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かえつ有明のイノベーション(2)

☆前回、かえつ有明は、論理学、倫理学に加え美学の領域でイノベーションを創発しようとしていると述べた。その1つの発露が、今週土曜日からかえつ有明中・高等学校内「特設スクールミュージアム」で開催される「オルセー リマスターアート展」である。

2014 8/23(土)~8/31(日)10:00(開場時間)~17:30(最終入場)
会 場:かえつ有明中・高等学校内「特設スクールミュージアム」
入場料:大人500円(税込)/高校生以下 無料

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☆学校内に美術館を持ち込むというのでも十分にイノベーションであるが、それがオルセーのリマスターアートというのが格別な意味を持っている。

☆というのもここにはコンテンポラリーアートの出発点の1つヴァルター・ベンヤミンの夢が実現しているからである。このリマスターアートは、ベンヤミンの「複製技術時代の芸術作品」そのものである。

☆優れたITの複製技術が生み出したリマスターアート。複製技術とは、学校における「大きな物語」=一回性という名の権威=アウラにダメージを与える技術。

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(「ARTでつながる旅時間」ブログからキャプチャー)

☆もう10年以上も前にオルセー美術館に訪れたとき、衝撃を受けた絵が上記。モネの「アパルトマンの一隅」である。

☆オルセーに行く前に、ミラノに立ち寄り、ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」を見ていたから、なおさらだったのだと思う。

☆また、ルネサンスの人間復興の一回性やオリジナル性と真逆のモネの水連の発想。そこにはフラクタル、復元性、複製という響きがあるが、ミラノの前に立ち寄ったロンドンのテートモダンでそのモネに出遭っていたから、ルネサンスと近代の共通性と違いが気になっていた。

☆そんなとき、モネの「アパルトマンの一隅」に遭遇。ショックだった。

☆ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」は、常に恐怖に留まり闘っている最中の気高き人間がいる。世界をコントロールする人間がそこにはいる。

☆ところが、モネのこの絵は、恐怖をくぐりぬけ未来の光をもうすぐ浴びるまだ幼き少年の存在の重さが描かれている。

☆恐怖と神と闘うために筆を剣としているヒーローであるダ・ヴィンチとは違い、未来からやってきた光に少年を導くカギとしての筆をもっているモネの姿が逆照射されていたのである。

☆それは、いったん、ファシズムによって絶たれるわけである。一市民が世界を創る胎動はファシストには恐れ以外の何物でもない。近代の芸術を一掃し、反動的権力プロパガンダ芸術が一世を風靡するかのようだった。

☆ウィーン19世紀末もバウハウスもアールヌーボもアバンギャルドも懐柔され締め付けられ雲散霧消の道をたどるかのような気配だったが、ベンヤミンの夢は消えなかった。

☆ファシズムを生み出した日本でも、戦後≪私学の系譜≫が一市民が世界を創るための教育基本法を創造し、大量のモネの作品をコルビジェの茶室モデルの美術館にやっと収蔵されるようになった。松方コレクションはもちろん≪私学の系譜≫である。

☆ベンヤミンの夢はIT産業によってますます広がり、≪私学の系譜≫であるかえつ有明を通じて今日本の教育に浸透しようとしている。

☆ありのままの自分になろうとしている少年は、アパルトマンの一隅から世界の窓に導かれる。そんなカリキュラムイノベーションがかえつ有明で創発されているのであろう。

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