「学校基本調査」不登校小中6年ぶり増 アベノミクスとシンクロか?
☆毎日新聞 8月7日(木)20時31分配信 によると、
2013年度に全国で不登校(年間30日以上欠席)だった小中学生は約12万人で、前年度より約7000人増えたことが、文部科学省が7日公表した「学校基本調査(速報値)」で分かった。12年度まで5年連続で減少していたが6年ぶりに増加に転じ、10年度の水準に戻った。
☆同紙の不登校人数推移表をみると、2004年から2007年までは増加傾向。2007年から2012年までは減少傾向。2013年に一気に2010年レベルに戻るという結果になった。
☆2002年に悪名高き本格的「ゆとり学習指導要領」の実施。賛否は分かれ、結局20011年から「脱ゆとり学習指導要領」が実施されることとなった。
☆文科省は、
今回、不登校の児童生徒が増えたことについて同省は「今回の調査は理由を聞いていない。秋に公表予定の問題行動調査では理由を調べているので、その結果を分析しないと分からない」としている。
☆とデータ主義に陥っているのも立場上しかたがないが、秋までの間に日々不登校が増える事態をどうするのだろう。
☆「不登校」が増加した理由を、「学習指導要領」に求めるつもりは毛頭ないが、この教育行政をめぐる、多様な大人の思惑が、不登校増加の原因であることは間違いないだろう。
☆「ゆとり学習指導要領」を批判しながら、進学指導重点校や学力向上進学重点校などの政策が自治体によって行われた。
☆公立中高一貫校が急激に登場した。
☆そこには、明白なまでに公立学校の中で学力格差を生み出した。この格差は、ゆとり学習指導要領とそれを補強した学習指導の差なのであるから、一般の公立の生徒にも「脱ゆとり学習指導要領」を行い、学力格差を是正しようという思惑も働いた。
☆PISAの結果が悪かったから、世界標準に遅れるな!という思惑も、脱ゆとりの背景にはある。
☆私は「ゆとり学習指導要領」のほうが「脱ゆとり学習指導要領」より不登校が減少すると言っているのではない。ただ、前者のほうが、本来的には、子どもたちに対する「抑圧」を減じようという動きだったのではないかと思うのである。もちろん実際には達成されなかった。総合学習が挫折したのでは、論より証拠だろう。
☆「脱ゆとり」の恐ろしいところは、今や、アベノミクスとシンクロし、追いつけ追い越せという成長幻想という抑圧的雰囲気を露骨に拡大していることだ。「脱ゆとり学習指導要領」の本性は、「抑圧学習指導要領」なのではあるまいか。
☆何度も言うが、「ゆとり」だからいいのではない。おそらく「ゆとり」時代も、現場ではいじめや体罰は隠されていただけで、実際にはあったのだろう。それが「脱ゆとり」でブレーキが利かなくなって、事件として露呈したのだろう。
☆グローバル教育は、タフな人間性を育てるのは眼目であるが、それと抑圧教育は全く別である。
☆抑圧は、どんなに「愛」や「正義」のためだと言っても、人間否定の言動である。それに耐えられない子どもたちの悲鳴が、不登校やいじめ、さまざまな事件に転移しているという理由づけは、教育心理学者の十八番だろう。
☆なぜ、動かないのだろうか?
☆抑圧中心主義(教師中心主義とか生徒中心主義)から学習者中心主義(教師も生徒もともに学習者である)へシフトすることこそ、学習指導要領の改訂の要であるはずだが、そこの議論は皆無である。
☆願わくば、2018年以降に新たになるだろう「グローバル学習指導要領」や「大学入試改革」において、「脱抑圧学習」に転換して欲しいものである。
☆今日9日、69回目の長崎原爆の日を迎えるにあたり、戦争を支えてしまった究極の「抑圧教育」に流されないように、私自身も改めて覚悟を決めたい。
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