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アクティブラーニングとは何か?(2)ストラスブール大学関係者とともに

☆アルザスで、ストラスブール大学の徳江先生と大学院生・学部生(日本語学の研究をしている。総勢9人)と23人の東京の私立中高一貫校の高1生とアクティブラーニングを行っている。

☆世界中どこの都市でもそうだが、そこには人間の生活世界としての存在から政治経済などの戦略的自己保存、そして文化や芸術、学術的な人間存在の全体が息づいている。

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(セレスタのユマニスム図書館。世界遺産に登録)

☆とにかく当然のことであるが、あらゆるものがある。そしてそれは何もアルザスにこなくても東京で十分なのであるかもしれないが、高1の生徒にとって日本の文化は日常であり、その日常の背景にある歴史やシステムは相当意識しないと気づかない。

☆日本の中だけで一生暮らすのであれば、それでよいが、高1生の将来はまずそういうことにはならないだろうし、かりに日本から外に出なくても、すでに海外からのひと・もの・情報・経済は身近な生活にどんどんはいってきている。

☆ところが、それも日常生活の意匠の延長で入ってきていて、文化や歴史の差異の記号は削除されて日本の大衆に適合するようになってしまっている。そんな中で、2020年大学入試改革で設定されている思考の1つであるクリティカルシンキングはなかなか実行できない。

☆グローバルな世界で、グローバルな政治経済の動きが起きているにもかかわらず、そのことの実感を了解できないようになっているからだ。このところの古賀発言を詳しく説明するまでもなく、そういう情況が埋め込まれていることが伝わってくるだろう。

☆このことがどれほど、海外から、日本という国が理解不能な国とみなされているか、そのことも理解できなくなっている。

☆グローバル教育といいながら、日本のグローバル教育は、英米圏中心である。フランス人が日本に訪れて、日本語で道順をたずねているのに、英語で一生懸命説明してくれる場面に直面して驚いたとフランスの学生に聞いて、さもありなんと思ってしまった。

☆そのフランス人学生は日本語をしゃべりたかったのである。それはちょっと考えると、日本人も海外に行ったときは、現地の母国語に興味を持つのと同じである。

☆ともあれ、今回の高1生は、オーストリアの国連欧州本部とEUの比較のためのフィールドワークと大学生に人気の都市、パリと東京とロンドン(ロンドンは彼女たちはすでに中2のときに訪れている)のグローバルシティの比較のフィールドワークに訪れている。

☆そして、EUの政治の拠点ストラスブールでは、大学生・大学院生とチームワークをつくりながら、フィールドワークを行っていく。彼ら学生の中にはすでに日本留学の経験(東大・京大・早稲田・北大など)もしていて、日本文化、日本の歴史、古典、アニメ、アキバなどに深い興味をもっているし、研究もしている。

☆だから、高1生は彼らと対話しながらフィールドワークをすると、自然と気づきのトリガーを見つけるのである。そしてこの散策しながら語り合うという活動こそフランスならではの学びの文化である。

☆各チームに、それぞれチューターは、一人ずつ入るのであるが、議論をしていると、チームを超えて突然議論し合う。その姿を高1生は観て、これが言論の自由だと感じる。ファイトもヘイトも議論では禁じられる(それは抑圧的な禁止ではない。人権を無視するから禁止なのである)から、実にすがすがしい議論の姿である。

☆よって、日本のアクティブラーニングのフィールドワークとは意味が少し違うのである。今回もフィールドワークのコーディネートそのものでアクティブラーニングの本質の大半の目的を達成できたということになるほど価値があるのが、フランス人学生との対話フィールドワークなのである。

☆日本で、TOK型のアクティブラーニングが注目されているが、教室から外に出てそれを行えば、今回のストラスブール大学の学生や院生とフィールドワークをするのと同じ質感になるかもしれない。しかし、そんなTOK型アクティブラーニングをしているのはかえつ有明のダッツン先生ぐらいしかいないのではないか。

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☆それはともかく、もう1つ重要なプログラムの意味は、徳江先生の存在である。津田梅子さながら単身海外に渡り、そこで現地の文化を学び、日本との架け橋となっている女性の先生である。

☆今回の高1生はすべて女性。それゆえ、女性がグローバル世界で生きるとはどういうことか、その使命は何か(それはEU議会に訪れたときにさらにわかる)など、やはり一日中共に学びながら、高1生は感じ取っていく。

☆私の役は、ここまでの全体のコーディネートだが、現地に来てしまったら基本夕食まで、放っておくこと、これが私の役目である。ただし、フィールドワークのさ中に、ストラスブール大学の院生と話し合いながら、気づきの増幅(放っておくと見ていても目ていない場合もあるし、逆に思いもしない重要な気づきが起こっている場合がある)を夕食後のリフレクションの時間に仕掛けることである。

☆チュートリアルな問答スタイルを、チームワークでできるように仕掛けていく。ポストイットは極めて重要なツールになる。

☆また、彼女たちは、一枚の図や絵、写真をトリガーに、日本の文化をプレゼンし、ストラスブールの学生とディスカッションする交流会もコルマールという自由・平等・博愛の意志を生んだプチグローバルシティで行う。

☆もうおわかりだと思うが、このアクティブラーニングプログラムは、グローバル大学入学準備教育のコアシステムも埋め込んでもいる。

☆2020年以降を待つまでもなく、国内外のグローバル大学は、大量の知識よりも必要最小限の知識を活用して探究活動にシームレスに移行できるアカデミックスキルの基礎力を身につけてきてもらいたいのである。

☆この中高大接続システムの改革は、アカデミックスキルの基礎力を接続し、それが大学の本格的研究スキルにつながり、結果的にそれは大学卒業後、未知なる世界で生き抜いていくサバイバルスキルを身につけることが最終目標である。

☆中高のアクティブラーニングの本位は、かくして人生における自己の存在をグローバル世界でいかに活/生かすかその志とそれを実現するサバイバルスキルを育成することにある。

☆これからは、大学受験勉強とサバイバルスキルトレーニングは関係がないのではなく、一貫性が必要となってくる。それが2020年大学入試改革の大きなコンセプトのはずである。

☆つまり、大学受験勉強からグローバル大学入学準備教育へシフトいくのである。そのシフトのためにも、アクティブラーニングは重要な学びの基盤である。

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