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福井県立高志中学校・高等学校の意味

☆来春、福井県立高志高等学校は、中高一貫校を開設する予定。福井県といえば、学力と身体能力で日本でトップを競っている自治体。人口80万弱でありながら、製造業で経済が豊かで、食の第3次産業も盛んで、原発政策の県でもあり、実に豊かな自治体である。

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☆志水先生によれば、福井県民は広い持ち家に三世代同居で住み、夫婦共働きで長時間働き、貯蓄に励み、老いては田圃と孫の世話をしながら、健康長寿に過ごす自治体である。ここに家庭、学校、地域が、教育、経済、文化を共有する「群れる力」が生まれていて、それが学力と体力が全国トップクラスの秘密なのではないかと。

☆国単位ではあるが、600万人弱の人口の少ないフィンランドが、OECD/PISAで高学力を示して話題になっていたが、福井県と同じような理由があるのだろう。その学問的根拠を研究しているユーリア・エンゲストロームが、高学力の秘密は「ノットワーキング」にあると言っているが、おそらく志水先生の「群れる力」は、エンゲストロームとシンクロするだろう。

☆そういう意味で、高志中高一貫校に近い文化的基盤を持っているのは、相対的に東京の私立中高一貫校である。

☆私立は、地域との連携はあまりないが、強い同窓力のつながりがネットワーク以上にノットワーク化しており、文化や経済的基盤にもなっている。

☆そういう意味では、「家庭―高志中高一貫校―地域」の群れる力と「家庭―私立中高一貫校―同窓力」の群れる力は、「ノットワーク化」という点で似ていると言える。

☆差異は、経済基盤が、地域という自治体に依存しているか、同窓力に象徴される家庭そのものに支えられているかの違いであろう。

☆この差異は、教育政策の影響の受け方の違いにつながるが、高志中高一貫校ほどになれば、むしろ教育政策を逆手にとって、結果的に私立学校より豊かな教育を遂行してしまうだろう。

☆すでにSSHとSGHの指定校になっておりながら、たとえば、英語は「国内外の人と議論できるような英語力を育成します。また≪高志学≫との連携で、英語で論文を書く力も育成します」とさらりとパンフレットに記載しているが、これはCEFR基準でC!英語をやるということを宣言している。

☆SGHでは、B2まででいいとされているが、それを超えるレベルの英語教育をやるのだという。それは東京の私立でも21世紀型教育を推進している学校でしか目標にしていない英語教育である。それに、大学合格事績も、東京エリアの私立中高一貫校の中でトップ50にははいるだろう。

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☆ある意味、たとえば恐竜博物館に象徴されるように、地球学、恐竜学、生命学、宇宙学のリソースをほしいままにつかえ、永平寺という日本文化の通奏低音が毎日響いている文化空間で、SSHとSGHの教育を行えるのであるから、どこよりもアドバンテージが高い。

☆もし、福井県が、第2次産業をクリエイティブクラスによる第4次産業にシフトする市民が欲しいと思えば、高志中高一貫校は、そのための教育環境を大いにフル回転させるだろう。

☆東京エリアの中高一貫校は、私立公立問わず、高志中高一貫校に学ぶべきではないだろうか。フィンランドの教育を学ぶのと同じ価値があると思う。

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