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新6年生のために(03) 偏差値が変わる

☆今年の中学入試で、人気が高かったところは、偏差値はあがる。それは当然である。人気が必ずしも高くなくても、かりに定員がいかなくてもがまんして、今までと同じレベルで合格判定をすれば、偏差値が下がることはない。

☆しかし、そのような技術的な意味だけで、偏差値が変わるといいたいうわけではない。

図1

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☆今年は、英語入試や思考力テスト/思考力型問題というキーワードが情報誌などで取り上げれた。この動きは何を示唆しているのだろうか。今まで、知識記憶型入試が中心だったのが、思考力中心のテストが出てきたということを示す。

☆思考力テストの話題が昨年出たとき、今までの入試も考える問題はあると言われてきた。しかし、実際入試が行われてみると、思考力の広さや深さが全く違うものだった。

☆麻布や武蔵、栄光、筑駒などの入試問題が、思考力問題満載であるというのは、従来から受験業界でも強く認識されてきた。

☆たしかに、他の学校の入試問題にも少数ではあるが、考える問題が盛り込まれてきた。しかし、実際には、その問題を捨てても、合格できたし、もっと本質的には、図1にあるように、思考の深さが、「知識→理解」のレンジで、知識をつなげたり、活用したりするレベルの問題が中心。

☆ところが、21世紀型教育を創る学校が作成した思考力テストは、麻布や筑駒のような思考力の問題。ただし、麻布の問題では、思考過程のヒント自体、受験生が自分で考えなければならない。

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☆今年の筑駒の理科の問題で考えてみよう。まず、たんに正しい図がバラバラになっているのを並べるのなら、そう難しくはない。

☆この問題は、正しい図を選択して、そのうえで並べる問題。ということは、比較をして、違いを明快にし、なぜそんな違いを考えなくてはならないのか、理由を考える必要がある。

☆21世紀型教育を創る学校は、今のところ筑駒程偏差値が高い生徒は受験しないから、この問題を仮に出した場合、比較を実際にさせるところから始まる。

☆すると、この問題だけで大問になる。筑駒の場合は、これだけで小問の1つにすぎないから時間はそうかけられない。しかし、思考力テストになると、じっくり考えられるようにプロセスのヒントが小問になっていて、一つひとつ丁寧に考えていくことになる。

☆だから、筑駒とは違って、一つの問題を解いていくのに時間がかかる。おそらく、飛行機や船も例に出して、いろいろ比較を丁寧に行うだろう。

☆なぜなら、生徒自身がバランスやエネルギーの和は一定であることに気づくには、いろいろな体験(もちろんテストだから擬似体験だが)をするとよいからだ。

☆一つの体験で気づかなければ、先に進めない。だからといって解答に誘導するようなヒントを出しては思考力にならない。ここが最近接発達領域をうまくつかって、生徒自身が自ら気付く思考力を発揮させる妙義なのだ。

☆もちろん、成功しないときもある。思考力テストを作成する先生方は、教科横断的に編集するから、試行錯誤のシェアが、毎年思考力テストの質をあげていく。

☆麻布や筑駒の偏差値は、学校の思考力育成の質まで重ね合わせている。図1でいえば、偏差値と思考の深さが一致しているクリエイティブタイプの生徒の力を偏差値で表現している。

☆しかし、思考力テストを行っていない学校は、極端な話、知識暗記型の受験生の力を表現してしまう。

☆偏差値は、知識偏重型の受験生であるかクリエイティブタイプの受験生かは、今までは表現できなかった。それは偏差値の問題ではない。入試問題の質の問題なのだ。

☆だが、思考力テストや思考力型問題を出題している学校が、人気がでて、偏差値も高くなれば、その偏差値は、思考力の深さも表現することになる。

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(思考力テストや思考力型問題を出題すると明快に自覚し、広報した学校は、今年人気が高かった)

☆21世紀型教育校が人気が出れば、偏差値の表現する質も変化する。麻布や筑駒、開成ばかりが、良質の思考力問題を出しているだけでは、子どもたちの無限の可能性に満ちた世界を偏ったものにしてしまう。

21世紀型教育が、中学受験に新たに息吹をもたらし、フローズン中学受験市場を氷解させるときがきたのである

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