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第62回全国私学教育研究集会東京大会 新時代を画す(2)

☆さて東京大会初日の記念講演は、東京大学大学院教育学研究科教授の三宅なほみ先生。「新しい学び~21世紀型スキルをひとりひとりに~」だった。

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☆講演が始まるや、タイトルは委員の方々がつくったもので、少しカタイのでやわらかくいうと「学びとは何か」ということですからと語った。あれっ、なんでこんなことあえて言うのかなあと思い、聴いていると、パワーポイントのすべてのページにCoREFという組織のロゴがあるのに気づいた。

☆そして三宅先生自身が、CoREFについて説明しだした。Consortium for Renovating Education of the Futureの略で、

・21世紀を牽引する人材を育てるために

・市町、県の教育委員会と連携して

・子どもたちが「自分の頭で主体的に考えられる」授業づくりを実践的に研究しています

☆とスライドで説明した。そしてその授業づくりの方法が研究費をもらいながら埼玉県と連携して行っている「知識構成型ジグソー法」であり、その実践例を中心に講演された。

☆つまり、記念講演の前に、吉田先生や中川先生の話が、公立と私立の法制度の違い、政策が憲法の精神に即してみると公私に対して平等に行っていない可能性があることを明快に語ったために、その公立のお話しなんです。しかも研究費=つまり税金をいただいて公立向けのをやっているのです。今日はその話をしますとは、なかなか言えなかったということなのではあるまいか。

☆そりゃあそうだよなあと思いつつ、私立公立に関係なく、できるだけ「学びの方法」について語っている三宅先生の俊敏な才に敬服した。

☆さて、その「知識構成型ジグソー法」であるが、Activeで、Interactiveで、Constructiveのコンセプトでできている。ここでも私立と微妙な差異がある。というのは、Activeで、Dialogueベースで、Creativeなのが私学型の21世紀スキルだからだ。

☆この違いがでてしまうのは、CoREFの名称からきちんと流れている。RenovatingであってInnovatingではないのである。どちらも革新という意味なのだが、前者は修正的な意味が含まれるし、後者は新機軸をつくるという意味が含まれる。

☆もともとジグソー法メソッドというのは1978年にエリオット・アロンソンが唱えたものである。2011年に“The Jigsaw Method, 3rd Edition”が出ているからいずれ読んでみたい。

☆アロンソンは、スタンフォードで心理学のPhDを取得し、ハーバード大学やミネソタ大学で教えている。UCSC(UCサンタクルーズ)でも教えているから、UCSD(UCサンディエゴ)でPhDを修了している三宅先生もアロンソンの影響を直接間接受けているはずである。

☆アロンソンのジグソー法開発時代はスプートニックショックから立ちあがるために科学に力をいれて、世界戦略を広げていたアメリカがようやくベトナム戦争を終結させて新たな展開を繰り広げている時代だった。

☆新たな時代というより、戦後経済をアメリカが支えられなくなっていた。それで、ニクソンショックなるものが起こり、ここから現在の変動制為替レートが生まれる。

☆日本は高度経済成長期からオイルショックを乗り越える時代である。つまり、日本は1989年後にやってくる10年前に、すでにアメリカは、なんとか世界戦略の方法を軍事力と経済力から知の力にパワーシフトしたかったわけだ。

☆当然、知識を憶える古典的教育から創造性にシフトしなければ、つまりソフトパワー重視の教育をしなければならないわけだから、その新機軸にマッチングする方法としてアロンソンのジグソー法は、いろいろな教育関係者にアレンジされていった。

☆しかも、アロンソンは、もともとマズローの影響を受けているから、自己実現の道をジグソー法という多様で多角的な対話を通して、つまり弁証法=Dialogueという意味での対話手法を可視化を通して示したわけだ。

☆1989年以降、日本もこのような世界経済激動期に直面したが、20年の経済の空白が、知の力であるソフトパワー開発に大きく動けなった。しかし、ここにきてそれをやろうという動きになった。

☆しかし、実際には新機軸を出す教育政策はでてこないので、新機軸ではなく、20世紀型の教育システムの精度を上げる戦略にでているのが三宅先生率いる日本の21世紀型スキルをけん引している学者の方々なのである。反転授業はその典型。

☆だから、本来アロンソンはマズローの五段階欲求説でいう承認欲求や愛されることを欲求する段階を超えて新機軸を打ち出す自己実現の段階に突入するブレイクスルーとしてジグソー法を開発したのであるが、三宅先生はあくまで「型」であって、使い方はいろいろあってよいとし、20世紀型教育の精度や効率をあげるなかで、インタラクティブな意味での対話を授業の中に埋め込んだ。

☆だから、教科書の知識をうまく活用して、自分なりに組み立て自分の考えを編集していくエキスパート→ジグソー法→クロストーク→レポートという一連の「知識構成型ジグソー法」を開発したのである。

☆このプロセス自体は21世紀型スキルで、カナダでもオーストラリアでもシンガポールでもそれこそアメリカでも活用されている。

☆しかし、renovation―innovation、interactive―dialague、constructive―creativeの違いはある。なぜその違いがでるかというと、日本は文科省が公立学校を強くコントロールしているが、カナダなどは自治体がマネージメントするから、かなり市民感覚でできるのである。

☆つまり、このグローバル市民感覚なのが日本の私立学校なのである。この制度的違いは、吉田先生、中川先生が語られた通りなのである。

☆同じ民主国家でも、日本は国家教育であり、カナダなどの21世紀型スキル推進の国は市民教育という違いがある。

☆この違いを考慮して、三宅先生のアイデアを聴くと、私立型の「知の創造型ジグソー法」のアイデアが生まれてくる。

☆今回三宅先生の講演は、私学は、21世紀型スキルを「知の創造型ジグソー法」という方法で活用できることを気づかせてくれた。同時に同じ21世紀型スキルでも、公立と私立の違いがあることが明快になった。

☆かくして新時代を画す研修となったのである。

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