グローバル教育の流れ勢い増す 光も影も
☆今、日本でも、グローバル教育は熱に浮かされたように広まっている。中学受験業界でも、つい昨年まで、大学合格実績中心主義だったのが、グローバル教育の話をしない受験関係者はいないし、合同説明会で学校も口をそろえてグローバル教育を語る。
☆開成でさえもハーバード大学に2年間連続進学者を輩出し、グローバル路線に道を拓いている。
☆この流れが、もしもグローバル市民を育成しようというな流れであれば、歓迎だが、どうもそうでない部分もある。グローバル市民育成のための教育の場合、人権や格差の問題を真摯に受けとめ、解決の道を探る科学的方法論や新しい政治経済論を語る知性を養える。
☆しかし、化石燃料奪取あるいは原発促進資本主義のグローバル戦略を推進する優勝劣敗型のグローバル教育というのも、一方であり得る。
☆わたしは、もちろん前者のグローバル教育を応援しているのであるが、ことは受験業界でのお話しではない。
☆日本のこの状況をみて、欧米、オセアニア、カナダ、ニュージーランドなどすでにグローバル教育を推進している国々が、競って日本人留学生争奪戦に突入した。特にオーストラリアは、グローバル教育は3大産業の1つだそうだ。
☆しかしながら、留学ビジネスは、ケアフルなビジネスで、機械的に進めることができないから、大儲けすることはなかなか難しい。それに、海外留学の拡大は、日本への留学も促進するという相乗効果も必ず生む。
☆海外留学が盛んな中高には、海外からの留学生も多数往来しているのを見ればそれはすぐに了解できる。だから、むしろリーズナブルな市場経済が広がる可能性がある。もしかしたら新しい資本主義はここから生まれるかもしれない。
☆ところが一方で、仏アルストムが米GEと資本提携で決着。ドイツと日本はアルストムと組めなかったわけだが、これは欧米の間で巻き起こっている世界的な重電業界の再編劇の一端である。
☆このエネルギー部門のグローバルな動きは、日本のエネルギー政策にも影響を及ぼす。そしてこの膨大な産業は、日本のグローバル教育にも大きな影響を与えるのは火を見るより明らかだ。どちらかというと、この部門は国家的な政治経済プロジェクトになるから、金融資本ともリンクする話で、奪取資本主義の動きを促進する可能性がある。
☆このように、グローバル教育の光と影の両方が、世界からすでに入り込んでいる。明治の開国のときと同じ状況だ。勝海舟のように機を見るに敏で生きるか、福沢諭吉のようにやせ我慢を貫いて生きるか、内村鑑三のように非戦論に転向する正義で生きるか、吉田松陰のように新しい社会を創る人材を育成する魂の人として生きるか・・・。
☆すべてを統合した生き方をするしかないだろうが、それはどんな人間の像を結ぶのだろうか。
☆グローバリゼーションの影は、すでに私たちの国にも忍び寄り、ヘイトスピーチをベースにした愛国的運動も広がっているというニュースも流れている。反知性ではなく、有識者や主婦層までもが参加する新しい動きのようだ。
☆強烈なグローバリゼーションの光と影のケイオスが、いよいよ身近な子どもたちの生活の場である家庭と学校に襲いかかってくる。
☆スクールノアをいよいよ探さなければならぬ2015年となるだろう。
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