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小中一貫教育を成功させるためには、本当の問題を議論するだけです。

☆朝日新聞2014年11月1日05時00分 によると、

文部科学省の審議会が31日、新しい小中一貫校を制度化する方針を示し、早ければ2016年度にも開校する見通しになった。先行して一貫教育を進めてきた学校は歓迎するが、課題も抱えている。

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☆全国初の施設一体型公立小中一貫校として06年度に開校した日野学園(東京都品川区)の西島勇校長は、自分のやってきたことが評価され励みになるが、先行事例のすべてがうまくいっているわけではないと。

☆どんな課題があるのか?西島校長に限らず多くの先行実践校の先生方が以下のような課題を挙げている。

・7年生に進む段階で子どもの3分の1が私立中などに抜け、新たに入ってくる子のサポートが必要になる。

・9年間ずっと一緒に学ぶことにより、「人間関係の固定化」が生まれる。

・一貫校に9年いると、原則入試があって進学校が多い中高一貫校に入りにくくなり、中学はまたさき状態になる。

☆安彦(あびこ)忠彦・神奈川大特別招聘(しょうへい)教授(中央教育審議会小中一貫教育特別部会副部会長)は、「現行の一貫校は、行事や部活などを通じて異学年交流を促して上級生が下級生から尊敬されて自尊感情が生まれ、いじめが減っている」と語る一方で、「課題はこれをどう広げていくか」であると指摘している。

☆山本由美・和光大現代人間学部教授は、「小中一貫校にどんな教育効果があるか検証されないまま導入するのは問題がある」と。また、「中1ガヤップが解消されるという根拠もあいまいだ」と。

☆さらに、小学校高学年期は学校のリーダーとして大きく成長するのに、リーダーになるのが、中学時期にまで延長されてしまうのではないかと。

☆こうしてみると、すべての課題は、実は小中一貫校固有の問題ではない。学年区分けをどのように制度的に決めても出てくる課題ばかりである。

☆教育の多様性と柔軟性の法制度が作れないことが問題なのである。子どもたちの成長をファシリテートする環境は何か、それを阻害する行為を制度ではねのけるというのが本来の立法行為であるが、教育政策が先行し、それを正当化するための法制度が作られている。

☆単純に小学校低学年のときに、上記の私のロゴ(私の教育のコンセプトロゴ)のように、

①自然にたわむれ、五感を研ぎ澄まし身体能力を豊かにする。

②本を読み言葉の森に散策にでかける。

③音楽に触れ、音楽を演奏する。シンプルな記号のルールが、身体機能のトレーニングによって、豊かな作品を創り上げる経験をする。

④自然を観察し、好奇心と疑問とオープンマインドを身につける。

⑤絵を描いたり、工作をしたりして、リアルな空間を脳内空間に変換するトレーニングをする。そして再度それをリアルに映し出す。

⑥あらゆるものを比に変換する数学的思考の体験。加減乗除の計算ルールは、世の事象を比に置き換えるためのルール。比の概念が、関数の概念に飛ぶためには、ICTで虚数空間を体験するのもよいし、SFでタイムマシーンに乗っても構わない。

⑦以上を友人と、大人と異文化の人と議論するコミュニケーション体験をする。

⑧同時にアウトプットするだけではなく、以上の7つの行為に、耳をすまして、諸関係全体を感じ取り洞察する時間をたっぷりとることである。

☆ハワード・ガードナー教授との出会い(本とメール上だけだが)で、2008年から、毎月1回本を読んで、イメージをパステルなどで絵に変換するワークショップを行うサポートをしている。小学校1年生から3年生が対象で、子どもたちは小学校4年生になったら塾に行く。

☆でも、そこから先は自分で考え、想いを形にして、対話をしながら自分の道を歩いていけばよい。学年区分はさほど関係ないのだ。

☆すでに一期生は中2になるが、風の便りで活躍している様子を聞く。美術学校に通っている生徒は、イベントなど手伝いに来てくれる。立派なチューターで、アイデアもだしてくれる。

☆コンセプトロゴは、しかしながら、低学年だけではなく、素材や考えるレベルなどが違うだけで、帰国生が大学受験のためにトレーニングする小論文のワークショップのときも基本は同じ。

☆ただ、内省は、各人の座標系というルーブリックをそれぞれが自ら見える化するようにはするが。

☆つまり、知のコノテーションを小学校の低学年で内面化し、徐々にそれをデノテーション化し、再びコノテーション化するという弁証法を繰りかえしていくのが成長である。

☆しかし、今回の小中一貫校は、デノテーションの政策が先で、コノテーションを度返しして法制度に飛びついている。コノテーションなきデノテーション。もっとも実証主義的には、デノテーションが階層構造になれば、下位システムが相対的にコノテーションになるという発想だろうから、私の話などは一笑に付されるだろうA^^);。

☆先日、帰国生時代小論文ワークショップに参加していた2人の一期生にあったが、来春卒業就職も決まったという。ジャン・ティロール氏の考え方を応用して社会分析をする話で盛り上がった。今世紀になって、ノーベル経済学賞をフランスの学者が受賞したのは初めてなので、いったいその背景は何か?

☆経済学部に進んだ学生は、4,5世紀のビザンティン時代の経済からいもといて話を聞かせてくれたし、法学部に進んだ学生は、啓蒙思想の自然法論と法実証主義的リバアtリアニズムのいわば普遍論争があることを補足してくれた。

☆もちろん、毛ガニを食べる方が忙しがったが^^)。

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☆さて、2人は、激動のグローバル最前線に飛翔するのだが、実態にあった思考をいかにデザインしていくのだろう。いざというときは、それぞれのコンセプトロゴが盾になり、救命艇になり、あるときは戦闘スーツマシーン、いや魔法の箒=法規となって、彼女たちを守ってくれることを祈っている。

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