→情報収集→ディスカッション→(新たな問い)→解決→レポート→プレゼンテーション」というKnotの内包構造の浸透が、スーパーイングリッシュコースやスーパーサイエンスコースを可能にする。

☆そしてなんといってもこのKnotworkingこそコンピューターサイエンスが求める自然言語と人工言語を結合する共通コードであるし、フランスのバカロレアやドイツのアビツーアなどに共通するクライテリアである。北欧は、テストというものをなくし、このレポートとプレゼンテーションとそこにいたる学びの経験値で子どもたちの能力を評価するようになっている。

☆世界標準のノットワーキングの内包構造こそ肝なのであろう。

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