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塾や英会話学校、大学に商機???

☆日本経済新聞2014/6/14 0:41 によると、

英会話学校や予備校など教育大手が大学向けビジネスに力を入れる。ベルリッツ・ジャパン(東京・港)は2016年末までに英語講師の派遣を現在の2倍にあたる200校に増やす。河合塾グループは大学の授業を改善するコンサルティング事業を本格的に始める。大学の学生獲得競争が激しくなるなか、分かりやすい授業のノウハウや学生育成プログラムを提供して新たな市場を開拓する。

☆ベルリッツは、中高も含めて約100校に英語の講師を派遣している。これは、その高校や大学にとって、対症療法で本当はメリットがない。その派遣講師が、中高の専任や大学の教員になれば別だが、たいていは非常勤。

☆すると、スキルレベルのトレーニングはそれでよいが、中高や大学の教育や研究のソフトパワーには成熟しない。

☆また派遣される講師も、安い賃金で雇用されるから、労働市場を豊かにすることはない。労働の価値を低下させる流れ。

☆ベルリッツは同紙でこう語っている。「例えば美術分野など幅広い分野の英語の講師を派遣できる」と。

☆つまり、大学が、ビジネスのグローバル化や専門化に対応するために必要なのだと。これも実際には違う。たしかに文化庁が国際日本芸術祭のような企画を毎月のように国内外で行っている。

☆この企画は、メディアや学芸員、もちろんアーティストとコラボするものだが、そのときに役に立つのは、たしかに英語だが、メディア、学芸員、とくにアーティストをつなぐコミュニケーション能力が必要で、現状の大学で学ぶ知識はほとんど役に立たないから、それが英語で表現できるようになったところで、役に立たないことは火を見るより明らかである。

☆それより、大学の教員が英語の資料やデータを使うこと、海外のアーティストや大学生とコラボする機会をつくること、できれば海外大学1年の留学をカリキュラムに位置づけるなど、カリキュラムを脱構築することが必要である。

☆ベルリッツは、大学の英語講座のカリキュラム作成も手がけるというが、そんなノウハウは役に立たないだろう。それでも買いたいという大学あるならば、それでよいが、生徒獲得はうまくいかないだろう。

☆「河合塾は大学向けに学生の能力を測定するテストの売り込みに力を入れている。河合塾グループのKJホールディングス(東京・豊島)もコンサル業務を本格化する。大学生の行動特性や課題解決力などを測るテスト「PROG」を実施。その結果を踏まえ授業プランの改善などを提案していく」ということのようだ。

☆おそらく、東大の中原淳准教授や京大の溝上慎一准教授の「大学から企業へのトランジション」研究の成果あるいはそれに類する研究をしているチームとコラボしているだろうから、正しい方法だと思う。

☆パッケージを持ち込むのではなく、教員側と相談しながら、あくまで教員主導で改善・改革をやっていくということだろう。

☆これは悪貨は良貨を駆逐する20世紀型市場主義ではなく、良貨は悪貨を駆逐する21世紀型市場の発想。質の競争の時代を創るだろう。

☆20世紀型コンサルティングと21世紀型コンサルティングは見極めたほうがよい。学校を選択する側もどのようなコンサルティングカンパニーとコラボしているのか判断データとして認識しておいた方がよいだろう。

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