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2016中学入試動向ウオッチ【058】グローバルリーダーの条件3Tを育成できる学校を探そう

☆2016年入試は、①2020年「大学入試改革」の情報を的確に分析できる学校、②その分析に対応できる「授業改革」(アクティブラーニングを中心とする)を断行できる学校、③その「授業改革」の顔として「入試改革」(思考力テスト)を実施する学校という「改革3点セット」を備えた学校が注目を浴びるというのがトレンド。

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(クリエイティブクラスを生み出すSGT研修会)

☆しかしながら、2020年東京は、オリンピック・パラリンピック開催の都市でもあり、それに向けて東京全体がクリエイティブ都市に変貌しようとしている。ここを各私立中学がどうとらえているか。この見識も問われるのが、2016年中学入試のもう一つの潮流になると思う。

☆リチャード・フロリダ教授の考えを参考にするならば、クリエイティブ都市というのは

1)仕事や職業上の成功に良い影響を与える場所

2)共感できる交流が直接あるいはネット上でできる環境がある場所

3)互いのライフスタイルを尊重し合える場所

4)外向的な自分、あるいは内向的な自分、あるいは誠実な自分、あるいは情緒不安定な自分、あるいは協調性を大事にしたい自分、あるいは開放的精神を有した自分などありのままの自分が、自分を見失わないで生活できる場所

5)独身者であれ、家族をもっている者であれ、自分の関心ごとに没頭できる条件がそろっている場所

☆ということになろうか。もしかしたら、クリエイティブ都市とは、ユートピアなのかもしれない。東京がこのようなユートピアになるには、この都市をつくる人材は才能(Talent)があって、イノベーティブな技術(Technology)を有し、共感的なコミュニケーションができる寛容性(Tolerance)の3Tが必要となる。

☆この3Tを備えた人材をクリエティブクラスとリチャード・フロリダ教授は呼ぶのだが、クリエイティブ都市の前提はグローバルでもあるから、ユートピア的なグローバルな人間力には3Tが必要ということになる。

☆この3Tを備えた人材は一握りではこまるのであって、クリエイティブ都市には3T人材で満たされていなければならない。ということは、このようなグローバルリーダーとは、実は共感的コミュニケーションが前提となるから、強制力は内面の星々のごとく輝き、コントロールパワーは他者に対してではなく、自分にのみ働き(全員がそれぞれ働く)、だからこそストレスなく才能と技術をいかんなく発揮し、イノベーティブでクリエイティブな都市をつくっていけるのである。なんてアダム・スミス的なのだろう。なんて嘉悦孝的なのだろう。

☆かえつ有明がここを大事にしているというのは、そういうことだったのであろう。

☆そんなユートピアなんて歴史的にすぐに衰退してきたではないかと言われるだろう。しかし、今この東京のクリエイティブシティ化は、そのようなユートピア発想なのだ。

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(かえつ有明の佐野先生・金井先生の「プロジェクト科」の授業は3Tを養うユートピアアクティブラーニング。石川校長ビジョンの響きと共鳴している)

☆そして、かえつ有明に限らず、もともと≪私学の系譜≫はユートピア思考。そんなユートピアを普遍的な原理と称するのを蒙昧だとしたのは、明治維新以降の≪官学の系譜≫である。

☆このユートピアをめぐるせめぎ合いがいまここで再び始まったのかもしれない。いずれにしても2020年大学入試改革が求める方向性も東京オリパラを目指して再構築している東京クリエイティブシティもユートピア発想であることに間違いはないのではないか。

☆だからこれに対しネガティブな現実主義的な反論が常にあるのである。

☆そうそう、アクティブラーニングは、一方通行講義では養えなかったこの3Tを育成する場であることは間違いない。

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