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かえつ有明のイノベーション(3)

☆本日、日本科学未来会館で、JTB主催の「第6回学校ソリューションセミナー」が開催された。全体の趣旨はグローバール教育のベクトルにマッチングするJTBのソリューションの販促セミナーであるが、コンテンツの質を市場に問うというあるべきセミナーである。そういう意味では成功していたと思う。

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(名画壁紙美術館からキャプチャー)

☆もっとも、第一部の水野正人さんの講演で、私の容量がパンクして、二部は遠慮してしまった。せっかく声をかけてくださったJTBのDさん、ごめんなさい。でも素敵な、そしてポストグローバル教育の整理ができました。ありがとうございます。

☆さて、水野正人さんといえば、2020年オリンピック・パラリンピックの立役者で、そのプレゼン能力の才能は有名で、会場に参加していた先生方も魅了されていた。

☆このプレゼンはたしかに素晴らしかったし、オリンピック招致のためのプレゼンの戦術はこの通りだったのだろうと納得した。

☆要は、日本人は以前から言われているように、阿吽で以心伝心。文化人類学者は、これをハイコンテクストと言う。これに対し、欧米の文化はすべて言語化しなくては通じないローコンテクストだと。

☆しかし、ハイコンテクストの日本人には、ローコンテクスストの言語化は能書きで面倒くさいとなる。

☆ローコンテクストの欧米人にとっては、日本人のコミュニケーションは情報隠ぺい的で信用できないとなる。

☆オリンピック招致員会は、税金を使うし、企業からの寄付金を集めなくてはならないわけだから、日本人を説得するプレゼンをしなければならない。一方招致に成功するにはオリンピックの委員を説得しなければならない。

☆そのために、ローコンテクストを軽くしていった。なぜ軽くできるのか?それは全球人間の共通感覚、感性はハイコンテクストで表現するという言語化の軽量化をしたのである。

☆つまり、ハイコンテクスト文化とローコンテクスト文化が理解し合うには、英語はもちろん、重要であるが、共通感覚や感性を研ぎ澄ますことなのである。感性教育をグローバル教育に結びつけるポストグローバル教育の予感が水野正人さんのアクションにはあるのである。

☆この読み解きの方法は、ミレーに影響を受けたゴッホの「一足の靴」(写真)をめぐるデリダやハイデガーの思想とシンクロしている。靴という作品コンテクストそのもの=エルゴンにのみこだわるのではなく、その外部のイマジネーションやアクティビティや感情などにはみ出ていくパレルゴンにも目配りするデリダ。

☆ハイデガーは、作者―作品、作品―背景、本質-根源などの複雑系を考えていた。彼らにこの着想を与えた近代絵画は、かえつ有明でどのような影響を子どもたちに与えるのだろうか。

☆東京オリンピック・パラリンピック招致の表現と近代絵画の表現の読み解きの共通点。そこには、ハイコンテクストとローコンテクストをあたかもルビンの壺のように、あるいはデュシャンの泉のようにメタコンテクストの思考様式があるわけだ。

☆つまり、ハイコンテクストはハイコンテクストであって、それ以上でもそれ以下でもないという発想、ローコンテクストはローコンテクストであって、それ以上でもそれ以下でもないという発想、作品は作品であって、それ以上でもそれ以下でもないという発想。そんな要素還元主義ではなく、かといって両方のバランスをとる関係総体主義でもなく、メタ関係主義。これがポストグローバル教育のためのパラダイム。この段階でIBを超えるなあ!

☆かえつ有明は、このパラダイムを、感性という美学を活用して果たすカリキュラムイノベーションを創発しているのだろう。

☆感性なきコミュニケーションは、どんなに英語ができても、ダイバーシティの中で理解・信頼・共感を得られないのである。システム思考とデザイン思考をつなぐキーはありのままの「感性」、つまり美学である。

P.S.このハイデガーの「芸術作品の根源」の発想を教えてくれた方は、大妻の理事長花村邦昭先生である。大妻の校訓「恥を知れ」のハイデガー的解釈(ヘルメノイティーク)をごいっしょしたセミナーで教えて頂いた。

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