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開成と麻布 どちらがマインド危機か?

☆武蔵は、御三家と呼ばれながら、知識暗記型能力スコアである偏差値52でも合格する創造的才能者がはいる21世紀型学力にシフトしているから、子どものマインド危機はだいぶ前に去った。

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(21世紀社会はdesignではなくDe-signの時代。)

☆したがって、武蔵の存在自体「御三家のおわり」を導いている。しかしながら、かわいそうなのは、開成と麻布である。何も「御三家」と自称した覚えはないのに、「御三家」と持ち上げられ、20世紀型損得利益市場の餌食になった。

☆日能研のように中学受験市場全体を盛り上げようなどというおよそ20世紀型損得利益市場からは真逆のモモ的市場を形成しようとした酔狂な中学受験塾は、やはり勝ち組負け組市場に一時的に劣勢になった。

☆そのため、御三家はSAPIX出身の合格者寡占状態となった。ここに集う人々の価値志向は、自覚・無自覚にかかわらずに、学歴社会で勝ち組になろうとする階層である。もちろん、価値自由だし、選択は私事の自己決定であるから、良し悪しは関係ない。

☆だが、価値志向の独占禁止法はないがゆえに、悪貨は良貨を駆逐する近代史経済のセオリー通り、御三家=東大・医学部合格高確率という方程式を市場が創り上げてしまった。

☆その中で、武蔵の中学入試は創造的才能者ターゲットの入試、麻布は知識と思考の統合型入試、開成は知識偏重入試となった。

☆これが合理的・効率性・予見可能性が大好きな市場によって、開成、麻布、武蔵という序列を作らせた。

☆SAPIXは、塾生の偏差値順に、開成、麻布と受験させる。もちろん、暗黙の了解というか、偏差値合理的判断によるものだ。さて、ここで子どもマインドの危機はどうするのだろうか?

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☆特に開成は、SAPIXという同質空間で育った勝ち組負け組価値志向の子どもたちが押し寄せる。子どもたちが自覚していたらなんとかなるが、そもそも家庭がこの価値志向である。おそらく「僕が東大にはいったら、開成の宣伝になるだろう」と平然と教師に言うぐらいの精神構造が潜在的にあるのではないだろうか?あくまで推測だが、それがWの悲劇のマインド状態である。

☆これがどのような事態を生み出すかは、言うまでもないだろう。ある意味20世紀社会という高ストレス社会のモデルであるといえる。一方、21世紀社会はこのような抑圧的コミュニケーションが生み出すマインド構造はぶっ壊す力学が作動する。軍事力でも経済力でもなく、知性(知識ではない)ベースの社会であるからだ。

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☆SGH指定校である順天は、ロングホームルームをつかって、徹底的に入学前に慣習化している抑圧的コミュニケーションを創造的コミュニケーションにシフトするグループコミュニケーションというアクティブラーニングを行っているぐらい、とにも、20世紀社会は子どものマインド危機をつくってきた。

☆にもかかわらず、この危機を払しょくする方法を勝ち組になることによって果たす集団が開成に集結していると思うと、開成当局はなんとかしなければならない。

☆麻布はすでにそれを自覚し、前校長の氷上先生のときから新教養講座を土曜日に行っている。それにもともと、革命的コミュニケーション志向の生徒が、まずは入学するためにしかたがないからSAPIXに通うというバランス感覚の生徒も多いから、子どものマインド危機はなんとか回避できてきたが、さすがに慣習化=ユデガエル化のパワーは無意識に与える影響は無視できない。

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☆私学の危機は、実は生徒募集がうまくいかないということではなく、この子どものマインド危機を回避できなくなることである。まさかそんなと本当に思うだろうか。

☆あの尾木ママに、今回の岩手のいじめ事件で「生徒殺人学校」とまで言わせた子どもマインド危機は実際に横たわっている。それが氷山の一角であるだけなのだ。

☆岩手の事件は、まして高偏差値の開成には関係ない!と思うだろうか?個々バラバラのシステムは全体としてはつながっている。その全体が20世紀社会の抑圧的コミュニケーションの浸透である。

☆麻布をはじめ≪私学の系譜≫は、この20世紀社会という近代官僚=官尊民卑=学尊民卑=勝ち組負け組=抑圧社会に対峙してきた。子どもマインド危機を回避するために。

☆その気概は戦後教育基本法に注がれている。これが改正されたのも安倍政権の時だが。。。

☆私学の危機とは、私学がこの子どもマインド危機を回避できなくなることを言う。幸い、SAPIXには感謝しなくてはならない。この危機を御三家に集中してくれたおかげで、それ以外は、21世紀型教育、創造的共感的エコシステム形成コミュニケーションベースの教育を私学が創出する市場が新たに生まれてきたのであるから。

☆まさに近代市場原理主義のパラドクスである。そしてセオリー通り、20世紀型教育と21世紀型教育の次元の差異を生み出すことが、パラドクスを解決する方法なのである。そう70回目の終戦の日に想うのである。

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