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2016中学入試動向ウオッチ【075】 この夏どういう勉強をするか(2)

☆四谷大塚のサイトに入ったら各学校の過去問を見ることができる。たとえば、豊島岡の平成26年度の算数(1回目)の問題をみると、さすがだなと思う問題が出題されている。

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☆まず正八角形の問題。隠された条件は、図形のときは、1なるものは多であり、多なるものは1であるという視点を見つけることだ。もっとも、これは図形の問題や算数の問題に限らない。正八角形という現象を成り立たせている基準を見つけようとことだから、結局現象と本質の関係を探るのが、あらゆる教科の大前提。

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☆というわけで、正八角形の中心と各頂点を補助線で結んでみる。そして八角形でなく「正」八角形なのだから、相似のものがあるはず。補助線をひきまくると分かりにくくなるので、実線2本と点線1本だけ引いておこう。

☆直感的に、8個弧があって、正八角形だから、なんだ合わせれば円になると洞察できる生徒もいるだろう。半径6㎝の円周と同じだと。ここでは、イコール(=)という考え方が、必要になるが、算数の場合イコール操作は必ずででてくる。計算問題はその典型で、あれを計算問題だから簡単なんて思ってはいけない。算数の本質が顕在化しているだけだ。とにかく、算数とはイコールをどこまでもシンプルに操作していく思考様式だからね。

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☆この問題は、正答率は30%ぐらいかな。図形の条件をグラフに変換してある素敵な問題。だから逆にグラフから条件を導き出して整理するという操作が必要。この操作、図形とグラフの共通点を見いだすイコール操作だったんだね。だから、条件を合わせなければね。与えられた図はある時点の現象だから、グラフ全体に対応していない。これにこだわると大切なものの見方を見失ってしまうよ。

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☆これも正八角形の問題と同じように、1なるものは多であり、多であるものは1であるという発想を使う。グラフは、A,B、C、Dに対応しているから、図形の方も条件を合わせよう。点Oから補助線を3本引く。

☆するとわかるね。対面している三角形の面積の和は等しい。ここでもイコールを見つける操作。

☆この問題は(1)ができたら、(2)はできてしまう。何せ三角形の面積と底辺の比がわかっているのだから、高さはすぐに出るだろう。実数ではなく、あくまで比でいいのだ。しかし、実数と比の変換を理解していないとそこが壁になる場合もあるかもしれない。しかし、だから夏休みそれを崩すチャンスだね。

☆これらの問題を通して、「1なるものは多であり、多なるものは1であるという基準点を探すこと(1=多)」と「イコールを探す操作をすること(イコール操作)」を体得すれば、多くの図形の問題を考えるものの見方がついたことになる。そして、文章題も多くの場合面積図などに置き換えることができるから、その分野でも役に立つだろう。

☆つまり、これはもう立派な思考力。あとは内角だとか、相似だとか、等積変形だとか、円の条件とか、角度30度、60度、45度などが作る図形の性質だとか知識化(=関数化)しておけばよいのだが、それは問題演習の中で定着させていけばよいですね。現象と本質は表裏一体で、どちらかだけが重要だとするのは、狭い思考力を形成してしまうから要注意。

☆ともかく、問題と問題の共通点や相違点を比較してみることがとても大切なのですね。この夏、時間をすこしかけて考えてほしいというのは、そんなことなんだね。




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