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2016中学入試動向ウオッチ【021】 東京女子学園 今≪私学の系譜≫が新しい

☆明治近代日本を形成してきた一つの大きな柱に教育があるが、その教育の中で、特に私立学校は、創立者の血筋が今も脈々と受け継がれているところがある。

☆その多くは、血筋はとだえ、精神の継承、伝承という場合が多いが、東京女子学園、嘉悦学園、三輪田学園、共立女子、最近では八雲学園、富士見丘などは、今も創立者の血縁と精神の両方が受け継がれている。

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(東京女子学園理事長・校長實吉幹夫先生)

☆今日お会いした東京女子学園の理事長校長實吉先生は、同校の創設者棚橋 一郎・山本 宜喚・小川 銀次郎・實吉 益美・杉浦 鋼太郎・高津 鍬三郎・吉岡 哲太郎の7氏のうちの實吉家の血筋である。

☆このことは、伝統というものを超えてある創設者の意志そのものが、志そのものが生きているわけだから、目先の利益や役に立つことばかりにとらわれがちな現代にあって、大変得難い時代を超越した普遍原理で、警鐘をならしてくれるのだ。

☆2020年大学入試改革や新テストをどうするかで、世は騒然となっているが、この動きに関して、時代を超越した根源的なものの見方から相対化できるのが實吉先生の真骨頂なのである。

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☆もちろん、霊験あらたかな側面もあるのだが、實吉先生は麻布出身という正しい探究心旺盛な頭脳で、徹底的に時代の情報を収集し分析するし、読書家である。

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☆また、教育のみを社会から切り離して分析するのではなく、時代が新しい教育を求める時、当然新しい資本主義も求められているはずと、教育と経済の統合も模索される。

☆したがって、文芸春秋7月号に載っている「◎東大×京大総長初対談
「知」を軽んじる社会に未来はない 五神 真/山極壽一」の記事を先取りした形で、哲学亡き21世紀型教育はないと警鐘を鳴らし続けてきた。

☆21会事務局を仰せつかっている私としては、「哲学亡き21世紀型教育を創る会」にならないように、無い知恵を絞り、こうして時折實吉先生に教えを乞うているのである。

☆實吉先生の「哲学」とは、リベラルアーツの基礎であるイマニュエル・カントの哲学である。明治近代日本を形成した思想は、法実証主義と自然法論があるが、前者が≪官学の系譜≫で、後者が≪私学の系譜≫の哲学である。

☆カントは、ルソー、ヘーゲル、アダム・スミスという≪私学の系譜≫が大切にしてきた精神の1つであり、AIロボットが席巻する今日、アルゴリズムやカテゴライゼーションの考え方の基礎として、再び時代が要請している思考様式である。

☆そして、今PISA、CCSS、IB、CEFR、Aレベルなどが教育デザインするとき必ず引き合いに出すブルーム型タキソノミーこそ、カントのカテゴリーの考え方や3批判の分類そのものである。

☆つまり、昨今トレンドであるアクティブラーニングのプログラムやルーブリックのデザインの際にカント的哲学発想がなければ、そのアクティブラーニングはどうやら真理には到達できない。

☆この真理に到達できないことをなんとも思わない風潮に対して、東大及び京大の総長が、<「知」を軽んじる社会に未来はない>と警鐘をならすわけである。

☆だがしかし、警鐘を鳴らすだけでは時代は変わらない。新しい教育活動を実行しなければならない。その1つが東京女子学園の若手がたくさん参加している21会SGTワークショップである

☆東京女子学園は、オックスブリッジに通用する哲学的アクティブラーニングという、知の最前線に挑戦しているのである。

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