聖学院が御三家を超える時が来た(3)
☆「学校だより」は、タームごとに発行される。今回手にした第271号は、今年4月から1学期の教育活動が網羅されている。まず戸邉校長の巻頭言。「安全保障ではなく、平和保障を」というインパクトある「ロゴス」が投じられる。
☆リベラルアーツは、こういうクリティカルでクリエイティブな「ロゴス」をシェアする学びの空間である。戸邉校長は、ノルウェーのヨハン・ガルトゥング氏の平和学を紹介している。
☆ヨハン・ガルトゥング氏は、平和の3タイプとして、「撤退」「妥協」「創造」を挙げている。戸邉先生の想いは、当然平和を「創造」するにはいかにしたら可能か?それにはもっと外を見よ。自分より大きなものを見よと。それがゆえに、毎年タイ研修を実施している。
☆今年の夏は、在校生の保護者と世界の痛みの救済支援の拠点、タイのメ―コックファームに訪れるという。もちろん、この機関を創ったのは戸邉校長だ。平和は「創造」するものだからなのだ。
☆前回もご紹介した学校説明会のチラシの裏面にこんな写真が掲載されている。
☆中学では、全学年、LHRでL.L.T(Learn Live Together)という「共に学び、共に生きる」ことを目的にしたまさにリベラルアーツそのものが、アクティブラーニングの手法で行われている。そしてその成果として、クエストカップという知の他流試合でグランプリ優勝を果たした。
☆もちろん、このL.L.T.は教科や他の活動と連携している。この教育活動越境型もリベラルアーツの特色の一つである。たとえば、こんな行事にも結びついている。
☆「なぜぼくたちは蝶ケ岳に登るのか?」という問いに応えるべく、LHRを超えてプロジェクトマネジメントの活動も行っている。要するに授業型アクティブラーニングと総合学習型アクティブラーニングの両方が相互に関連しあいながら展開している。これぞリベラルアーツの醍醐味。
☆そして、やはり、何といいても図書館が知のエネルギー場になっているということ。これがリベラルアーツ教育の肝である。
☆毎年図書の貸出や入館者数が増えているというのは、この本離れの時代にあって、聖学院がいかに図書を大切にしているかということを示唆するのだが、驚きはサッカー部の動き。
☆何せ、開館時間は、午前7時30分から活用できる。そのため、サッカー部のメンバーは、図書館で朝学習を始めたというのではないか。図書館と部活の越境コラボが眩しい。
☆日本史や地理の授業でも図書館は頻繁に活用されているし、ブックトークの活動も盛んだ。図書館がリベラルアーツの知のプラットフォームになっているのが聖学院のふだん見えない教育の奥義である。
☆そして、この読書空間で繊細かつウィットに富んだセンスが磨かれる。
☆女子校普連土の講堂で、聖書合唱交換会が行われたのだが、直接この行事とは関係ないが、こんな歌を詠んだ中学生がいる。
お祭りだあいつを誘う勇気ない僕の心はヤドカリみたい
☆男子校ならではの青春の歌ではないかな(笑み)。ゲーテやヘッセの世界はリベラルアーツそのものであるし。
☆ちょっと横道にそれたかもしれないが、さてこんなすばらしいシステムがある。
☆自学自習ノートの評価までされるというのだ。驚きだが、この活動の推進に一役買っているのも図書館なのである。この称号システム、実は内発的インセンティブを高める重要なシステム。リベラルアーツは、なんといっても内発的であることが絶対条件である。
☆リベラルアーツは文系だけの領域ではない。サイエンス・マスも極めて重要な学び。物理部ではロボット、自動車研究同好会ではエコにチャレンジ。卒業後も後輩を支援しに訪れるなど、同窓力の腕の見せ所が部活だが、まさにこの力はリベラルアーツ教育の系譜を強くする絆だ。
☆OBが活躍するのは部活だけではない。進学サポートもチュータリング形式で行っている。この絆がどれほど聖学院の生徒の魂の支えになることか。
☆学校だよりには、上記のような記事も掲載されている。学内の活動ではない。1人学外の大会に挑戦した生徒の活動まで掲載し、エールを贈っているのである。これこそリベラルアーツ教育を行っている聖学院の“Only One for Others”の精神の証明である。
☆それにしても、彼の感想を読んでもらいたい。こうして聖学院の生徒は社会に出たときにリーダーシップを発揮する志に満たされているのである。
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