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2015年東京私立学校展 教育の質の競争的共創市場のはじまり(了)

☆1996年に八雲学園の中学が再開された当時、私は入試情報センターに異動になり、その2年後にはNTS教育研究所を主宰するようになって、現在本間教育研究所で私立学校研究家をやっているのだが、その当時から八雲の横山先生と菅原先生とは情報交換というか対話を続けてもらっている。

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(卒業生とワークショップをやりながら涙腺がゆるみがちな菅原先生)

☆私学展も開演される前に行くのは、始まってしまえば先生方は忙しいから話どころではないからだ。

☆取材で話を聞くのはもちろんよいのだが、21世紀型教育というのは、立ち話が極めて重要なのだ。刹那に核心に触れる情報交換ができる。成蹊の跡部校長も声をかけられたが、その瞬間にビジョンをシェアし、北氏も巻き込む約束までしてしまった。30秒もかからなかったと思う。

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(OG1人ひとりの中1のころからの成長の話を満面の笑みで語る横山先生)

☆そんなわけで、横山先生に、どうですかと聞くと、「V字ですよ!」と。すかさず菅原先生は「今は兆しですよ!」と。それで、理想と現実の一致を求めるプラグマティックな動きをものすごくやっているなあと共感できるのである。

☆9月から新たな取材のアイデアもバタバタと決まり、さすがは八雲学園だと感じ入った。とにかく、同校は、問題を先送りしない。おそらくヘンリー・デイヴィッド・ソローの森の生活を愛する米国の伝統的なリベラルアーツとJ.デューイのプラグマティズムを基礎としている姉妹校ケイトスクールの影響をうけていることもあるのだろう。

☆いまここで問題に直面したら、即解決のアクションを起こすのが八雲学園。だから、チューター制度という常に生徒がどんな問題にぶつかっているのかシェアできる対話システムが伝統になっている。

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☆またケイトスクールに大きな影響を与えているのは、「道」を極める教育である。近藤理事長・校長が空手の達人であり、横山先生が剣道の達人であり、菅原先生がラガーマンでありそのコーチ道を極めているように、その「道」を極める精神は毎朝メディテーションするところから始まって、生徒全員に浸透している。

☆いまここで何が起こっているかを心眼で見抜き、即解決の道を探る。この姿勢は八雲生共通の構えである。

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☆エール大学の学生と音楽国際交流をして3年めになるが、この3年の間に八雲生は自ら大いなる変化を先生方に望んだ。

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☆それで、英語でミュージカルを演ずるグリー部が立ちあがった。今や大人気の部活動である。

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☆さらに、自分たちもエール大学やUCサンタバーバラに進学できるぐらいの英語力や思考力を身につけたいというモチベーションが高まった。

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☆すぐに榑松先生(英語科主任)は、渡米し、彼女たちのために、3ヶ月留学の特注プログラムをUCサンタバーバラと話し合い、コーディネートしてきた。今年で2年目になり、事前学習と事後学習のプログラムもさらに強力になっている。

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☆近藤隆平先生自身も、米国の大学留学経験の知的資源を惜しみなく八雲生に提供。オールイングリッシュの授業は、必然的に生まれている。

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☆卒業式3日後には、OGはすぐに戻ってきて、後輩にキャリを教育を自ら行い、先生方には八雲学園のアピールポイントを伝える。そんなアクティブな姿に感動せざるを得ない。

☆そして、この八雲学園の教育活動の作り方こそ、いまここで生徒が直面した課題や壁を乗り越えるアイデアを積みあげていくというボトムアップ型であり、21世紀型教育の真骨頂なのだが、ときにボトムアップ型は外に伝わるのに時間がかかる。

☆在校生にとってはものすごいスピード感で変わるのだが、外から見ているとそのスピード感が伝わらないというパラドクス。

☆このパラドクスを何とかしようという動きが大きなエネルギーとなって放出される。横山先生と菅原先生の話は、今はタメているということだろう。理想と現実を一致させるダイナミックな動きが9月以降展開していく。大いに楽しみである。

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