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2016中学入試動向ウオッチ【073】 実践女子学園 未来の女子校の原風景

☆今年6月に、実践女子学園の広報部長松下寿久先生が熱く語る下田歌子論を聴いて以来、同学園のことが気になってしかたがない。

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☆例によって、まだ斜め読みの段階だが、松下先生に薦められた書を読むにつけ、下田歌子の存在が今も光っている実践女子学園は、未来から出現した歴史的意義のある「女子校」であるという思いが広がっていくのだ。

☆江原素六(麻布)、福沢諭吉(慶応)、矢島楫子(JG)と同時代人の下田歌子。≪私学の系譜≫の第一世代が創設した学校の使命とは何か。ライフワークの一つになってしまった。

☆そんな折、TBSが日曜劇場で、「天皇の料理番」「ナポレオンの村」という番組を放映。視聴率競争のためではあろうが、それに「日本の文化」「日本の歴史」「日本の原風景」「日本の挑戦」「日本の再生」などのテーマが視聴率をアップするためのトリガーになっている。

☆しかし、どれも過去の話ではなく、未来を開く歴史的アセットの話をしている。明治近代を形成したエネルギーを、今一度未来の日本のために変換できないものだろうかという番組デザインの背景がチラチラする。

☆だとすれば、下田歌子といういわば、世界を相手に、歌を詠みながら、異次元を切り拓いた日本の女性のプロトタイプが、日本再生、世界の再生に大いに役立つのではないだろうか。

☆それにしても、同学園サイトをみると、1つひとつの教育活動に下田歌子がそばにいて見守っていることが了解できる。

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実践女子学園の模擬国連部の活躍は大変有名だが、欧米教育視察をしたときの下田歌子のビジョンが、部員の眼差しに映っているかのような活動ではないか。

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6月13日、実践女子学園ではオープンスクールが開催された。国語の体験授業では「百人一首白熱教室!『うた恋い』」が行われたようだ。女の子にとっては「恋」は極めて重要な話題だが、そこがねらいではない。

☆下田歌子も詠んだ和歌における「恋」は、いわゆる近代的な「恋愛」のことではない。もちろん、それもあるが、政治的なポジションへの想い、仲間への想い、娘への想い、自然への想い、神への想い、自分の感情への想いなどなど、人間、自然、社会全体のエコロジカルな結びつきへの関心。日本の精神のプロトタイプ。

☆それを平安時代から女流歌人たちが形成してきたのである。そしてそれを下田歌子は日本近代国家形成の礎としたのである。広尾学園の初代校長は下田歌子であるが、残念ながら今はもう広尾には下田歌子はいない。

☆下田歌子は日本の女流歌人が編んできた日本の精神のプロトタイプを手繰り寄せた。そして、それを近代教育につなげた。その功績を今も継承する実践女子学園の未来への歴史的使命に期待がかからないはずがない。

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☆そして体験授業の理科がまたおもしろかったようだ。マラソンなどの運動をする前にバナナを食べるとよいと言われているが、その理由はバナナの細胞を顕微鏡でじっくり観察するとよくわかるという。それを授業で展開した。

☆同校サイトで、担当の先生はこう語っている。

普段感じているさまざまな現象の理由を、顕微鏡などでの理科的な手段で観察し推測することの楽しさを感じていただけたのであれば、大変うれしいです。

☆ふだん目で見えないところにこそ、現象を映し出す根源がある。未来の女性の活躍する像を映し出す根源は、実践女子学園にあるのかもしれない。

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