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ノーベル経済学賞ジャン・ティロール氏に。その意味は大きい。

☆ジャン・ティロール氏がノーベル経済学賞を受賞したことについてfacebookにつぶやいていたら、長文になった(今世紀になってノーベル経済学賞の受賞国はほとんどが米国だったというのもあって興奮か。もっともティロール氏はMITでPhDを取得しているから、どこの国かは問題ではないが)ので、本ブログにも転載しておこう。

☆ノーベル経済学賞にジャン・ティロール氏。ゲーム理論とか分析手法がアリストテレス時代と違うだけで、自由と規制の欧州普遍的問題を21世紀いにはいったときの金融危機という未来の資産の液状化をどのようにマネジメントするのかに応用して、その実績が評価されたようだ。

☆市場の自由(企業行動)と規制の多次元パラドクスを分析。その多次元パラドクスを解決するために多次元クライテリアを提言しているのだろう。利子や投資を、基本的には交換の正義だけで考えるリバタリアンや功利主義と違い、配分の正義をどのようにからめるか?配分の正義を持ち出すと、クライテリアが非常に問題になる。

☆教育における正義は交換の正義ではなく、配分の正義。だから評価のクライテリアが重要になる。それが日本版新自由主義で、教育の正義を交換の正義のみの適用で終始しようとするので、学校や学級の液状化現象は洪水を生み出している。

☆ しかし、ティロール氏の考えは、EU経済を救う方法としては役に立つが、日本や米国にはどうなのだろう。米国はそうはいってもティロール氏の依拠する啓蒙思想はロールズに代表されるように多様な価値の1つして存続しているが、日本の教育は明治時代に天賦人権説を捨てると宣言されたし、法典論争でも日本版リバタリアニズムや日本版功利主義がベースだし、自民党の日本国憲法改正草案、つまりアベノミクスは目先の利益主義=日本版リバタリアニズムで、明快に天賦人権説を憲法前文から消去するとある。

☆この問題は、この間麻布の教養総合のディスカッション授業に90分だけお邪魔して行った試みにも通じる。リキッド化した社会現象のメタファ分析を行い、それを通して麻布の生徒に自分たちの分析方法論を即興で作ってもらったが、なるほど麻布の生徒は、江原素六-南原繁―氷上前校長のキリスト教的啓蒙思想を無意識のうちに継承していた。

☆つまり、ジャン・ティロール氏の発想と共振している生徒のみなさんだった。テーマは投資。投機やコストパフォーマンスという短期目線ではなく、長期的アセットマネジメントが、村本先生のコンセプトテーマなのだろうが、ティロール氏の登場で、村本先生がアベノミクスとアベデュケーションに立ち寄った意義が、明瞭になった。そして、まったく講義も教えることもしなかった私の参画もそうズレてはいなかったと少し安心した。

☆フランスからの帰国生が来春一橋大学を卒業して金融業界に就職する学生がいるが、米国からの帰国生は中央大学法学部に進んで、同じように金融業界に進む。その当時の帰国生入試対策ワークショップは、半年間、ひたすらアダム・スミスとルソーをサンデル座標でどのように読んでいくかばかり議論していた。

☆ジャック・アタリ氏の著書もその議論の媒介項として使った。フランス語と英訳と日本語訳を用いた。フランスからの帰国生は原書。米国からの帰国生は、英訳版。私は日本語訳^^);。

☆帰国生入試なので、小論文は日本語だが、フランス語や英語ももちろん重要だからだが、日本語訳ではわからないニュアンスを教えてもらっていた。どちらが講師なのかわからない。^^;

☆就職する前に、彼女たちとディスカッションして、忙しいだろうから簡単なセミナーを高校生向きにやってみたい気もする。

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