動き始めた官民一体型学校、公設民営学校がもたらすもの
☆おそらく、昨年12月13日に、法律第107号「国家戦戦略特別区域法」が公布されたことにより、官民一体型学校や公設民営学校の道が大く開かれたのであろう。リセマム 11月8日(土)12時58分配信 によると、
佐賀県武雄市教育委員会は11月7日、官民一体型学校の実施校を決定した。2015年度より実施する学校として武雄市立武内小学校と武雄市立東川登小学校を指定し、2016年度の実施を予定している準備校として3校を選定した。
※第第二条この法律において「国家戦略特別区域」とは、当該区域において、高度な技術に関する研究開発若しくはその成果を活用した製品の開発若しくは生産若しくは役務の開発若しくは提供に関する事業その他の産業の国際競争力の強化に資する事業又は国際的な経済活動に関連する居住者、来訪者若しくは滞在者を増加させるための市街地の整備に関する事業その他の国際的な経済活動の拠点の形成に資する事業を実施することにより、我が国の経済社会の活力の向上及び持続的発展に相当程度寄与することが見込まれる区域として政令で定める区域をいう。
4 この法律において「地方公共団体」とは、都道府県、市町村(特別区を含む。第十八条及び第十九条を除き、以下同じ。)又は地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百八十四条第一項の一部事務組合若しくは広域連合をいい、港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)第四条第一項の規定による港務局を含むものとする。
5 内閣総理大臣は、第一項の政令の制定又は改廃の立案をしようとするときは、あらかじめ、国家戦略特
別区域諮問会議及び関係地方公共団体の意見を聴かなければならない。
☆かりに、特区の制度を用いなくても、すでに「民」のノウハウを公立学校の一部の機能として取り入れるのは認められてきたから、その延長上で包括的一歩手前まで企業などの「民」が協力することは可能。
☆だから、武雄市のように、特区にこだわらず、ぎりぎりの線で行う自治体は増えるであろう。
☆学習指導要領内で行う。利益目的としない。要するに1条校の枠内で行えばよいというわけである。
☆企業などが包括的に学校を運営した場合、税金が投入されないから、事実上現状ではできない。ただ、10%協力なのか70%協力なのかでは、かなり違うが、包括的でないと自治体が判断すればそれまでである。
☆武雄市の場合「花まる学習会」の主要なカリキュラムを 「モジュール授業」として日常的に実施するようだが、あくまでも「モジュール」で全面的ではない。
☆その場合、既存の教師が教えるから給料は、「花まる学習会」には入るわけではないだろう。教材やノウハウには、自治体から委託料ではいるのは、従来通り。
☆「花まる学習会」は、もともと固定費をなるべく設定しないような経営手法だから、人件費や校舎という賃料は、いっさいかからないのであるから、売り上げではなく、利益ベースで成り立つとディシジョンしたのだろう。
☆さて、始まりはそれでよい。しかし、「花まる学習会」が複数の学校にかかわるようになると、平等性が失われたり、教師の数が減らされたり、実質利益があがるように経営されるようになるだろう。
☆「花まる学習会」のスタッフで教員免許をもっていれば、結局は学校自体が教員を丸がかえしなくてよいことになる。放課後学習も、地域が協力して、安価な費用で、「花まる学習会」でできる。たとえ、安価でも、テナント料を支払う必要がないから、赤字にはならない。
☆さて、放課後学習は、補習だけではなく、エリート教育もできるから、ますます競争が起こる。「花まる学習会」のかかわる学校に子どもたちが集まるようになる。薄利多売という近江商人手法が教育において活用されるわけなのである。
☆文科省としても、自治体としても、人件費が最もかかるから、そこが減らされれば、財務上楽になるのだ。
☆結局、実質上安価な私立学校が出来上がる。
☆そして、特区の場合、国際バカロレアを堂々と一条校で、税金を投入して行うことができるから、公設民営化して効率よく、できるわけだ。武雄市と同じように大儲けはできないが、利益はあがる。しかも実質超エリート私立学校ができあがる。
☆こうして、塾予備校は淘汰され、官民一体型学校とか公設民営学校に包摂されていくことになる。
☆塾予備校としては、サバイブできるわけだから、学校が変わるより、自分たちが変わるほうがは速いだろうから、この流れは加速するだろう。
☆そして、スタッフに教師以外の教師がはいるから、彼らは、IBコーディネータとよろしく、海外の教育機関とつながる機能を果たすようになる。
☆優秀な教師は、企業側のスタッフに転職する。すると政財官学が一体となって行っているこの政策は、えーい従来型の学校はいらないのではないかということになる。
☆すべては教育機関それだけでよいのである。卒業資格は、すべて運転免許と同様でよいということになるだろう。
☆その卒業資格認定機関も文科省である必要はない。IB機構でも海外の学校でも、実績のあるところの卒業資格をもっていればそれでよいといことになる。
☆こうなると、私立学校の卒業資格は、実に明快になる。その私立学校の卒業資格だけで、大学が受け入れるか、他の資格も求められるかは、その私立学校の実績次第。
☆アドミッションオフィサーというコーディネーターが各学校に存在するかどうかだけが重要になってくる。
☆完全に市場の原理に基づいた学校経営になる。ただし、公共的な市場経済をどう創るかという問題点は残る。
☆政府の少子化対策は、どうやら公立学校にも私立学校にもサバイバル時代を開くというのが本当のところなのだろう。
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