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2020年大学入試改革とアクティブラーニング まだ語られていないコト

★KDDI(株) 野本竜哉氏 による、ICT機器を活用した学習の動向をレポートするブログ「EverLearning!」に、昨日法政大学で行われたシンポジウムのレポートがまとめられている。有識者の今話題の教育改革に対するプラトー状態に到達した様子がよくわかる労作である。日本の子どもの未来にかかわる人(つまり日本人全員)必見である。

シンポジウム「いまなぜ高校が変わるのか-大学入試改革の真のねらいを問う」訪問レポート前編 公開授業編

シンポジウム「いまなぜ高校が変わるのか-大学入試改革の真のねらいを問う」訪問レポート後編 パネルディスカッション編 

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(かえつ有明のプロジェクト科は制度があってもなくてもいまここで子どもの未来を創造するプログラム)

★なぜプラトー状況かというと、今回の改革が先に進むには現状の議論ではうまくいかないぞという結論に到っているからである。文科省がすでに2007年ごろから国立教育政策研究所で先行的にリサーチしている制度的内容を小出しにして、現状では、学力調査テストAテストBテストの延長上でうまくいかないかと思っていたところ、OECD/PISAのテストも念頭に置くようになったから、BB(Beyond Bloom)の話を持ち出さざるを得なくなった。

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(教育課程部会 教育課程企画特別部会(第7期)(第13回) 配付資料で登場した資料)

★また、21世紀型スキルとも連動して動いていたから、「メタ認知」も前面に出さざるを得なくなった。ところが、「メタ認知」はブルームのタキソノミーでいえば、本格的にはレベル5以上で活用されるから、なんとかレベル4まででおえたいがゆえに、「メタ認知」を「あるんだけど、背景に埋め込む」という巧みな編集を行った。

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(教育課程部会 教育課程企画特別部会(第7期)(第13回) 配付資料で登場した資料)

★OECDとの対話では、メタ認知は知識・理解・スキルのレベルも包括する大切な思考力。しかし、思考力はどうしても論理でとめたいという思いがどこかにあるのだろう。「主体性・多様性・協調性」に埋め込んでしまおうということらしい。

★しかし、このプロクルステスのベッド的発想が、アクティブラーニングをもゆがめてしまう結果になる。そのことを感じとって、シンポジウムでも、アクティブラーニングでは知識の末広がりの体系を教えることができない。講義とアクティブラーニングのバランスや中庸が必要だとなる。

★ブルームのタキソノミーやメタ認知を持ち込みながら、それを全面展開しない文科省の意図を見抜いて、この状況では無理だよと暗に示しているのだ。

★アクティブラーニングは、包括的なメタ認知やブルームのタキソノミーでいう5-6レベルのクリティカル/クリエイティブシンキングをトレーニングするに適した学びの方法である。

★このレベルでのアクティブラーニングがかえつ有明や木村先生の理科の授業では行われている。しかし、この意義は、あえて語られない。NHKが絡んでいるから、そうなるのは当然だ。

★しかし、これが自己肯定感を持てない大きな理由なのに、語らないでよいのだろうか。クリティカル/クリエイティブシンキングを排除するというのは、抑圧的コミュニケーションにならざるを得ない。アクティブラーニングをやりたくないという表明は、創造的自信はどうでもよいということを暗に言っていることと同じだ。ベネッセなどの商品では対応できないがゆえに、愛用している教師はアクティブラーニングには積極的になれないのもわからないではない。それは、有識者も同様なのだろう。官尊民卑、学尊民卑、優勝劣敗がゆえである。

★だから、私立学校は、教育制度の改革を待っていられないから、21世紀型教育2.0をさっさと目指すところが現れたのである。しかし、そこはまだマイナーがゆえに、真正面からとらえられることはない。私立学校としては、どうとらえられようが、いまここで子どもの未来を考えることが最優先するから、最初のペンギンになれるのだが。

★とにかく、制度改革が行われてからでは、目の前の子どもには間に合わないのである。

★それからもう一つは、木村先生の教育活動が、スタンフォード大学まで拡張して行われていることの意味を考えねばならない。

★今、米国ではCCSSとDual Enrollment(以降DE)が着々と進んでいる。CCSSがタキソノミーでいうレベル4までで、DEはレベル5と6が中心。

★しかし、米国は州単位で動くから、この進度/深度はまちまち。だから、DEにAPやIBが採用されてもいる。2000年ぐらいまでは、個々の大学と個々の高校が連携して接続して、高校で大学の単位を先取りする促進教育が行われてきた。その先取りのシステムにAPやIBが採用されてきた。

