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2015首都圏中学入試【61】 多くの学校は麻布の入試問題に学ぼう!

☆本日2月1日(日)、麻布の中学入試。15時30分に麻布を訪れた。試験は14時30分に終了。したがって、学内は静かな思考の時間に没入。つまり、先生方は採点の準備段階にはいっていたことだろう。

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☆今日と明日、じっくり時間をかけて受験生の答案をああでもないこうでもないと議論しながら採点している先生方の情熱が伝わってくる。

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☆もっとも、そんなことをわざわざ感じ取るために訪れたわけではない。入試問題を購入しに訪れたのである。今や入試問題はしばらく待てば、ネットでも手に入る。

☆しかし、麻布の入試問題は買う価値がある。なんてったって、中身が他校にない優れた粋な問題。開成や灘もおもしろいが、どうもベタで野暮すぎる。筑駒は国語と理科はまあまあだが、いかにも国立の問題だ。

☆桜蔭は骨太そうだが、問題としてはラフすぎる。大胆ともいうが。

☆その点麻布の問題は、よく練られているが、さりげない。身近な素材から、広く深いパースペクティブをデザインしなければ解けないようになっている。

☆ロンドン大学のクリティカルシンキングテストやIBのTOKのような優れた問題。それを各教科で出題するのだ。ネットで公開されるのを待つわけにはいかないのである。

☆昨今、教科横断型の問題がトレンドになりつつあるが、大勘違いのものがほとんど。教科横断型とは、常に頭のフェイントが効いている教科の問題であって教科の問題ではない設定のことを本来いうのである。

☆教科横断型といいながら、各教科のモザイク問題では、なんだかなあということになる。かといって、まったく教科と関係ない問題を出すとなると、それはアートのような問題で、いやアートの問題そのもので、教科横断型でもなんでもないような気取った問題が出題される。

☆まあ、素直に麻布の入試問題に学んだ方が良いね。実はかえつ有明、聖学院、富士見丘、工学院などの思考力テストは、麻布の入試問題をよくよく研究し、独自のデザインをしている。

☆これに比べて適性検査なるものは、まったく麻布の問題とは関係がない。こんな問題で何が適性なのか摩訶不思議である。だいたい適性検査と思考力テストの差がわからないのを、自分の見識がないと認めずに、説明の仕方がわるいと文句を言う方々もいるからおもしろい。

☆ともあれ、まずは国語と社会の解答欄を見てほしい。これだけで、子どもたちは思考の翼を広げるというのが想像できる。

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☆国語の素材は、山本甲士さんの文章。世代間のギャップではなく、世代間でコミュニケーションがいかに通うかがテーマ。実に古くて新しいテーマ。最後の問題で、そこをびしっと問うているの。さすが麻布。オールウェイズっぽい感じがするけれど、身の回りに世代間の葛藤がある昨今だ。再び新しいテーマなのである。

☆社会科の問題がまた美しすぎる。食事の時に手にした「器」から問題が縦横無尽の大スペクタクル展開の問いに広がるのだ。

☆縄文時代から始まり、セラミックというテクノロジーにまでいきついてしまう。途中では大航海時代の流れに巻き込まれる有田焼のクールジャパノロジーのルーツにまでジャンプしているし。

☆そしてフィナーレは、「器」の実用的道具性以外にリベラルアーツや言語学的レトリックの役割、政治権力史などにまで視野を広める論述問題できめている。実にクール、粋だ。

☆何より理科が美しい。昨年の日本人3人のノーベル賞受賞者を称えてのことだろうが、光の波長の問題。

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☆波長と色との関係を解き明かしていくから、カラーの問題!というのもワクワクしてしまう。この問題どこがすごいって、19世紀前半の数学者で物理学者でもあるバルマーの発見した水素が発生する光の波長の規則性を追体験させ、実はその規則性は、まだ特殊性で、その後一般化されることがわかるというところまで導く。

☆その果ては、当然量子力学へ向かうのだろうが、中学入試ゆえ、寸止め。あとは、麻布に入学してからということだろう。

☆この問題も、科学史を活用しているから、19世紀前半の数学の知識で解けてしまう。このときの数学の知識はだいたいが幾何が中心で、代数的には今の小学生でも理解できてしまう。そこをうまく活用した問題。なんていう高い見識。

☆科学史をたどって、原点から出発すれば、ノーベル賞受賞者の足跡を追えるのである。そんなことを入試問題で問うなんて!

☆算数もおしゃれ。三次元を二次元に変換してしまえば、解ける立体の問題なんかは、数学とは一体何かを考えさせる問いかけ。なんて頭のフェイントが効いていてコンセプチャルなのだろう。

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☆それにしても、いずれの教科の問題も、思考の端緒は比較からだった。もっとも微細な差異を問題にしているところが実に麻布らしいが。

☆このような思考力問題を、誰でも作れるだろうか?実はSGTにしかつくれない。思考力問題は、教科の専門性から出発してメタ認知能力に行きついたところではじめてできる。

☆このメタ認知能力の段階で、ようやく教科横断型の問いが解放される。この問いが解放される境地にまで達していない教師は、つまり、メタ認知なき専門教師は、そもそも信頼性のある問いをつくることができない。

☆この絶対矛盾的自己同一の境地に達している教師がSGTで、その数は今のところ限られている。

☆SGTになるには、麻布の入試問題に学ぶことが大切である。

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☆そうすれば、希望の教師SGTはその学校に集積するだろう。


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