21世紀型教育における帰国生・留学生の意味(3)
☆このパラドクスを感じる場面は、やはり多様性の中での体験である。実際にパラドクスやジレンマが目の前で起こっているその現場で生活しているのである。
☆ただそこで、それがパラドクスやジレンマであると感じるのはいかにして可能か?そこを一歩深めたい。そこで、自分の判断の立ち位置を振り返る。
☆2020年東京オリパラに向けて東京シティがグローバルクリエイティブシティに舵をきれるかどうか?そんな話題について対話しながら、パラドクスを探ししていく。
☆クリエイティブシティの発想の背景にはクリエイティブクラスという産業構造が変わる/変える新しい仕事を見出す人材があふれるという見通しがあるからだが、20世紀型産業のパラドクスやジレンマがあるから、そこからそれを解決するためのビジョンの1つとしてそのような仕事がでてきた。
☆で、その20世紀型産業のジレンマとは何か?そもそも20世紀型産業の条件とは、ギリシャ問題や中国や韓国の成長の様子など、それぞれが実際に見てきた生活から考えたりしつつ、マックス・ウェーバー的な発想の情報提供もする。「資本・生産・労働」と「移動の自由」の関係など問答を行った。
☆そのような対話の中で、帰国生・留学生は自分の立ち位置があっるから、何かを感じ、判断をする。税金や資金、投資、投機などの違いや共通点を見いだして、どのような資金調達の在り方が正当性、妥当性があるのかなどなど対話していく。
☆事実はだいぶ見えてきたところで、自分はどう判断するのか。サンデル教授の簡易座標系で、自分の判断の立ち位置を振り返る。
☆今回は、リバタリアンに集中した。何人かはコンサバティブだったが、リバタリアンに近い位置にいるという意識ももっていた。昨年までは4つの領域にばらけたが、今回は偏りがあって、いよいよだなと感じた。
☆世界の格差問題を解決するために、リベラリストやコミュニタリアン的な位置で判断するのが、今までだったが、今回の帰国生は、徹底した自由という立ち位置から、世界を引き受ける自分を考える。生き様そのものがパラドクスである。
☆帰国生を受け入れる私立学校は多い。しかし、その多くの学校やそこで仕事をする教師は、リバタリアンではない。コンサバティブかリベラリストが多いから、帰国生を受け入れる寛容な感性が試される。
☆多様性を受け入れるとは、互いの価値観の違いを尊重し合うことだが、その価値観の違いをとことん話し合うことは学校文化の中にはなかった。大学は、まだまだ変わらないと言われるが、教授・准教授・院生は多様性を体験しているし、自分たち自身も帰国生・留学生だったりする。
☆それゆえ、帰国生・留学生と大学の教育や研究のシーンでは互いに共感しやすい。むしろ、その帰国生・留学生を受け入れて、大学内にカルチャーショックをストレートに導きたいと思っているだろう。
☆中高でも実は同じような流れができつつある。そして、帰国生・留学生は、グローバリゼーションの流れを創る源そのものである。あらゆる境界を越境する素養が備わっている。
☆なぜ海外の大学が、留学生獲得のためにリクルート活動が巧みなのか。イノベーション文化は常に越境を大前提とするからだ。
☆20世紀型産業や20世紀型教育が、よいかどうかが問題なのではない。化石燃料をいかに合法的に奪取するかという国際競争のシステムが産業構造に反映し、そのシステムのカテゴリーに分類されてきたのが人材である。
☆しかしながら、21世紀型産業や21世紀型教育は、その化石燃料の合法的国際競争システムのパラドクスに気づいてしまった。それゆえ、20世紀型システムが配置してきた様々な秩序の境界――自己の精神の構造、自己と他者の関係、自己と社会の関係、自己と自然の関係――を、ミクロ―メゾーマクロというあらゆる次元・領域で解体作業を開始しているのである。
☆その解体作業のリーダーが帰国生や留学生である。それに対し、相変わらず恐れと不安を抱き、拒絶するメンバーもいるだろう。妥協するメンバーもいるだろう。共感して共創するメンバーもいるだろう。
☆この分け方は、学校にもあてはまる。かたくなに拒絶する20世紀型学校、20世紀型教育と21世紀型教育の妥協点を見いだす学校、21世紀型教育に完全にシフトする学校。
☆世界を引き受けるリバタリアン。最高のアンビバレンツを抱え込むグローバル人材。シェークスピアが夢見たアンビバレンツの凄まじい生き様の近代人。その夢がようやく実現する時代がやってきた。
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