★しかし、米国経済が停滞すると、優秀な人材を創らねばならない。入学は易しいが卒業は難しいなどと牧歌的なことをいっていられなくなった。大学をなるべく早く卒後し、即戦力が必要になったのだ。

★しかしAPやIBは費用がかかるから、自由の国アメリカでは、貧困が学問を阻害するのは困る(ここが日本と違うね。日本は平等でないからとりやめるとなる)。そこで、コミュニティカレjッジが大活躍。高校とコミュニティカレッジが連携して高大接続を行う。費用はほとんどかからない。

★そしてそのまま単位を取得すれば、大学3年生に編入できる。もちろん、飛び級だって可能だが、そのケースはまだ多くないだろう。いずれ、高校卒業後大学3年に編入というシステムが普遍化するとは思うが。ともあれ、この高大接続のレベルがタキソノミーでいうレベル5-6という話なのだ。

★実はこれはイギリスでは、ファンデーションコースにある。イギリス人高校生はAレベルにすでにそのレベルは包括されているから、制度の手続きは違うが、知の構造はおんなじだ。外国人留学生のために、スタディスキルを身につけてほしいからファンデーションが設定されている。知の構造を同質にするために。

★だから、オックスブリッジは、日本の高校卒業資格ではエントリーできないのである。だって、レベル4までしかやらないから。知の構造が違うから。

★このAレベルやAP、IBそしてこれを米国は今DE制度として、公立学校全体が活用できるシステムを着々と進めている。しかし、全員がオックスブリッジやハーバードに相当する大学に行くことができない。

★それで、CCSSだ。日本の高校卒業資格に相当する力を公立学校全体の基礎として身につけたいということになる。ただし、レベル4の論理的思考が中心だから、アクティブラーニングは必要となる。

★ところが、日本はまたもレベル4までレベル1から積み上げていくから、はじめは講義でよいということになり、アクティブラーニングはサワリ程度となりかねない。

★米国は、公立学校の中にDEのプログラムを学びたいという生徒を受け入れるから、アクティブラーニングをCCSS段階で行っていないと間に合わないのだ。

★イギリスは、もともとチュータリング制度が学びのスタイルだから、アクティブラーニングは(名前はともかく)当たり前だ。

★かくして、日本はどうするのだろう?それゆえ、L大学とG大学。G大学はSGUを想定。つまり、ほとんどが米国のコミュニティカレッジ、ファンデーションコースレベルで、あとは海外大学で学んでくれという話が本音なのかも。

★SGUは、予算をもらって世界ランキング100位以内とかそれに準ずる大学レベルになれという話だから、米国のDEシステムという高大接続システムを作らざるを得ない。

★そこにおいてアクティブラーニングは必要だし、IBやSGHの試みはアドバンテージが高くなる。

★木村先生の話からそれてしまった。戻ろう。米国は制度があっても、州によって大学によって自由な裁量の余地が大幅にある。だからスタンフォード大学と直接交渉して、医進サイエンスコースがAPレベルの内容である(=高度な知の構造)ことを証明しさえすればよいのである。それが木村先生のねらいだろう。

★かえつ有明もそうだ。オックスブリッジに直接つながる知の構造を育成すれば、ロンドン大学のファンデーションコース(大学入学準備教育とロンドン大学は呼ぶが)からオックスブリッジに行けるのである。高1生がケンブリッジ研修旅行を行うのはそういう理由だ。

★そして高大接続ではないからDEではなく、ダブルディプロマをカナダのBC州の教育省と連携する交渉を果たしたのが、文化学園大学杉並だ。これによって、無条件でAレベル、APレベル、IBレベル(と同じ知の構造)の教育が行われていることが世界大学ランキング100位の大学に認識されるようになる。

★ところで、このDEのリサーチを文科省はしているのか?当然だ。2007年前後から始めているが、そのレポートが国立教育政策研究所から公開されているはずだ。ただし、今の米国のDEシステムはもっと浸透しているらしいが。

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