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21世紀型教育第3の波≪02≫鈴寛さんの言説が教育改革を遅らせるどころではない。

☆鈴木寛さんが、最近こんな記事を書いている。「日本の大学入試はフランスに170年遅れている!」(DIAMOND ON LINE2015.3.20)。

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☆表現の自由だからどうでもよいけどと見過ごせない。鈴寛さんは、民主党政権時代から、経産省や文科省で、グローバル人材育成の仕掛け人だったし、その後も文科省のブレイン的な活動をしてきた責任があるからである。

☆グローバル市民的発想からすれば、遅れているというオリエンタリズム的言説を忍び込ませるのは不快である。

☆西洋と東洋の境界線を勝手に決めて、西洋は進化、東洋野蛮みたいな発想がどこかにある。そして、東洋人でありながら、メタ認知的ポジショニングを決め込んで、君らはだからダメなんだ。アンナ・ハレントも読まないでと。

☆そんなことより、なぜ1989年ベルリンの壁崩壊が、CEFR誕生の契機になり、それがハンナ・アレントの思想と関係があるのか議論し、そのEUの人々のオリエンタリズムを批判したサイードと共振するマインドを取り戻した時の話でもすればよいのに。アレントがどう言ったかどうか知っているかどうかはどうでもよい。

☆読みたければ読めばよい。日本の高校生だって、夏目漱石やフィッツジェラルドを読んで、哲学大好き人間が育つようなプログラムを形成している学校があるが、それはアレントを読んでいるフランスに遅れているというのだろうか。

☆だいたい、フランスのバカロレアだって、その時期になるとキオスクで、バカロレア対策本が、雑誌感覚で、店頭に並ぶ。サルトルやアレントの本をまともに読んでいる生徒がどれくらいいるだろうか。

☆トマ・ピケティの思想をどこまで語れるのかだって言われたって、「トマ」という記号がヨーロッパ中世以降の市場規制と自由な商品価格の問題を内包していることをどうやってそこに住んでいない人間がわかるのか。

☆その記号はアリストテレスの倫理学と政治学に横たわっている正義論がきっかけで、サンデル教授の話にもつながる。そんなことフランスの高校生と話してもわからんよ。

☆日本の歴史を愛し、村上春樹論を語り、日本の大学を愛するフランスの学生もたくさんいる。

☆そもそも「遅れている」と思うオリエンタリズムでは、トマ・ピケティさんに気楽に質問もできないでしょう。

☆ガードナー教授だってハングリーブス教授だって、向こうの先生方は市民の何気ない質問に丁寧に答えてくれる。そこに官尊民卑という境界線はない。サイエンスコミュニケーションは、そもそも市民に開かれているのだし。

☆日本が遅れているかどうかはわからない。ただ違うことだけは確かだ。もっともフランスも官尊民卑は同じだけどね。要するにどこの国の人にもこのルサンチマンはある。

☆21世紀型教育とは、このルサンチマンをリフレクションして(メタ認知でも、反省でも、内省も同じだと思ってよい)、相対化・浄化する知性と感性の両方を養う学びの環境のことを言うのであって、それが古いとか新しいとかそんなことではない。

☆グローバル人材を育成することを標榜していながら、オリエンタリズムやルサンチマンの心性を国民や市民に埋め込む言説を吐くのだけは御免蒙るよ。

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